読者から届いた素朴なお悩みや何気ない疑問に、ショートストーリーでお答えする「菊池良のふしぎなお悩み相談室」。 人気作『もし文豪たちがカップ焼きそばの作り方を書いたら』(宝島社)の著者で、現在は、物語の執筆や漫画原作を担当している作家・菊池良さんの新連載です!

お悩み相談室
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ここはふしぎなお悩み相談室。この部屋には世界中から悩みや素朴なギモンを書いた手紙が届きます。この部屋に住む”作者”さんは、毎日せっせと手紙に返事を書いています。彼の仕事は手紙に書かれている悩みや素朴なギモンに答えること。 あらゆる場所から手紙が届くので、部屋のなかはぱんぱんです。

 「早く返事しないと手紙に押しつぶされちゃう!」それが彼の口ぐせです。

相談に答えてくれるなんて、なんていい人なんだって? いえいえ。彼の書く返事はどれも想像力だけで考えたショートストーリーなのです。

さぁ、今日も手紙がやってきましたよ──。

【今回の相談】なぜ朝起きると二度寝がしたくなるのでしょうか?

動物イラスト

なぜ朝起きると二度寝がしたくなるのでしょうか?
わたしは目覚まし時計を止めた瞬間に寝てしまいます。
ついさっきまで寝ていたばかりなのに!
(PN.二度寝ラッコさん)

【作者さんからの解答】“二度寝”は目覚まし時計会社の戦略で生まれた

書く女性イラスト

ここは目覚まし時計社。この会社は毎日1億個の目覚まし時計を製造しており、世界シェアナンバーワンでした。その会議室ではどうやったら製品がもっと使われるのか会議をしていました。

「たいへんなデータがでました。我が社の製品は1日に1回しか使われていません。これは1日に2回使われる“歯ブラシ”のおよそ半分です」
マーケティング担当の社員が報告します。

それを聞いた社長は「自分は3回使うけど」と思いながら(その横の副社長は「わたしは1回」)、社員たちにこう命じました。
「1日の使用回数をすぐに2倍、3倍にしよう」

その指示がくだって、開発担当の社員は大慌てでその方法を考えました。
「なんども目覚ましボタンを押してもらうにはどうしたらいいだろう」
「もう一回、寝てもらえばいいんだ」
「じゃあ、ボタンを押した瞬間、眠くなってしまう煙が出るようにしよう」
「それは最高だ。起きてすぐ寝るなんてわけがわからないけれど」

急いで三日三晩かけてその機能を作ったあと、彼らはぐっすり寝ました。次の日、目覚ましが鳴ってもすぐに止めて二度寝しました。

こうして近代になって“二度寝”という行為が生まれました。だってネアンデルタール人やクロマニョン人が二度寝していたって聞いたことがありますか? 二度寝するネアンデルタール人の化石は見つかっていません。

しかし、実は“二度寝”も最近では途絶えつつあります。なぜなら消費者もかしこいので、目覚ましが鳴った瞬間、枕元に置いてあるハンマーで壊しちゃうからです。いま目覚まし時計社ではハンマーで殴っても壊れない目覚し時計を開発しています。

それをさらに破壊するのは“二度寝ラッコ”さん、あなたかもしれませんね。

【編集部より】

いつも作者さんはこんな想像力だけの解答をしてしまいます。やれやれ、困ったものですね。
もちろん“目覚まし時計社”なんて会社は存在しません(いや、あるのかな? たぶんないでしょう)

二度寝してしまう理由は十分な睡眠が取れていないからかもしれません。もっと早くベッドに入るか、あるいは昼寝を生活に取り入れると改善するかもしれませんよ。
返事を書き終えた“作者”さんはそのまま疲れで寝てしまいました。右手にハンマーをにぎりしめて。これなら安心ですね。

あなたも、ふしぎなお悩み相談室に手紙を出してみませんか? その相談がすてきなショートストーリーになって返ってきます。

こちらのふしぎなお悩み相談室 相談窓口までご応募ください。