「50代を迎えた今。半世紀生きてきて、これまでやってきた家事の当たり前をあらためるのは、なかなか難しいもの。でも、体に負担がかかるような行動は見直した方がいいと思い始めました」そう話すのは、ライフオーガナイザーで整理収納のプロ・田川瑞枝さん。便利なグッズや家電に頼る。暮らしを小さくする。50代を機にやめた家事、これから新しく取り入れたいことを聞きました。
すべての画像を見る(全7枚)トイレ掃除の見直し。便利な商品を使って負担軽減
トイレ掃除は、毎日する、1週間に一度するというように、人によって違います。私は、以前は毎日していましたが、50代になってからは中腰の姿勢が辛くなったこともあり、やり方を少し見直しました。
除菌シートでふき掃除するのは毎日やっていますが、便器の中まで毎日掃除するのはやめました。かわりに、便器の中はトイレスタンプにおまかせ。スタンプの濃縮ジェルは防汚効果があるので、便器の内側の掃除の間隔をあけることができます。
1プッシュで12日間使えますが、私はジェルが薄くなってきたら掃除するようにしています。
これだけでも、毎日、中腰で掃除をするという体への負担が半減しました。
物を減らして片づけの負担を軽くする
家の中で不満が多いのが収納が少ない、という問題。家族の人数が多ければ、その分ものも増えます。私も、隙間を見つけて収納スペースを増設。簡易的にスノコで棚をつくり、その上に収納ケースをのせていました。天井近くまで積み上げた棚は高く、踏み台がないととれません。
50代になり、夫婦だけの生活になると、それほど多くのものは必要なくなります。生前整理も視野に入れ、収納用品の中を見直して、これから先も必要なものだけに厳選したところ、収納ケースはカラに。
そこで思いきってスノコ棚を撤去すると、なにもないスペースが誕生。もう片づけるものがなくなりました。
ものが多いと、収納スペースが必要になり、片づけも必要です。反対に少ないと、使いにくい場所にまでものをしまわずにすむようになり、無理な姿勢で出し入れする負担が減ります。ものをなくしたことで、収納不足の不満や片づける手間がなくなり、精神的、身体的負担が減りました。
高性能な家電に頼って洗濯を干す作業を手放す
これから新しく取り入れたいと思っているのが、洗濯の改革です。乾燥機つき洗濯機で、干す行為を手放し、家事動線も時間も短縮していこうと考えています。
そもそも洗濯物の干し場は悩みのタネなことも多く、マンションによっては、規定でベランダに干せない場合も。また、天気の悪い日は室内干しで部屋が狭くなるなどの問題もあります。洗濯機置き場と干す場所が遠かったり、1階と2階に分かれていたりすると、重い洗濯物を持ち運ぶなど動線も長くなり重労働です。
さらに、歳をとると、手が上がらない、湿った洗濯物が重く感じるといった、家事負担も想定されます。そこで、洗って乾燥まで一気に仕上げられる乾燥機つき洗濯機を導入しようと考えています。家事の負担を軽減していくのが目標です。
家族が多いと、洗濯物が多く、乾燥機で乾ききらないという話もよく聞きます。洗濯物の平均は1人あたり1.5kgくらいなのだそう。これが、夫婦ふたりの暮らしだとおよそ3kg。乾燥機を導入したふたり暮らしをしている方に話を伺うと、「干す手間がかからず、片づけもラク」になったということです。家事労働に負担がかかる年代は、機械にまかせるのもありです。
50代はまだまだ元気。ですが、その先を考えていくと、今から家事のやり方を改善していく余地はあります。
健康のために家事で体を動かすのもオススメですが、負担がかかるようでは本末転倒です。手が上げにくい、腰が痛いなどの症状があるときは、無理をせずにすむ工夫を取り入れてたいもの。まかせられる部分は家電や機能性洗剤に頼り、上手に家事を手抜きすることも、50代からの暮らしには必要なんだと思います。
●教えてくれた人/田川瑞枝さん
ライフオーガナイザー、整理収納アドバイザー、ファイリングデザイナー。モノの片づけを通して、生き方の整理整頓を伝える「思考の整理収納塾」代表。時間管理、書類の整理、家計管理、住育、防災片づけ、ワークライフバランスなどのアドバイスも。ブログ「思考の整理収納塾~Sapporoちょこ*スタイル~」を更新中