調理にともなう炎に、人は温かみや豊かさを感じるものです。そんな炎の存在を、キッチンとダイニングの中心に取り入れた家づくりをしてみましょう。「中心部分に火を置くプランにすれば、キッチンと食卓がさらに親密で楽しい場所へと変貌します」そう語るのは建築家の田中ナオミさん。おもてなし感にあふれるキッチンダイニングのレイアウトについて、新しい提案をしてくれました。
すべての画像を見る(全2枚)コンロと食卓を同じ高さにすれば、料理の臨場感を味わえる
私が住宅を設計するときには、必ず施主さんに「何をしているときが一番幸せですか?」とお聞きします。
するとほとんどの人が「家族でごはんを食べているとき」と言うのです。
だから私が設計する場合、住宅の中心には「幸せ=食卓=キッチン」を配置するのが素直な流れになっています。
今回は「料理とつくり手を魅せる場所」として、コンロをキッチンと食卓の真ん中に持ってきた例を紹介します。
この家のキッチンの大きな特徴は、食卓とコンロの高さを同じにしているということ。
こうすることで食卓に座っている人にも、料理のプロセスや臨場感を味わってもらうことができ、会話にも花が咲きます。
このキッチンのメリット
- 調理中の手元が見えるので、食事への期待感が高まる
- 熱い料理を熱いままサーブすることができるので、おいしい温度のうちに食べてもらえる
- 例えば、炎が上がるフランベのような調理をするときには、普通の料理をビストロ風に演出できる
- 料理をつくりながら、家族や友人とのコミュニケーションがとりやすい
写真の住宅のキッチンでは、料理好きのご主人が料理に腕をふるうためのステージとして活躍しているそうです。
このようなキッチンに向く人、不向きな人
しかしこのようなキッチンをすべての人におすすめできるというわけではありません。
向く人もいれば、不向きな人もいます。
キッチンに求めるものや使い方のスタイルが違うですから当然ですね。
向いている人
- 料理が好きでおもてなしが好きな人
- 他人が自宅のキッチンに入るのを許せる人
(友人に洗い物を手伝ってもらったり、冷蔵庫からものを出してもらったりするのが気にならない人) - 神経質に汚れを気にしない人
(換気扇の機能は高いが、見えない油煙が周りに飛び散るので) - 会話しながら、食事の時間を楽しみたい人
(ダイニングでの滞在時間が長くなる)
向かない人
- あまり料理するのが好きではない人
- じっくり籠って料理をしたい人
(調理に集中したい、つくっているところを見られたくない人など) - いつもキッチンをきれいな状態に保っておきたい人
- 小さい子どもやペットなどがいて、コンロに近づけたくない人
- 食事はさっと済ませて、早くリビングでくつろぎたい人
キッチンは使う人の暮らし方映し出す場所だけに、つくり方も千差万別です。
自分たちの暮らしのイメージを膨らましながら、このようなキッチンアイデアも参考にしてください。
監修・画像提供/田中ナオミ