老後という「これから」の暮らしを目前に控えた50~60代。年金生活を豊かに過ごすためには、なにから手をつけるべき? 家計のどこを見直せばいいの? など、さまざまな不安が多いのでは。そこで、ファイナンシャルプランナーの畠中雅子さんに、現状を把握し、老後に備えるための家計管理術を教えてもらいました。
すべての画像を見る(全3枚)ファイナンシャルプランナーが「これから」世代のお金の悩みにアドバイス
今回寄せられたお悩みはこちら。
●【お悩み】賃貸住まいで独身。老後資金1000万円で安心して過ごすには?
築40年以上の賃貸マンションで、ひとり暮らしをしています。60歳まで今の職場で働いて、その後も高齢者向けの仕事を職安で探して、元気なうちは働くつもりです。
65歳から出る年金は、月12万円ぐらい。老後資金は、1000万円用意しています。少し前に「老後資金2000万円問題」が話題になりましたが、1000万円でも安心して過ごすにはどうすればいいですか?
室井優梨さん(仮名・57歳)
パート。賃貸マンションひとり暮らし。将来、入院や施設入居時などに保証人になってくれる人が近くにいないのが気がかり
世帯年収190万円
【室井さんの家計表】
手取り月収 160,000円
収入合計 160,000円
住居費 58,000円(1)
食費 20,000円
外食費 3,000円
水道光熱費 15,000円
通信費 10,000円
日用雑費 3,000円
レジャー費 3,000円
保険料 17,000円
その他出費 30,000円
支出合計 159,000円
収支 +1,000円
総貯蓄額 10,000,000円(2)
(1)古い賃貸住宅で、退去の可能性も
住まいは賃貸住宅で、築40年以上。将来、建て替えなどの退去を求められる可能性が
(2)家賃負担軽減で、貯蓄を長くキープ
貯蓄の目減りを防ぐには、住宅費を抑えることが必須。長い目で見た住まい選びがカギ
●【FPの回答】UR住宅やケアハウスを上手に活用しよう
「老後資金が2000万円必要」との試算は、あくまでもモデルケース。実際に必要な老後資金は、各家庭や個人で異なります。用意できた資金で、安心の老後を過ごす方法を考えてみましょう。
賃貸住まいの室井さんの場合、老後も家賃の負担が続きます。しかも、今の住まいは築40年以上と古く、今後建て替えなどで引っ越しを余儀なくされる可能性も大。高齢のひとり暮らしで保証人がいないと、民間の部屋が借りづらくなる現実もあります。今のうちに、保証人不要のUR住宅に引っ越してはどうでしょうか。URなら割安な物件も多く、60歳以降、転職で収入が減ったとしても、貯蓄の目減りを抑えられます。
そのうえで、仕事をやめたら、ケアハウスに転居しましょう。収入に応じて費用が設定されていて、室井さんの年金収入なら、家賃、食費、管理費込みで月7万~8万円ほどのところを探せます。介護型を併設したケアハウスを選べば、元気なうちに入居して最期まで過ごすことができます。
ケアハウスは、費用負担の少ない老人ホーム。60歳以上で元気なうちに入れる自立型、65歳以上で要介護になると入れる介護型、自立型と介護型を併設した混合型などがある。自立型は、キッチンとトイレが部屋についているのが一般的。混合型なら、要介護になると介護棟に移れる。入居は自治体の住民優先だが、近隣住民OKの施設も! 発売中の『これからの暮らし by ESSE』ではほかにも、「これから」世代のリアル家計表とともにプロのアドバイスを紹介。ぜひチェックしてみてください。