家のなかで、よく目につくはずなのに、掃除や片づけが後回しになりがちな場所があります。それは、玄関。家の顔ともいわれる場所なのに、出入りするときは慌ただしかったりして、意外と整理整頓できないもの。いつの間にか靴箱の奥の方につっこまれて忘れられた靴があったり、靴がたたきにあふれて足の踏み場がなくなったり…。そんな悲しいことにならないためには、どんな工夫をすればいいのでしょうか?
そこでESSE編集部は、家族が使いやすく、いつでも人を呼べる玄関を実現している達人に収納やインテリアの工夫を取材。ヴィンテージ風インテリアが大好きという沢崎裕子さんの玄関を見せていただきました。「気に入った家具や雑貨は値段が高く、それなら自分でつくってしまおう」とDIYを始めた沢崎さんは、なんと靴箱も手づくり。3度の改良を重ねたという靴箱と、玄関のこだわりについて教えていただきました。
家族が使いやすい!急な来客にもあわてない!いつでも快適!玄関収納&インテリア
4人家族にしてはやや小さめですが、圧迫感を出したくなかったので、背は低めにしたという靴箱。きれいめではなく、あえてラフなテイストに仕上げつつ、清潔感ある玄関を目指したそう。「帰宅して最初に目に入る場所だから、妥協したくなくて。靴箱の雰囲気に合わせて壁の色を変えたり、納得がいくまで試行錯誤しました」。ビンテージ風に加工した木の素材感を生かした靴箱は、家を訪れる友達にほめられることも多いそうです。
●試行錯誤しながら改良した靴箱
ここに至るまではさまざまな改良が。最初は古いガラスのような質感に憧れてプラ板で扉をつくっていましたが、中が透けるのが難点だったそう。
次に黒板風に塗ったベニヤ板を扉にはり、リメイク。好みや暮らしの変化に応じて、靴箱をつくり替えてきたからこそ、どんどん使い勝手もよくなりました。ちなみにこの頃のオリーブ色の壁は、今ではモルタル風に塗り替えてあります。
●靴箱は使用頻度に合わせて3つのゾーンを使い分け
靴箱は、真ん中を「1軍」、右を「2軍」、左を「3軍」に分類。上がりかまちに立ったときに、いちばん手が届きやすいエリアが1軍の靴の居場所です。「1軍の靴は毎日履くので、使い勝手を優先して、扉はつけません」。2軍には、たまに履く靴やオフシーズンの靴を。「ひと目で見渡せるように、収納グッズを使うなどの工夫をしています」。出番の少ないヒールや、冠婚葬祭用の靴は3軍へ。靴はここに入る分だけと家族で決めているから、ものが増えず管理もラクになります。
●使用頻度の低い靴は重ねて収納
「あまり履いていないけど、いずれ長女が履くかも」というパンプスは、左右を互い違いに重ねて、場所をとらないように収納。「それでも入りきらないときは、処分を検討します」。
●手づくりのコの字&L字ラックで収納スペースを増量
高さのある段には、端材でつくったコの字ラックとL字ラックを入れて収納力をアップ。「好きな場所に簡単に段を増やせます。不用になったときはすぐに外せて便利なんです」。サンダルやパンプスなど、低めの靴は2段で収納。「コの字ラックは、どこにでも動かせるので、靴箱の中身次第で、位置を調整しています」。
L字ラックは、右側にブーツを置くスペースを考えて設計。「右上には100均のワイヤラックをつるして、ブーツキーパーを置いています」。
●春夏がきたら、棚板をプラス!
春夏が来たら靴も衣替え。箱にしまっていたサンダルなどを、1軍ゾーンの左上の靴とチェンジすることに。「高さが減った分、棚板をたして収納量を増やします」。
すっきりした玄関を保つための掃除道具とディスプレー
整った玄関を保つためには、こまめな掃除と、気の利いたディスプレーも重要なポイントです。
●鍵や掃除道具はドア横のフックにかけて使いやすく
鍵や掃除道具は、使いやすさを優先し、玄関ドア横の壁につるして収納。「ホウキをかけているフックは、靴箱上の4連フックとテイストをそろえて統一感を出しました」。
ホウキは全部100円ショップのもので、ラベルをはったり、柄の部分を変えたり、自分好みにリメイクしています。
鍵をつるすプレートは、木にシルバーのスプレー塗料を吹きつけ、メタリック風に。「下の木製フックと素材感を変えることでアクセントになるし、素材が木だからクギも打てるのがうれしいですね」。
●手づくりの4連フックは季節でディスプレーを変えて楽しむ
ヴィンテージ風にダメージ加工を施した木のフックに、ファブリックやグリーンをディスプレー。「グリーンは100均のフェイクなので、お手入れいらず。帽子とストールは、出番の少なかったものを、ここに使える!と思って飾りました」。ちなみに、こちらは秋冬バージョンで、春夏は帽子を麦わら帽に変えたり、ファブリックを寒色系にしたりして変化をつけています。
右側のガラスビンは、白いアクリル絵の具を薄く塗り、すりガラス風に演出したもの。ついたくさん飾りたくなってしまうところですが、余白を残してすっきり感を出すのが、ディスプレーの成功の秘訣です。