住宅購入のためにお金を貯めたいと思ったら、家計の見直しを行うことが大切です。「家は大きな買い物です。住宅ローンの支払いで困らないためには、ローンを組む前に家計診断をすることが大切。しかし、間違った方法では満足に結果がでないこともあります」と話すのは、FP2級の資格を持つ海田幹子さん。今回は実例を挙げながら、家計のNGポイントと改善ポイントについて解説してもらいました。

家計簿とお金
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目次:

手取り年収420万円!夫婦+子ども1人の3人家族の家計をチェック家計見直しPOINT1.通信費・光熱費を削減する家計見直しPOINT2.ボーナスや児童手当は生活費にあてない家計見直しPOINT3.手軽にはじめられる家計簿アプリをつけてみる見直しで赤字家計から脱却!軽減した支出分はマイホームの頭金に

手取り年収420万円!夫婦+子ども1人の3人家族の家計をチェック

今回は、以下の家族の家計を例に解説します。

家庭情報

  • 家族構成 夫(35歳・会社員)、妻(34歳・専業主婦)、子ども(7歳・小学生)
  • 現在の住まい 賃貸マンション
  • 世帯年収 420万円(手取り)
  • 現在の貯蓄 80万円

家計状況

毎月の収支が赤字になる。そのため、ボーナスから補てんしながら家計をやりくりしている。赤字家計を改善し、住宅購入のための貯蓄を増やしたい。

月間収入(手取り)
夫給与 30万円
児童手当 1万円
合計 31万円
月間支出
家賃 9万円
食費 7万円
光熱費 2万円
教育費 2万3000円
通信費 2万5000円
家族の小遣い 3万5000円
交際費・娯楽費 2万円
保険料 1万5000円
雑費 2万5000円
合計 32万3000円
ボーナス・年間手取り(手取り)
ボーナス 60万円
合計 60万円
貯蓄・運用
普通預金 30万円
定期預金 50万円
合計 80万円

この家計をもとに見直すべきポイントをみていきましょう。

家計見直しPOINT1.通信費・光熱費を削減する

意外に高い携帯料金

この家庭の家計を見たとき、「食費がちょっと高くない?」「赤字なんだから、交際・娯楽を減らせばいいのに」そんな風に思った人はいませんか?食費、娯楽費、交際費は、がまんさえすればカットできるので、家計のスリム化という意味では理にかなっています。

しかし、家族の不満や生活のうるおい、健康面から考えて、いちばんに取り掛かるのはおすすめしません。

家計のスリム化を図るなら、まず固定費から行うのがセオリー。この家庭の場合でいえば、とくに通信費からでしょう。通信費2万5000円となると、ドコモ・ソフトバンク・auといった大手キャリアの利用が考えられます。また、スマホプランを長く変えていなかったり、いくつも動画サブスクに入っていたりという可能性も。

大手キャリアから夫婦で格安SIMに乗り換えれば、毎月1万円以上の通信費削減も可能。キャリアメールが利用できなくなるといったデメリットもありますが、大手キャリアと見劣りなく使え、プランもシンプル。ムダを省いた最適なプランの選択を行うことで、より通信費を節約することができます。あわせてあまり利用していない動画サービスなどの不要なサービスも見直しましょう。

「手続きがめんどくさそう…」というイメージもあるかもしれませんが、通信費は一度見直すことで節約効果が持続します!固定費削減に直結するので、まずは通信費から見直すことをおすすめします。

また、次に見直したいのが光熱費。電気会社やガス会社も選べる時代となったので、会社やプランの切り替えで簡単に光熱費を下げられる可能性が!コンセントをこまめに抜くなどの地道な努力もいいですが、会社やプランの変更を検討してみるといいでしょう。住んでいるエリアで光熱費の節約額を比較できる「エネチェンジ」といったサイトもあるので、上手に活用してみては。

