家好き芸人・アンガールズ田中さんが、建築家の個性豊かな自邸を訪問しました。今回紹介するのは、コンパクトだけど居場所がたくさんある、柳本英嗣さん(エキップ勤務)のお宅。

柳本英嗣さんのお宅を紹介するアンガールズ田中さん
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目次:

家が建つのは、東西に長く約78㎡とコンパクトな敷地1F 洗面&寝室 仕切りがなく行き来もスムーズです2F リビング&ダイニング 勾配天井と小上がりが楽しい空間2F キッチン&子ども部屋 植栽を配したバルコニーとのつながりも楽しい間取図

家が建つのは、東西に長く約78㎡とコンパクトな敷地

柳本英嗣さんご家族とアンガールズ田中さん

2駅利用できるけれど、どちらからも徒歩15分。「そのうえ車が入れない私道に面した土地で、何かと不便(笑)。そのぶん安かったんです。駅から離れているから静かだし、小さな子どもがいるので車が入ってこないほうが安心」という理由で柳本さんが購入した土地は、東西に長く約78㎡とコンパクト。住宅が密集しているため、日差しが得られる2階にLDKと子ども部屋、1階に寝室と洗面、浴室を配置しています。

玄関のガラスの引き戸を開けると、ゆったりとソファが配置された土間が広がります。「玄関が広くて、部屋みたいに過ごせるのがいいですね」と、ソファでくつろぐ田中さん。基礎に蓄熱するタイプの暖房を採用して家全体を暖めているため、日の当たらない1階も隅々まで暖かく、玄関も快適。夏はタイルのひんやり感が楽しめます。

「敷地がコンパクトなので、寒い場所をなくしてすべてを使い切ることで、狭さを感じずに暮らせるようにしています」と柳本さん。玄関は前庭を眺めながら走れるランニングマシンも置かれた多目的な空間で、グレーのタイル貼りの廊下の先に配されたウォークインクロゼット、扉のない寝室、洗面・浴室が緩やかにつながり、視線が奥庭まで伸びて奥行きが感じられます。

ギターのエフェクターの箱をカバーに利用したインターフォン

田中さんも絶賛のおしゃれなインターフォンは、ギターのエフェクター(音色を変えるための装置)の箱をカバーに利用。カメラ用の穴もあけました。

【この住まいのデータ(東京都目黒区)】

▼家族構成
夫40代 妻40代 長男保育園児

▼DATA
延床面積/82.49㎡(1階42.79㎡、2階39.70㎡)

1F 洗面&寝室 仕切りがなく行き来もスムーズです

玄関からの眺め

玄関からの眺め。奥の庭まで視線が伸びます。

浴室と洗面室

左/仕切りがなく、シャワーカーテンのみの浴室には、楕円形の浴槽とレインシャワーを設置。「これ、すっごく気持ちいいんですよね」と“エアシャワー”を満喫中の田中さん。右/奥庭に面した左手の窓から光を取り込む洗面室。毎朝、緑を眺めながら身支度ができます。

ホテルのような玄関

ホテルのロビーのようなおしゃれな玄関。ガラスの引き戸のおかげで明るく、開けると半屋外的な空間に。「オープンな玄関、おしゃれだな~」(田中さん)。

ウォークインクローゼット

洗濯機が設置されたウォークインクローゼット。洗濯物をたたみながら、庭が眺められる小窓も。

寝室

寝室にも庭に面した窓を設置。「小さな庭ですが、朝日が入り季節の変化も感じられます」と柳本さん。

玄関のガラス戸のカーテン代わりに使われていた布

「玄関のガラス戸のカーテン代わりに使われていた布が、すっごくきれいでした。布専門店でたまたま展示されていた1990年代のデッドストックだそう。夜は光を通して模様が浮かび上がり、幻想的な雰囲気になるそうです。こういうの、マネしたいよね~」(田中さん)。

2F リビング&ダイニング 勾配天井と小上がりが楽しい空間

リビングダイニング

前庭を見下ろす窓際にベンチを設置したリビングダイニング。壁と天井は左官仕上げで、ダウンライトを使わず天井をすっきり見せています。スピーカーなどはテレビ上部の棚にまとめています。

