土地の情報を大量に、かつ、手軽にネットで収集できるようになった結果、かえって決められない…。そんな事態に陥っている人は多いのでは。今回は、家づくりの際に土地探しをする場合、どの程度エリアを絞り込めばいいのか、そのヒントをお伝えします。また、あわせて、最近特に関心が高まっている「災害に強い地域」についても紹介。不動産仲介や建築不動産コンサルティングをしている藤谷幹さんのアドバイスを交えて、疑問に答えます。

子どもの進学など将来を見据えてエリアを選ぶ
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目次:

Q:土地を探すとき、エリアはどの程度絞り込むべき?Q:災害に強い地域を選びたい。手がかりやヒントはどこに?

Q:土地を探すとき、エリアはどの程度絞り込むべき?

A:特に決まりはありませんが広げすぎると迷いの原因に

土地を探すにあたってのエリアの希望は人によって様々です。
「現在住んでいる地区で絶対に見つけたい」「実家の近くで探したい」など希望が明確な場合もあれば、「同じ市内であればどこでも構わない」と、あまりこだわりがない場合もあります。

ただ、あまりに対象となるエリアを広げてしまうと、選択肢が増えすぎて、かえって決め手が見つかりづらくなるので要注意です。

「家探しはいわば、人生を見直すタイミング。例えば、子育て世代であれば、『学区をどう考えるか』『転園・転校が発生してもOKかどうか』なども、1つの選択基準になります。『実家が近くにあるわけではないので、エリアにはこだわりません』とおっしゃっていたけれど、よくよく考えたら、『子育ての相談ができるママ友と離れたくないので、今と同じエリアに住みたい』と思うようになったというケースも、決して珍しくありません」

子どもの進学など将来を見据えてエリアを選ぶケースもあれば、今住んでいるところのコミュニティを重視するといった選択肢もあります。

「この沿線に住みたい」というようなフィーリングはもちろん大切ですが、同時に生活をしていくうえでの地元の人たちとのお付き合い、コミュニティのあり・なしなども、家族が増えるにしたがって重要度は増していきます。自分たちが望む暮らしを実現できる街なのかどうか、仮説を立てながら情報収拾し、冷静に見極めていくことが大切です。

Q:災害に強い地域を選びたい。手がかりやヒントはどこに?

A:ハザードマップを入手し、リスクを把握しましょう

災害のリスクに備える

土地を選ぶにあたっては、理想とする暮らしによって様々な条件があります。最近特に関心が高まっているのが「自然災害に強い土地かどうか」という観点です。日本は世界でも屈指の災害大国。地震が多いことは周知のとおりですが、近年はさらに台風や大雨などによる冠水、土砂崩れなどの被害も全国各地で起きています。

万が一、災害が起きたとしても被害を最小限にとどめるために、住みたい土地の災害リスクは必ず把握しておきたいところ。地震にしろ、水害にしろ、道を1本隔てただけなのに、一方は被害が大きく、もう一方はほとんど被害にあわないといったことは珍しくありません。

こうした情報収集に役立つのが国土交通省の「ハザードマップポータルサイト」です。ハザードマップは、自然災害による被害リスクを地域や場所ごとに示したもの。災害発生時の危険度はもちろん、避難所や避難経路など防災に役立つ情報も入手できます。

「ここ数年、現地見学の前にハザードマップで情報を調べて来る方が増えています。また、経験豊富な建築家だと購入予定地だけではなく、周囲の地形や地盤についてもしっかり目を向けます。例えば、地名に『谷』がつくと、昔は川が流れていて地盤はよくなさそうだと推測される場合も。こうした専門家の知識も、土地選びにぜひ有効活用していただきたい」

大きな買い物だからこそ、万が一のリスクにも備えておきたいもの。あらゆる情報を総動員し、災害に強い土地選びを実現しましょう。

●教えてくれた人/藤谷 幹さん
創造系不動産所属。建築家とタッグを組み、「建築と不動産のあいだ」に焦点を当て、不動産やファイナンスをサポートする

写真/PIXTA