折り込みチラシやネットで「水回り〇点パック」というリフォームの広告を目にしたことがある、という方は多いのではないでしょうか。大手メーカーの製品が、相場よりリーズナブルな価格に設定されていることが多く、たしかに魅力的。でも、安さに飛びついて進めてしまうと、「なんだか理想と違った」という結果になることも。リフォーム会社に営業として4年間勤務した経験を持つ日刊住まいライターが、そのからくりを語ります。リフォームのパック商品は、なぜ安い?失敗しないため、なにに気をつければいい?

経年劣化したキッチン
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リフォームのパック商品は大量仕入れ&まとめて工事するから安いオプションをつける場合は要注意設備機器のグレードを下げてオプションをつけるという手も

リフォームのパック商品は大量仕入れ&まとめて工事するから安い

ユニットバス工事のイメージ

そもそもパック商品はなぜあんなにおトクなのでしょうか。1つは、同じ商品を大量発注することで仕入れ価格が安くおさえられることが挙げられます。仕入れ先から同じ商品をまとめ買いすることで、安く仕入れられるのです。

もう1つは、水回りをまとめて施工することによって工事費をおさえられるからです。浴室、キッチン、トイレ、洗面と別々に工事をするより、まとめて同じタイミングで同じ日に作業をした方が当然費用は安くなるというわけです。

筆者が以前勤めていたリフォーム会社では、大手住設メーカーごとのパック商品を展開しており、水回り4点(ユニットバス、システムキッチン、トイレ、洗面化粧台)に施工費・最低限の内装工事等も含めて200万円を切る価格でした。「激安」とまでは言えませんが、他社と比べると、パック商品としてはグレードの高い製品で構成されていたため、かなりおトクな商品だったと思います。

リフォーム会社によって、グレード別にいくつかのパック商品を展開していたり、とにかく安さが売りのシンプルな製品で構成されていたり。ひと口にパック商品といってもいろいろな特色があるので、価格と内容をよく照らし合わせて、自分にとってコスパのいい商品を選ぶといいと思います。

オプションをつける場合は要注意

高機能ガスコンロのイメージ

パック商品に含まれていないオプションをつける場合は要注意です。先に述べたように、パック商品は、同一商品を大量仕入れすることで安くなります。そのため、通常の商品よりも色やパーツの選択肢が少ない場合も。トイレや洗面化粧台は白のみだったり、システムキッチンやユニットバスは人気色のみだったり、ということが多いです。

どうしても希望する色やパーツにしたい、とオプションを追加すると、割引されないことや、割引率が低くなる場合があります。たとえばキッチンのコンロを、パック商品に含まれていない高機能なものに変更した場合、その差額に関してはほとんど定価に近い価格になってしまいます。オプションについては、リフォーム会社によって対応が異なりますので、依頼する前によく確認しておきましょう。

設備機器のグレードを下げてオプションをつけるという手も

システムキッチン工事のイメージ

オプションをつけると割高になってしまう、ということはわかっていても、せっかくのリフォーム、できる限り自分の希望をかなえたいですよね。パック商品の標準装備では満足できない場合、設備機器をあえてパック商品ではないシリーズのものに変更するのもひとつの手です。

メーカーにもよりますが、システムキッチンやユニットバスなどの設備機器は価格帯別に数種類のシリーズを展開しています。パック商品には、その中のスタンダードなシリーズが採用されていることが多いです。たとえば4つの価格帯のうち、下から2番目のシリーズがパック商品に採用される、という具合です。

オプションをつけるうちに本来のパック商品の価格からかけ離れてきたら、設備機器のグレードを1つ下げて見積もりを取ってみましょう。いろいろとオプションをつけてもトータルの金額がパック商品より安くなる場合があります。また、工事の内容が変わらなければ、工事費はパック商品のまま適用してもらえることも。

割引率が異なるため、あまり安くならないことや、そもそも部分的なシリーズの変更に対応してもらえない場合もありますが、まずは見積もりを依頼してみましょう。別のメーカーの商品で価格が安いものがないか聞いてみるのもいいかもしれません。

以前、水回り4点パックを検討していたお客様で、パック商品そのままのキッチンの仕様に満足できず、オプションをつけていたら数十万アップしてしまった方がいらっしゃいました。

そのお客様がこだわったポイントはデザイン。レンジフードやコンロ、面材の色を違うものに変更したい、というご希望でした。それならば、と1つ下のグレードのキッチンに変えて希望のオプションをつけたところ、パック商品そのままの値段とまではいきませんでしたが、かなり金額をおさえることに成功しました。

パック商品はたしかにおトクですが、決して少なくはない金額をかけて行うリフォームです。安さに飛びつく前に、自分の希望が叶うのか、そもそもパックでやる必要があるのか、よく考えてから検討しましょう。

画像/PIXTA