クールで落ち着いた雰囲気の1階から一転、LDKが配された2階は明るく開放感に満ちた空間。プライベートな部屋が並ぶ1階の天井高を抑えたことで、2階の天井の高さや明るさが強調されています。リビングには、勾配天井を生かした小上がりも。

「2畳ほどですが、お客さんが来たら泊まれるし、普段はゴロゴロしたり子どもが踊るステージになったり(笑)」(柳本さん)

小上がりの下は、階段の踊り場にベンチを設置した読書スペースになっています。

「リビングとつながっているけれど“こもり感”があって、読書に集中できそう。階段を上がったところのソファからはバルコニーが眺められて気持ちがいいし、いろんな居場所があると長く家にいても飽きないですね」(田中さん)

バルコニーに向かって配されたキッチンは、リビングダイニングとつながりつつ丸見えにならないのがポイント。窓からバルコニーの緑を眺めつつ、料理ができます。また、キッチン奥の子ども部屋からもバルコニーにアクセス可能。

「壁に絵が描けたり、ブランコがあったりする子ども部屋って、最高じゃないですか!?どこにいても植栽が見えるのも、開放感があっていいなと思いました」(田中さん)

階段の壁面の本棚

左/階段の壁面には本棚を設置。1階の気配も伝わります。右/「こんなところに抜け道が~!?」。リビングのベンチと小上がりとの段差部分に設けられた、階段踊り場への通路から顔を出す田中さん。大人がギリギリ通り抜けられるサイズだそう。

小上がりと階段踊り場の読書スペース

左/天窓からの光が美しい小上がり。ゴロゴロしながら空を眺めたり、光の移ろいを楽しんだり。右/階段踊り場の読書スペース。リビングとの距離感も絶妙で、「ここにいると、ホッとできます」と柳本さん。

玄関ホールの手洗い器

「玄関ホールに手洗い器が設置されていて、丸いライムストーンのボウルもステキなんだけど、銅の配管を見せているところにこだわりを感じました。階段の手前にあるので、見た目がおしゃれなだけでなく実用的で、コロナ対策にもいいですよね」

2F キッチン&子ども部屋 植栽を配したバルコニーとのつながりも楽しい

大きな窓を設けたキッチン

南側のバルコニーに向けて大きな窓を設けたキッチン。

こもり感のあるキッチンとバルコニーへの出入り口

左/「ちょっとこもり気味がいい」(妻)との要望により、半個室的な空間に。リビングダイニングからは見えない位置にオープン棚を設けています。右/バルコニーへの出入り口はベンチのように腰掛けられるようになっており、ベンチ下は防災グッズなどの収納に利用。

子ども部屋の壁はお絵かきOK

あとでペイントすれば消せるので、子ども部屋の壁は、クロス貼りにしてここだけお絵描きOKに。「壁に絵を描けるなんて楽しい~」(田中さん)。

キッチンの背面に設置したレトロなテーブル

キッチンの背面には、家電置き場として以前から使っていたレトロなテーブルを設置。作業台にもなります。

キッチンから子ども部屋を見たところ

キッチンから子ども部屋を見たところ。必要になったときに引き戸をつける予定。

ランニングマシンとアンガールズ田中さん

「これ意外としんどい~ 運動不足かも…」(田中さん)。

間取図

間取図

寝室、洗面・浴室を配した1階は、各室に建具がないので行き来がスムーズ。階段の踊り場には読書コーナーを設置。LDKと子ども部屋が配された2階南側には、壁を立てて周囲からの視線をカットし、緑を楽しみながら食事などを楽しめるバルコニーを設けています。

●田中卓志さん/アンガールズ
1976年広島生まれ。広島大学工学部第四類建築学部卒業。お笑いコンビ「アンガールズ」として活躍中。大学では建築の構造を研究し、得意分野は日本建築。現在、『突撃! 隣のスゴイ家』(BSテレ東)に出演中

取材協力/エキップ(2011年設立。住宅・店舗などの新築、戸建て&マンションリノベーションに加え、不動産仲介も手掛ける一級建築士事務所。さまざまな資格を持つスタッフをそろえる)

撮影/山田耕司 ヘアメイク/石川真理 ※情報は「住まいの設計2021年6月号」取材時のものです