どうしても存在感の出てしまうテレビ。インテリアになじませたり、主張を消したりするにはどうすればよいのでしょう。建築家の大島健二さんに、テレビの美しい置き方を聞いてみました。これから家づくりをする人やすでに部屋にあるテレビの存在感に悩んでいる人は、ぜひ参考に。
すべての画像を見る(全10枚)リビングにおけるテレビの居住まいを考える
スマートフォンやパソコンを使って時間を過ごす人が増え、現在は以前ほど家族全員がテレビにかぶりつくような時代でもありません。
むしろ今どきでは、テレビを風景のように、違和感なく住まいの中に溶け込ませることを心がけていくべきだと思います。薄型でどこへでも置けるからこそ、テレビにとって安住の居住まいが必要となるはずなのです
「違和感なく住まいの中に溶け込ませる」とは、具体的にどのような方法があるのか。
私が手掛けた事例をもとに解説していきます。
造り付けのテレビ棚を設置する
その家によってテレビのサイズはまちまちで、その回りに置かれるものも様々です。
オリジナルの棚を自分の好みのサイズ、デザインで造り付ければテレビもスッキリと収まります。
非対称のデザインでシャープな印象に仕上げた棚の事例。
収納をたっぷりとった棚。床から浮かしたことで部屋を広く見せる効果も。
コンパクトな棚の事例。コンセントを見えにくい位置に設置するのがポイント。
壁にテレビを埋め込んでしまう
下は、階段の手摺壁にテレビを埋め込んだ事例です。あらかじめテレビ、スピーカー、チューナー、デッキなどの居場所を決めておくと、きれいに収まります
階段の手摺部分が壁になっている手摺壁。テレビの存在は、1枚の壁に溶け込んでいます。
裏から見た状態。通るとき頭が当たらない部分には奥行きのあるチューナーなどを収納。
「うらおもて」両サイドから使えるテレビ棚
全面を棚にして室内を2つに仕切った例です。仕切られたリビングの反対側はお父さんのワークスペース。
リビングからはゆったりとテレビが見られますが、裏側は楽屋裏のようなもの。オーディオマニアのお父さんの秘密基地のようにもなっています。
「おもて」のリビング側からは配線なども見えずスッキリ。小窓を開けたので、向こう側にいるお父さんの気配も感じられる空間に。
「うら」はまるで秘密基地のよう。違和感なく収まったオーディオ機材とお父さんのデスク。
いっそのことテレビの存在を消してしまう
最近ではキッチンの家電などをトビラの中に収納する方法がよく使われます。テレビの存在感が気になるようなら、テレビごとしまってしまうアイデアも。ドアを閉めてしまえば、完全にテレビの存在感が消えますよ。
テレビを見るときだけ開けるので、だらだら見も解消できるかも。
フラットドアで壁と面一に収めれば、テレビはないも同然。
生活に必要なのは分かっているけれど、その存在感が気になるという人も多いテレビ。
今回ご紹介した、目からウロコのアイデアを取り入れてみてはいかがでしょう。
監修・イラスト/大島健二(OCM一級建築士事務所)
参考/『家づくり解剖図鑑』(大島健二著、エクスナレッジ刊)