家計見直しPOINT2.ボーナスや児童手当は生活費にあてない

けっこうかかる教育費

この家族の家計では、毎月の赤字の補填をボーナスで行っています。会社員のボーナスがいつなくなるかわからないこの時代、月々の支出にボーナスをあてるのはおすすめしません。

また、児童手当も収入に含めていますが、児童手当はすべて貯蓄すると約200万円にもなります。生活費にあてずに、子どもの教育費として貯めておくのが理想でしょう。赤字ということは、家計にムダが潜んでいるか、気づかないうちに身の丈に合わない贅沢をしているということです。

月々の収入内でできること・できないことを見極め、やりくりできるよう努力してみましょう。

家計見直しPOINT3.手軽にはじめられる家計簿アプリをつけてみる

家計簿アプリをつけてみる

前述したとおり、うまくやりくりするためには月々の収支をきちんと把握することが大切。
そのため、家計簿をつけてお金の流れを掴むことは有効です。しかし、今まで家計簿をつけていなかった人がいきなり細かい家計簿をつけようとしても長続きしないことが多いはず。

家計簿アプリZaimuの入力画面

そこで紹介したいのが、初めての家計簿にもぴったりなスマホの家計簿アプリです。

中でも筆者がおすすめするのは「Zaimu」という家計簿アプリ。シンプルなうえ、手間をカットできる機能が盛りだくさんなので、初心者さんにも使いやすいです。手入力・レシート撮影の2種類の入力方法が可能、銀行口座やクレジットカードとヒモづけできる、収支をわかりやすくグラフ化して表示、など、魅力的な機能が満載。
もちろんほかにもさまざまな家計簿アプリがあるので、それぞれのアプリのポイントを整理して使いやすいものを選びましょう。例えば、クレジットカードの利用が多い人は、クレジットカードの利用履歴がそのまま家計簿に反映されるものを選ぶと、イチから記入する手間が省けてラクに家計簿がつけられます。

見直しで赤字家計から脱却!軽減した支出分はマイホームの頭金に

今回紹介した見直しポイント3つを取り入れることで、こちらの家庭の家計は以下のように改善。

月間収入(手取り)
夫給与 30万円
児童手当 1万円
合計 31万円
月間支出
家賃 9万円
食費 6万円
光熱費 1万5000円
教育費 2万3000円
通信費 1万3000円
家族の小遣い 3万5000円
交際費・娯楽費 2万円
保険料 1万5000円
雑費 2万円
合計 29万1000円
ボーナス・年間手取り(手取り)
ボーナス 60万円
合計 60万円
貯蓄・運用
普通預金 30万円
定期預金 50万円
合計 80万円

固定費である通信費と光熱費の削減とともに、家計簿の導入により食費や雑費のムダをカットしながら、以前よりも3万2000円支出を減らした計算です。毎月の余剰とボーナスはマイホームの購入のための貯蓄に。

年間22万8000円を貯蓄に回せるので、ボーナスと合わせて80万円程度を貯蓄できる見込みです。5年で400万円ほど貯めれば、マイホーム取得時の頭金として使えます。もちろん、貯蓄のすべてを頭金として使ってしまう訳にはいきませんが、頭金を少しでも多く用意できた方が、住宅ローンの返済もラクになります。

また、現在専業主婦の妻も働き、世帯収入自体をアップさせることも効果的。より貯蓄に回せる金額が増え、頭金の貯蓄スピードを上げることができます。また、住宅ローンを組んだあとは、教育費も増加していきます。今後必要になってくる教育費を貯めることにもつながるため、妻の再就職も検討してみるといいでしょう。

今回は、事例を挙げて家計の見直しポイントを紹介しました。固定費の見直しや家計簿アプリの導入など、みなさんの家計にも取り入れられる部分はぜひ参考にしてみてください。

●教えてくれた人/海田幹子
ファイナンシャルプランナー2級の資格を持つwebライター。ライフプランニングや住宅ローン、資産運用などお金にまつわる内容を多数執筆。私生活では2児の母。わかりやすくてためになる記事を執筆

画像/PIXTA(2、3、4枚目)