新築や増改築には大きな費用が必要。ですから、住宅ローン控除や住まい給付金などの補助金は積極的に活用したいところです。しかし、それらには物件や借りる人の条件がともないます。親の家をリフォームした日刊住まいライターは、条件に当てはまらずローン控除や補助金を受けられなかったそうです。なぜ受けられなかったのでしょうか?そのわけをリアルにレポートしてもらいました。

親の家を改築
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新たに家を取得したわけではないので「すまい給付金」はもらえず「住宅ローン控除」はリフォームも対象。書類を揃えて税務署へ!確定申告後、役所から住宅ローン控除対象外の知らせが!

新たに家を取得したわけではないので「すまい給付金」はもらえず

給付金の申請

わが家がリノベーション工事を開始した際、リフォーム業者の担当者から「マイホームを手に入れるのだから、すまい給付金を利用できるのではないか」と言われました。

「すまい給付金」とは、消費税率引き上げによる住宅取得者の負担を緩和するために創設された制度です。特定の条件を満たす住宅購入者に対して、最大50万円、現金で給付金を支給されます。

「リフォームを手掛ける会社の社員が言うのだから、きっとわが家も対象になるのだろう」と調べてみました。すると、驚きの事実が分かります。

新築住宅だけでなく、中古住宅を購入する人にも適用されるこの制度。ただし、これはあくまで住宅の購入費にのみ適用される給付金とのこと。

国土交通省のHPを見てみると、ほかにも以下のような記載がありました。

  • 住宅を取得し登記上の持分を保有するとともにその住宅に自分で居住する
  • 収入が一定以下

「すまい給付金」を受け取る資格のある人は、新たに住宅を取得し、上記2点に当てはまる人です。わが家は新たに住宅を取得したわけではないので、「すまい給付金」を受け取れる対象ではないのです。

「住宅ローン控除」はリフォームも対象。書類を揃えて税務署へ!

確定申告をしに税務署へ

「すまい給付金」の対象外ということが判明した後、リフォーム業者の担当者と再度話す機会があり、すまい給付金は対象外だったことを伝えたところ「住宅ローン控除なら対象内のはずだ」と教えてもらいました。

国税庁のHPにも「住宅ローン等でマイホームの新築、購入、増改築等をしたときは、一定の要件に当てはまれば、所得税の減税を受けることができます」とあります。

つまり住宅ローン控除は新築物件、中古物件の購入以外にも、リフォームやリノベーション工事も対象ということ。

リフォーム業者の担当者に調べてもらったところ、リフォーム・リノベーション工事の内容が以下のいずれかに当てはまる場合は、住宅ローン控除の対象になるということが判明しました。

  • 増築、改築、大規模修繕、大規模の模様替え
  • 床、階段または壁の半分以上をリフォームする
  • リビング、キッチン、浴室、トイレ、洗面所、納戸、玄関、廊下一室の床の工事または壁のリフォーム
  • 耐震リフォーム(条件あり)
  • バリアフリーのためのリフォーム(条件あり)
  • 省エネのためのリフォーム(条件あり)

これを見ると、わが家もこれに当てはまるはずです。

前提となる条件は、増改築等工事証明書などの工事を証明できるものを発行できること、リフォーム費用が100万円以上であること、居住用部分の費用がリフォーム費用の総額の半分以上であること。

さっそく以下の必要書類6点を用意。

  • 家屋登記事項証明
  • 土地登記事項証明
  • 住宅工事請負契約書
  • 本人確認用書類
  • 前年度源泉徴収票
  • 住宅ローン年末残高証明

これらをもとに税務署で確定申告書の必要箇所に記入。初年度の控除額は税務署で計算してもらうことができました。

確定申告後、役所から住宅ローン控除対象外の知らせが!

住宅ローン控除は受けられず!

確定申告の書類を提出して数週間後、税務署から住宅ローン控除対象外のため、確定申告のやり直しを求める書類が送られてきました。

対象外となった理由は、「リノベーション工事のローンを組んだ際、建物の所有者はローンを組んだ本人(=筆者の夫)ではなく筆者の母だったため、マイホームの修繕には相当しない」というものでした。

わが家のケースでは、もともと筆者の義母が土地と建物の所有者でした。持ち分を見直したのはローンを組んだ後のこと。つまりローンを組んだ時点では自分の財産ではなかったので住宅ローン控除を受けることができなかったのです。

税務署の窓口で相談したときには「対象とならない可能性」については教えてもらうことができず、申請してみて初めて判明した事実でした。

わが家のように子世帯が親世帯所有の家のリフォームやリノベーションで、控除や補助金を利用しようと考えているなら、事前に対象のなる条件をしっかりチェックすることが大切です。