主婦業のかたわらエッセイストとしても活動する若松美穂さんが、楽しく、豊かに暮らすためのさまざまな工夫をつづります。
今回は、同居する実母と逆の立場になって理解できたことについて。

床のふき掃除女性
朝の忙しい時間に家事する母。あとでよくない?(※写真はイメージです。以下同じ)
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朝のバタバタしているときに母がする家事。帰宅してからでもよくない?

「〇分には家を出よう」「この時間までにはZOOMの用意をして…」と仕事の用意をしていると、母が私に訊きます。

「冷蔵庫の上の段にある瓶ってなにが入っているのかしら。使うの?」
「掃除機の中に入れるゴミ袋がもうないわ」
「○○だけはしてから、仕事に出かけてほしいわ」

思わず私の口からついて出るのは「えっ、今?」。帰宅してからでもよくない?

●「えっ、今?」私もかつて夫に同じことをしてきたのかも

洗面所に子どもと男性

こんなとき、思うのです。私も同じようなことを夫にしてきたのだろうと(反省)。朝は夫も、この先の段取りや仕事のことを考えていて、モードが切り変わっているだろうに、あの頃、子どもや家事がすべてだった私は、自分中心に話を進める。

母も、同じでしょう。「出かける前に聞いておいて、今日は冷蔵庫内の掃除でもしようかな」「帰りに、ついでがあったら買って来てくれるかもしれない」と思い、気がついたことを口に出してみただけなのです。

鏡の前に女性

あるときには、長女と私が広くもない洗面所でメイクをしていたら、母がやってきて洗濯物を干そうとしています。やはり思う、「今?」。

黙っている私ではないので、「ただ今混雑中なので、洗濯物を干すのはあとでもいい?」。

母も素直ゆえ、「そうよね。あなたたちが出て行ってからでもいいわよね」。

といいつつ、何度も同じことが繰り返されているよね~と、皆で笑っています。

●友人が出かけようとすると掃き掃除をする義母。ありがたいことだ

掃除をする女性

ふと、友人の話を思い出しました。朝、友人が仕事に出かけようとすると、義母が必ずと言っていいほど、玄関の掃き掃除を始めるのだとか。

「掃除時間はたっぷりあるのだから、あとでもいいと思うのよね」といいつつ、理解のある友人は「あなたが仕事をしている間、私は掃除をしているんだという義母の思いもあるのだろうし(食事づくりや買い物は友人がしているそう)、実際してくれるのだからありがたいことなのかな。元気でいてくれるし」と。

一緒に暮らしていると、「ん?」「あれ?」と一瞬思ったとしても、立場を入れ換えてみたら、反省することや理解できることがたくさんあります。

今、目の前に見える景色の捉え方が、変わることがあります。

私が母の立場を経験したことで、今の彼女の行動の理由がわかるのだと思うと、家の中にいた私のこれまでの時間も、必要だったと感じます。

「母には母の考え・言い分がある」のです。

【若松美穂(わかまつみほ)】

お金をかけずにセンスと工夫でおしゃれに暮らすカリスマ主婦読者として、生活情報誌『ESSE』や『サンキュ!』などで紹介され人気者に。2011年、心理カウンセラーの資格を取得。主婦業のかたわら、エッセイストとしての執筆活動のほか、講演、各メディアへの出演など多方面で活躍。夫と娘2人、母親の5人家族。埼玉県在住。公式サイト「

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