テレワークやオンライン授業が増え、家族がリビングにいる時間が長くなりました。そこでリビングをもっと使いやすくて、快適な場所にアップデートしてみませんか?その方法は意外に簡単!一級建築士のしかまのりこさんが、実際に相談を受けた事例をもとに3Dを使って分かりやすく解説してくれました。今回のケーススタディでかかった費用は、なんと4万円だけ。あなたもゴールデンウイークに挑戦しませんか?
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4人家族、12畳の散らかり放題のリビングダイニングが、劇的に変わった!STEP1.模様替えの前にエアコンや換気の風の流れ方をチェックしてみようSTEP2.部屋を空間分けしてモノの入り混じりを防げば、片付くリビングに!STEP3.はじめに面積の大きいリビングダイニングゾーンをつくってみるSTEP4. リビングダイニングゾーンが配置できたら次は衣類収納・着替えゾーンSTEP5.最後に勉強や遊びの機能を持つキッズコーナーをつくれば完成! IKEAやニトリの家具と100均で模様替えは4万円で収まった!4人家族、12畳の散らかり放題のリビングダイニングが、劇的に変わった!
上の図は、都内に暮らす4人家族の住まいのモデルケース(30代ご夫婦共働き+小学2年生+保育園児を想定)、4人家族のお住まいです。間取りはマンションに多い一般的な12畳のリビングダイニングです。
共働きで家事の時間が少なく、散らかり放題になってしまい、くつろげないリビングダイニングがお悩みでした。
上の図は、模様替え後の様子です。ソファやダイニングテーブルなど、すべての家具の買い替えを行わず、模様替えをしました。
家具の配置を行うとき、考えなくてはいけない、いくつかのポイントがあります。
おもなポイントは以下の3つです。
- 部屋のエアコンの位置や換気のための空気の流れを考える
- くつろぐリビングダイニングゾーンや勉強などをするキッズコーナーなど、機能別に空間を分ける
- 動きやすいスムーズな生活、家事、収納動線の確認
家具配置を行うときに、TVや照明の位置を気にする方は多いのですが、エアコンの位置や換気による空気の流れを気にする人はほぼいません。ダイニングやリビング学習など、部屋の機能による空間分けを行っている方も、少数です。
しかし、目に見えない空気の流れやエアコンによる風などは、身体に影響を与えます。また部屋の気流が乱れることで、モノも入り乱れ、散らかりやすくなります。
では、どのようにして空気の流れや空間分けを考え、家具配置をしていけばよいのか?詳しく見ていきましょう。
STEP1.模様替えの前にエアコンや換気の風の流れ方をチェックしてみよう
上の図は、部屋の換気による空気の流れを矢印で表したものです。
多くの住まいには、24時間換気扇という住宅設備が、洗面室や浴室についています。そして、壁についた給気口から外の空気を取り入れ、その空気は24時間換気扇に向かって矢印のように流れていきます。
そのため、給気口のそばに、ペットのトイレやゲージなどを置くと、悪臭やペットの毛などが空気に乗って散らかりやすくなるので注意が必要です。
またエアコンですが、暖房時の暖気は下に向かって、冷房時の寒気は天井と平行に噴き出すと、効率よく部屋が空調されます。
そのため、エアコンの真下およびエアコンの正面3m以内には、デスクなどを置かないことが大切です。
このように家具配置を考える際に、まず部屋のエアコンの位置と、24時間換気が付いている住宅では、給気口の位置を確認しましょう。
目に見えない空気の流れを考えて家具配置することで、快適で健康的な部屋にすることができます。
STEP2.部屋を空間分けしてモノの入り混じりを防げば、片付くリビングに!
