ずっと快適に暮らせる家を建てたい!家を建てようと考えているすべての人が願うことではないでしょうか。それには将来の生活も想定して、バリアフリーの準備をすることも重要です。理学療法士の松下友貴さんにご自身が建てた「一生涯住めるバリアフリー住宅」を参考に、具体的なポイントを教えてもらいました。国家資格でもある理学療法士は、けがや病気、高齢者の基本動作能力の回復維持、日常生活の自立を目指す動作の専門家です。その視点からの家づくり、ぜひ参考にしてください。

バリアフリー住宅の玄関
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目次:

1. 玄関に折りたためる椅子を!狭いスペースでも設置可能2. トイレの手すりは跳ね上げ式。使うときだけ出すタイプを設置3. 個室から浴室・トイレまでの廊下の幅は80㎝。車椅子が通れるように

1. 玄関に折りたためる椅子を!狭いスペースでも設置可能

玄関に設置したい折りたためる椅子

古い日本家屋には玄関に靴を履く際、腰掛として利用することもできる段差のある上がり框(かまち)がありました。しかし、現代の家では段差も小さくなり、そのような使い方はできなくなりました。

そこで注目されているのが玄関椅子です。折りたたみ式を選択することにより狭い玄関でも設置することが可能です。

壁付けにするためには下地を補強しておくことが必要になります。台ではなく壁付けの椅子を使用することで椅子が固定され転倒を防ぐことができます。将来のためのモノですが、付けておくと便利。今でもヒール靴のストラップを着脱するときなど重宝しています。

玄関の椅子と手すりの位置関係

最近は玄関手すりは標準的に設置してくれる工務店が増えつつあります。ただ玄関椅子を設置することによって手すりを設置する場所が若干異なります。

先に椅子を設置しておいたほうが手すりとの配置もバランスよく使用できるようになります。

この写真のケースでは、人が腰かけたあと立ち上がりやすいように、椅子の高さを40㎝に。手すりの高さは下端を68㎝にしています。椅子と手すりの距離は20㎝。ちなみに座面の大きさは40㎝×25㎝で少し小さめに感じると思いますが、耐荷重100㎏ですので安心です。

2. トイレの手すりは跳ね上げ式。使うときだけ出すタイプを設置

トイレの手すり。使ってないときの状態

理学療法士としての経験から言うと、年をとってもトイレは自力で行きたいという方は非常に多いです。しかし自力で行くようにするためには手すりが必要になる時期が来ます。今は使用することはないけど将来のためにと思うならば、壁下地だけでも整えておくとよいでしょう。

最初から付けていても、使用しないときは跳ね上げておけるタイプを設置すれば邪魔になることはありません。

トイレの手すり。使うときの状態

跳ね上げ手すりの長さはタンクがあるかどうかで変わっていきます。タンクがある場合タンク分長い75㎝の長さの手すりがおすすめです。

また、タンクレストイレの場合は65㎝の長さの手すりでOK。壁下地が必要となりますので、マンションやアパートには不向きです。マンションやアパートの方はトイレに取り付けるタイプのモノか置くタイプの手すりがよいでしょう。

3. 個室から浴室・トイレまでの廊下の幅は80㎝。車椅子が通れるように

廊下は車椅子も通れる幅80cmに

写真は将来寝室として使用する予定の個室からトイレ・浴室まで行くための廊下です。幅広い直線の廊下は車椅子でも通過できるよう80㎝にしています。

この幅は車椅子が回転できる幅ではなく通過できる幅です(もし車椅子を回転させたい場合は廊下幅は150㎝以上にする必要があります)。
個室からトイレまでの距離が近いほど将来のトイレ動作の自力度が高いと考えられています。

幅広い廊下は玄関廊下と一緒にすることでエントランスを広く見せる効果もあります。

●教えてくれた人/松下友貴さん
整理収納アドバイザー、理学療法士。「高齢者でも障害者でも居心地の良い暮らし」を提案。自身もバリアフリー住宅を建てて暮らしている