結婚して時間が経過していくと、どうしてもモノは増えてきます。それまでは片付け上手であった人でも、徐々に家のあちこちが散らかり放題になることも少なくありません。建築家のしかまのりこさんは、モノが増えても「収納する力(収納力)」「空間を考える力(空間力)」の「部屋の動線を考える力(動線力)」の3つを駆使すれば、解決する問題だと言います。今回は「空間を考える力(空間力)」について、3Dで分かりやすく解説してもらいました。

モノがあふれているLDK
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目次:

空間力とは、部屋に置ける家具やインテリアの量を考えられる力不揃いな家具や隙間をなくし、置く場所の空間を100%有効に使う!トイレや洗濯機の上も空間力の腕の見せ所。100%有効利用を!

空間力とは、部屋に置ける家具やインテリアの量を考えられる力

家具配置に大切な空間力とは、簡単に言うと、部屋にどのくらい家具やインテリア雑貨などを置くことができるのか?を客観的に考えられる力のことです。

しかし実際には、インテリアショップなどで、家具やテーブルランプ、クッションなどのインテリア雑貨を衝動買いする人は意外に多く、その結果、部屋にモノが増え、リビングが雑然としてしまいます。

そのほかにも、家具を考えて購入したのはよかったが、思いのほか使い勝手が悪かったという場合もあります。
例えば、オットマンとかサイドテーブルなどです。

これらの家具は、捨てられずに、いつか使うと思ってリビングの片隅に置かれていることが多く、結果として物置化してしまいます。

衝動買いした家具やインテリア雑貨は、本当に必要かどうか考え、最低限に減らしましょう。
また、捨てられずにおいている家具は、この先使うことはないので、フリマアプリでリサイクル、または断捨離しましょう。

そして、今後同じ間違いをしないためにも、家具やインテリア雑貨を買うときは、衝動買いしないことを心掛け、また、使ってない家具は、すぐにリサイクルする習慣を徹底してみてください。

不揃いな家具や隙間をなくし、置く場所の空間を100%有効に使う!

リビングダイニングに収納家具を置く場合、その家具選定を間違えると、モノを上手に収納することができず、片付かない状態「リビング崩壊」を引き起こしやすくなります。

ここで知っておきたいことは、収納家具を選ぶときの基本的な考え方。家具を置く場所の空間を100%有効に使うということです。

不揃いな家具と隙間だらけで片付かない収納スペース

上の図を見てください。収納家具が並んでいますが、高さや幅など大きさがバラバラなため、隙間などの無駄が多く、100%空間を有効に使えていません。

そのため、収納家具を置いていますが、しまいたいモノがうまく収納できていないため、モノが散らかる「リビング崩壊」を起こしてしまっています。

収納スペースを100%フルに利用した家具を選ぶ

この場所に収納家具を置く場合は、上の図のように、赤点線で囲った空間を、100%フルに利用した家具を選ぶべきでした。

空間を100%活用できるように、収納家具の高さなど、大きさを揃えて配置

そこで、上の図のように、空間をフル活用できるように、収納家具の高さなど、大きさを揃えて配置しなおしました。

わずかな隙間など無駄な空間がなくなることで、収納量がアップするため、モノを収納しやすくなります。また、家具が統一されていることで、見た目もきれいになります。

トイレや洗濯機の上も空間力の腕の見せ所。100%有効利用を!

洗面室やトイレは、広くない限られた空間ですが、洗剤や化粧品、タオルやトイレットペーパーなど、モノの多い空間です。

そのため、上手に収納家具を設置できていないと、モノがあふれてしまいます。

洗濯機の上も、立派な収納空間

ご存知の方も多いと思いますが、上の図のように、赤点線で囲った洗濯機の上やトイレのタンクの上も、立派な収納空間です。
モノが多い洗面室やトイレなどは、デッドスペースと呼ばれるこの空間を使わない手はありません。

洗濯機の上に壁を利用した吊り戸棚や固定棚を設置

このデッドスペースを利用した収納方法で一番のおすすめは、上の図のように、壁を利用した吊り戸棚や固定棚を設置してしまう方法。

壁に棚を固定しているため、ぐらつく心配もなく、立派な収納空間になります。

壁にビスなど打てない場合は市販の突っ張り収納ラックを設置

賃貸など壁にビスなど打てない場合は、上の図のような市販の突っ張り収納ラックを使います。

突っ張り収納ラックとは、便器や洗濯機を避けて、床と天井に突っ張らせて設置するモノで、トイレットペーパーや洗剤など、小物類を載せておくことができる優れものです。

棚以外の部分はスチールのため、磁石のついたフックなどをつければ、吊り下げる収納としても利用できます。

家具の衝動買いはしない、空間をフルに活用した家具を選ぶ、そして、部屋のデッドスペースを利用すること。この3つで、部屋の散らかりを防ぐための空間力は、すぐに改善することができます。

●教えてくれた人/しかまのりこさん
COLLINO一級建築士事務所主宰。一級建築士、300軒以上のリビング・寝室・子ども部屋の模様替えを行い、模様替えのスペシャリストとしてTVや雑誌でも活躍。著書も多数。近著に「狭い部屋でも快適に暮らすための家具配置のルール」(彩図社刊)がある