狭いので収納量が足りない、子どもが成長し個室が必要…。マイホームを手に入れるための頭金を貯めようと、家賃の安い団地や社宅に住む人にとって悩みは多いもの。一級建築士のしかまのりこさんは、上手に家具を選択し家具レイアウトを変えることで、そうした悩みを解決できると言います。今回は、団地サイズの2DKに暮らす4人家族から相談された「小学校に上がる子どもに部屋を与え、自立環境を整えたい」という事例をもとにスケッチや3Dを使って解説します。
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4人家族で6畳3間の2DK。なんとか子どもたちの自立環境を整えてあげたい!ビフォー:収納が足りないキッチン、家具に占領されたリビングと問題山積アフター:部屋の使い方を見直しアップデート!片付く快適な空間に模様替えに相談者も感動。IKEAやニトリの家具で各部屋が生まれ変わった!4人家族で6畳3間の2DK。なんとか子どもたちの自立環境を整えてあげたい!
相談者プロフィール
- 女性、34歳、会社員
- 同居家族:夫、36歳、会社員。子どもは長女9歳と次女6歳
- 住居形態:賃貸2DK
相談内容
- 戸建を購入したいため、しばらくは家賃の安い団地に住んで貯金を続けたい
- 春から長女が小学4年生、次女が小学1年生にあがるため、それぞれに勉強机などを置いて、子どもの自立環境を整えてあげたい
- 今はモノが多く、休みの日にまとめて掃除をする状態。モノを少なくシンプルにして、掃除や片付けの手間を減らしたい
ビフォー:収納が足りないキッチン、家具に占領されたリビングと問題山積
上の図は、現在お住まいの賃貸2DK間取りの様子です。ダイニングキッチン・リビング・和室それぞれ6畳になっており、現在は和室に布団を敷いて、家族4人、川の字になって、仲良く就寝されています。
こちらの図は、現在の家具レイアウト、ビフォーの様子です。
間取り図にある矢印は、扉の位置になります。
相談内容にあったように、現在は、全体的にモノが多く散らかり放題になっています。
ダイニングキッチンですが、収納家具の大きさもバラバラで統一感がなく、また収納量も少ないものを横並びに多く置いている状態です。
ダイニングテーブルは幅120㎝と、決して大きくはないのですが、テーブル回りに動線があるため、ぶつかりやすく圧迫感があります。
また、ごみストッカーの位置もコンロ前と悪く、たいへん狭く動きにくいダイニングキッチンになっています。
リビングですが、大き目のリビングテーブル、二人掛けソファとひとり掛けチェアのほか、リビング学習用の机が置かれています。しかし、6畳の空間にこれだけの家具は多すぎます。
和室ですが、布団を畳めば部屋が広く使えるというメリットがあります。
しかし、部屋が広いからと、洗濯物を干してしまうと、布団を敷いた状態ではかなりきゅうくつで、動きにくい部屋になってしまいます。
アフター:部屋の使い方を見直しアップデート!片付く快適な空間に
このような家具が大変多い状態で、さらに子ども用の勉強机を増やし、自立環境を整えることはとても難しくなります。
そのため、全体的な家具の見直しや、またレイアウトなどを変更して、住まいを整えることからスタート。
まずはじめに、現在の部屋の使い方を整理します。
上の図のように、リビングとして使っていた部屋は、リビング機能はそのまま、さらに夫婦の寝室としても使えるように、機能をアップデートします。
また家族の寝室として使っていた和室は、2人の子どもの部屋として整えます。
ダイニングキッチンですが、動きにくかった角のある長方形のダイニングテーブルとキッチン収納を見直し、動きやすく収納しやすいキッチンに模様替えをしました。
こちらの図は、家具の見直しとレイアウトを変更して、部屋の模様替えをしたアフターの様子です。
リビングの二人掛けソファとひとり掛けチェアは、ソファベッド(ダブルベッド用)に買い替えます。そうすることで、昼夜はリビング、就寝時は夫婦の寝室として使うことができます。
また子どもがリビング学習をしていた机は、配置を変え、テレワーク用の机として再利用します。
大き目のリビングテーブルは、ソファベッドを広げた状態でも置き場所に困らないように、円形のリビングテーブルに買い替えました。
和室は、二段ベッドのほか、学習机と収納家具をそれぞれの子ども用に置いて、子どもたちが自分で片付けられるようにしました。
和室の物干しは浴室に。給気口を空けて、換気扇を回しておけば、空気の流れ道ができるため、雨の日でも洗濯物はよく乾き、室内の結露防止にも役立ちます。
ダイニングキッチンですが、スチールラックに収納ケースを置いて食品ストックや食器棚として使用。スチールラックは高さがあるため、通常のキッチン収納より収納量が倍増します。
また、高さのあるスチールラックを置くことで、収納スペースが小さくなるため、ゴミ箱も邪魔にならない位置にレイアウトすることができました。
ダイニングテーブルはφ90㎝のラウンドテーブルに買い替えることで、テーブル回りの動線が広くなり、動きやすくなりました。
上の図は、リビングのソファベッドを広げて、ベッドにした様子です。
夫婦の寝室としても、無理なく使えることが分かりますね。
模様替えに相談者も感動。IKEAやニトリの家具で各部屋が生まれ変わった!
それでは、住まいがどのように変わったか?
ビフォーアフターの様子を3Dパースで確認してみましょう。
こちらは模様替えビフォーのダイニングキッチンの様子です。
こちらは模様替えアフターの様子です。スチールラックを置くことで、収納量が増え、キッチン回りが片付きやすくなりました。
こちらは模様替えビフォーのリビングの様子です。
そして、こちらが模様替えアフターの様子です。
機能的なソファーベッドを置くことで、家具を少なくすることができ、部屋は動きやすく広い印象になりました。
こちらは模様替えビフォーの和室の様子です。
そしてこちらが、模様替え後の和室の様子です。
和室を子ども部屋にしたことで、子ども自身が部屋を管理する能力が芽生え、子どもの自立をうながすことができます。
今回ご紹介した模様替えアイテムは、IKEAやニトリ、カインズなどネットショップで安価に購入できるものです。
子どもの進学と同時に、子ども部屋を用意してあげたい場合は、模様替えで住まいを整えてみてはいかがでしょうか。
きっと、お子様も喜びますよ!
●教えてくれた人/しかまのりこさん
COLLINO一級建築士事務所主宰。一級建築士、木造・鉄骨造既存建物耐震診断士など、建築に係る重要な資格を多数保有。設計・検査・審査した住戸数は5000軒以上。また、300軒以上のリビング・寝室・子ども部屋の模様替えを行い、模様替えのスペシャリストとしてTVや雑誌でも活躍中