主婦業のかたわらエッセイストとしても活動する若松美穂さんが、楽しく、豊かに暮らすためのさまざまな工夫をつづります。
今回は、同居する実母が初めてラーメンをつくったときのドタバタについて。

とにかく“読まない”76歳の母。初めてのラーメンづくりは…?

驚くなかれ! 76歳にして、母が初めて、まじめにラーメンをつくりました。まじめに…ってなに? という感じですが、ラーメンの袋に書いてある通りにという意味です。

料理をする女性
とにかく聞かない・読まない母(※写真はイメージです。以下同じ)
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彼女は料理ができないくせに人の言うことを聞かない。読まないし、量らない! できないくせに…って、言葉が悪いですね、失礼(汗)。

以前、「どうしたらおいしいラーメンができるのかしらね~」というので「書いてある通りにすればいいのよ」と言ったのは、一度や二度ではありません。

●76歳の母と一緒にラーメンづくりの調理実習

夏のある日、「喜多方から届けていただいたラーメンでも食べようかな~」というので、「今だ!」と思い、一緒に調理実習をすることにしました。え~っと、小学生とではないですよ。76歳の母親と…です、はい。

野菜と女性2人

麺をゆでる用にお湯を…と言ったら、小さな片手鍋を用意しました(ここがすでに危険ですが、いいのです! 先に、ゴチャゴチャいうと面倒だから、まずはやってみることが大事)。

もう一つのコンロで、スープを割るお湯を沸かす。300mlのお湯を量る計量カップを用意し、麺を入れて3分のタイマーをかける。器を用意して、スープを入れて…。お湯をきるザルを出して。

●吹きこぼれる鍋を持ち上げる母。どうするつもりだったの?とは言わない

そんなこんなしていたら、気を抜いたのか、私が「あっ」といったときには、すでに茹でている麺が吹きこぼれる直前。

麺が吹きこぼれる直前

ここでまたびっくり。吹きこぼれそうなら、まず火を消すと思うのですが、母はなぜか、片手鍋をひょいっと上に持ち上げたのです。火から外してみた…ってことのようです。

案の定、高い位置からざーとお湯があふれて、危ない、危ない。

あわてて火を消して、タオルを取り出してふく私。その間も彼女は鍋を持ったまま立ち尽くしていました。どうするつもりだったの? と思うのですが、そこは問い詰めない。

どんなことも初めからうまくすることは難しいですし、“失敗も経験のうち。次に役立てればいい”を、子育ての中で私に教えたのはこの母ですもの。子育ては、その人に返っていくものなのかもしれません。

「お鍋は、もう少し大きい方が吹きこぼれないかもね」「そうね」というやり取りをして、今回はまず、書いてある通りにやってみた! 結果的にできた! ことに、お互い満足したのでした。次は、大きめのお鍋を使ってくれますように(笑)

【若松美穂(わかまつみほ)】

お金をかけずにセンスと工夫でおしゃれに暮らすカリスマ主婦読者として、生活情報誌『ESSE』や『サンキュ!』などで紹介され人気者に。2011年、心理カウンセラーの資格を取得。主婦業のかたわら、エッセイストとしての執筆活動のほか、講演、各メディアへの出演など多方面で活躍。夫と娘2人、母親の5人家族。埼玉県在住。公式サイト「

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