シングルマザー家庭の貧困が、社会問題として注目されています。少し古いデータになりますが、平成23年度に厚生労働省が発表した「全国母子世帯等調査結果報告」によると、シングルマザー世帯の平均年間収入は223万円、平均年間就労収入だけでいうと181万円とされています。同じ片親世帯でも、シングルファーザー世帯の場合は平均年間収入は380万円、平均年間就労収入は360万円。シングルマザー家庭の経済的な厳しさがうかがえます。

ここでは、2年前に離婚し、シングルマザーとなったESSE読者の笹川真由さん(仮名)の家計を、ファイナンシャルプランナーの畠中雅子さんに診断していただきました。どのような工夫をすれば、生活面の心配を減らすことができるでしょうか?

家計のお悩み
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2年前に離婚して、5歳の娘と実家暮らし。老後のためにはどれくらい貯蓄すればいい?

【相談者】

笹川真由さん(仮名)岡山県・39歳(パート)
長女5歳、父71歳、母67歳

【お悩み】

2年前に離婚して、5歳の娘と実家で暮らしています。娘が大学を卒業するまでは、元夫が毎月の養育費12万円と大学資金も出してくれる予定ですが、心配なのは私の老後。どれくらい貯蓄があれば、安心して暮らせるでしょうか?

【笹川さんの家計収支】

<収入>
月収(手取り) ¥86,000
養育費 ¥120,000
児童手当 ¥10,000
児童扶養手当 ¥42,290
収入合計 ¥258,290 

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<支出>
実家への生活費 ¥ 25,000
通信費(携帯電話1台分) ¥7,400
日用雑費 ¥10,000
レジャー・交際費 ¥4,000
教育費(幼稚園月謝) ¥31,000
   (習い事) ¥28,720
   (その他) ¥2,100
クルマ費(ガソリン代) ¥2,000
国民年金保険料 ¥16,660 

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国民健康保険料 ¥2,900 

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医療保険料(子どもと2人分) ¥4,000 

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がん保険料 ¥3,000 

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学資保険料 ¥37,000 

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各種積立貯蓄 ¥43,150
貯蓄 ¥10,000

支出合計 ¥226,930
収支 +¥31,360
ボーナス収入 ¥0
現在の貯蓄 ¥1,000,000

30~40代までは、年金を増やす働き方が大事

必要な老後資金は、かかる生活費や年金額で変わるため、今の段階でいくらとは言えません。30~40代の今は、受け取れる年金を増やすことが最優先事項。子どもがもう少し大きくなったら、社会保険に入れる働き方にシフトしましょう。健康保険料や年金保険料の半分を会社が負担してくれ、老後に厚生年金も受け取れます。しかも、在職中は病気やケガで仕事を休んでも、給料の約6割の傷病手当がでるので安心。社会保険は、派遣社員や契約社員でも、「週の労働時間が正社員の4分の3以上」、「1か月の労働日数が正社員の4分の3以上」などの条件を満たしていれば加入できます。将来の再就職に備えて、ひとり親家庭対象の就労支援制度を利用して資格を取得するのもおすすめです(Check1参照)。心配なのは、保険の死亡保障がない点。万一のとき、子どものために2000万円の保険に加入しましょう。

●【check1】近い将来の就職に向けて、制度を活用してスキルを磨く

社会保険に入れる働き方をすると、収入が増え、老後の年金額もアップ。公的年金は一生涯支給されるので、最強の老後準備です。子どもが小学校高学年になる頃をめどに、再就職を。20歳未満の子どもを育てる母子家庭・父子家庭を対象に、就職のための資格取得などの講座を受けると受講料の60%が支給される「自立支援教育訓練給付金」、資格取得の講座に通いながら毎月最高10万円が支給される「高等職業訓練促進給付金」などの制度もあります。詳細は、厚生労働省のサイトや自治体の窓口で確かめて。

●【check2】子どもが困らないように、2000万円の死亡保険で備える

がん保険と医療保険に入っていますが、死亡保険がないのは大きなリスク。笹川さんに万一の場合も、子どもが経済的に困らないように、死亡保険に入っておきましょう。実家住まいで住居の心配がないので、保障額は2000万円でOK。かけ捨ての保険なら月2650円と、保険料が割安です。
(※保険料はライフネット生命「かぞくへの保険」、10年満期、39歳女性で試算)

●【check3】学資保険は元夫からの学資がなくなった場合のために継続を

学資保険は保険料10歳まで払い込みで、満期金500万円。元夫が再婚して子どもが生まれるなどすると、大学の学資を出す余裕がなくなる可能性も。この学資保険はお守りとして必ず継続しましょう。元夫が大学資金を出してくれたら、満期金500万円は仕送り用にできますし、仕送りが不要な場合は老後資金に回すことができます。