次に、機能による部屋の空間分けを進めていきます。
リビングやキッズコーナーをどのあたりに配置するか、まずは考えをまとめていきます。
例えば、こちらのケースでは、上の図のように3つの空間に分けました。
- 食事とくつろぎの機能を持つ、リビングダイニングゾーン
- 着替えをしたり、子どもの衣類を収納する機能を持つ、衣類収納・着替えゾーン
- 学習・通学用品を収納し、勉強や遊びの機能を持つキッズコーナー
空間を分けたことで、学習用品はキッズコーナーに、衣類は衣類収納、着替えゾーンに収納する場所ができ、モノの入り混じりを防ぐことができます。
モノの入り混じりを防ぐことで、モノが広い範囲で散らかりにくくなり、片付きやすい部屋へとなります。
STEP3.はじめに面積の大きいリビングダイニングゾーンをつくってみる
部屋の空間分けができたら、つぎは各ゾーンをつくっていきます。
はじめに、一番大きい面積を必要とするリビングダイニングゾーンをつくっていきましょう。
上の図のように、ダイニングテーブルやソファの位置を、矢印で示したスムーズな動線を考えながら配置します。
このとき、TVの位置を一番に優先しがちですが、できるだけソファの配置を優先させます。つまり、「ソファ→TV→ダイニングテーブル」の順に配置していきます。
結果としてTV配線が長くなってしまう場合は、配線ケーブルを長いものに買い替えて、邪魔にならないようにフックで巾木に固定します。
配線ケーブルは、長いもので5mのものが市販されています。
STEP4. リビングダイニングゾーンが配置できたら次は衣類収納・着替えゾーン
リビングダイニングゾーンが配置できたら、次に、着替えをしたり、子どもの衣類を収納する機能を持つ、衣類収納・着替えゾーンをつくりましょう。
衣類収納・着替えゾーンは、すでに住まいに設置されているクロゼットなどのそばに配置すると、収納が1か所にまとまり、収納作業などの家事がラクになります。
また着替えのときにあちこちに移動しなくてすむため、幼児でも、1人で身支度や着替えができるようになり、自立をサポートしてくれます。
隣り合うキッズコーナーとの間には、オープン棚やローチェストを置いて、空間を分ける間仕切りをつくります。間仕切りにオープン棚を使えば、キッズコーナーからも使える収納にすることも可能。
間仕切りに使う収納は、ハンガーラックなど高さのあるものでも問題ありませんが、圧迫感が出てしまいます。収納による圧迫感を抑えたいときは、上の図のように、ローチェストなど高さを低いものにしましょう。
STEP5.最後に勉強や遊びの機能を持つキッズコーナーをつくれば完成!
最後に、学習・通学用品を収納し、勉強や遊びの機能を持つキッズコーナーをつくりましょう。
キッズコーナーの学習デスクは、壁に向かって配置します。壁に向かえば、TV画面や目を引きがちな雑多な情報が視界に入らないので、勉強に集中できます。
学習デスクの横にはランドセル置き場をつくり、ランドセルは必ずその場所に置く習慣をつけます。
また、学習用品や通学用品は、引き出しユニットや、間仕切りとしている、オープン棚に収納しましょう。
IKEAやニトリの家具と100均で模様替えは4万円で収まった!
今回の模様替えで、12畳リビングダイニングにリビングダイニングゾーンや衣類収納ゾーン、キッズコーナーなどをつくることができました。
かかった費用は合計 3万9534円(税込み・記事記載時点の価格)でした。
キッズコーナー
- 子どもチェア(IKEA)2999円×2=5998円
- デスク(楽天)1万990円
- 引き出しユニット(IKEA)1999円
衣類収納・着替えゾーン
- オープン棚(IKEA)4999円
- ローチェスト(楽天)8280円
- チェスト・カラーボックス上置収納ケース(セリア)110円×6=660円
リビングダイニングゾーン
- カラーボックス(ニトリ)1212円×4=4848円
- オープン棚・カラーボックス用インナーケース(セリア)110円×16=1760円
わずか4万円で12畳のリビングダイイングが模様替えでスッキリ。
機能別に3つのゾーンに分けたことで、モノが散らからなくなりました。
衣類収納・着替えゾーンとキッズコーナーもコンパクトにまとまっています。
リビングダイニングゾーンの動線もよくなりました。
模様替えの方法を知れば、市販の製品を使って手軽に自宅をアップグレードできます。せひ挑戦してみてください。
●教えてくれた人/しかまのりこさん
COLLINO一級建築士事務所主宰。一級建築士、300軒以上のリビング・寝室・子ども部屋の模様替えを行い、模様替えのスペシャリストとしてTVや雑誌でも活躍。著書も多数。近著に「狭い部屋でも快適に暮らすための家具配置のルール」(彩図社刊)がある