長年の使用により、剥がれや傷などが目立つ椅子。DIYで再塗装することで、美しい質感や木目を取り戻すことができます。必要な道具や作業のポイントを、一級建築士の島田大輔さんが体験をもとに語ってくれました。
すべての画像を見る(全7枚)知人から譲り受けた「キャンパスチェア」は塗装が劣化していた
再塗装した椅子は、スウェーデンのLAMMHULTS社(ラムホルツ社)の「キャンパスチェア」で1992年に発表されました。20世紀末の北欧最大のヒットと言われていて、これまでの生産量は100万脚に達しているそうです。
この椅子の特徴は、金具を一切使用せずにフレームと背のパーツを接合するという高度な技術でつくられているところです。ちなみに譲り受けたのは1997年モデルです。
数年前、知人のインテリアデザイナーが廃業する際に1脚譲り受けました。知人のオフィスは白を基調としたインテリアだったので、この椅子も白くペイントされていました。
20年以上使用していたそうですが、故障などはなく、状態は悪くありませんでした。ただ、やはり塗装は長年の使用によって劣化していて、そのまま使用するのはちょっと気が引けていました。そこでDIYで再塗装にチャレンジしてみることにしました。
削るのに80番、磨くのに240番の紙やすりを使用
再塗装といっても、紙やすりでひたすら古い塗装を剥がして新しい塗料を塗るだけ。何も難しいプロセスはありません。
まず、古い塗装を紙やすりで剥がしていきます。紙やすりは100均でも購入できます。数字が小さいほど粗く、数字が大きいほど細かい、と覚えておくと良いでしょう。
紙やすりには削ると仕上げる(磨く)の2つの要素があり、今回は削る作業に80番、磨く作業に240番を使用しました。
ただひたすら、塗装を剥がしていきます。この工程が一番辛い作業です。でも徐々に美しい木目が現れてくると達成感を感じられます。このときは2時間ほどかかりました。
塗装を剥がし終えたら、240番のヤスリで細かい傷を磨いて表面をなめらかにしていきます。
「オスモカラー」で塗装。ナチュラルな仕上がりに
続いて塗装に入ります。美しい木目を生かしたかったので「オスモカラー」を使用しました。オスモカラーはひまわり油ベースの自然塗料でドイツの厳しい安全基準をクリアしています。
撥水性や耐久性が高く、一般的な塗料より2倍長持ち・2倍の面積を塗装できると言われています。その分、イニシャルコストはちょっと高めです。ただ、長い目で見るとコスパがいいと思います。
塗装の際には、刷毛とウエス(古布)を使います。刷毛で木目に沿って擦り込むように塗っていきます。ウエス(古布)などで伸ばしていくとよりスムーズに塗装できます。
今回は一度塗りで完了としました。乾燥時間は約12時間ですので、気長に待ちます。
ご覧のように木目が美しいナチュラルな家具に大変身しました。元のモダンな印象とはまったく違った表情になり、愛着が湧きました。もし家にちょっとくたびれた椅子があったら、再塗装にチャレンジしてみてはいかがでしょうか。