子どもが生まれることになり、もう少し広めの物件に住み替えようとマンションを探していたAさん夫妻。絶対にリノベーションをしようと決めてはいませんでしたが、不動産の仲介も手掛けるEcoDecoに出会って話を聞くうちに、自分たちらしい暮らしが実現できそうなリノベーションに惹かれるように。夫の「庭が欲しい」、妻の「子どもの足音を気にせず暮らしたい」という希望をかなえる、神奈川県川崎市に建つ築16年のマンションの1階を気に入って、2400万円で購入。工事費1000万円(税・設計料込み)をかけて、猫も子どもも安心して暮らせるシックな空間を実現させました。
すべての画像を見る(全10枚)キャットウォークも兼ねたルーバー天井
天井のルーバーによる影が、壁に美しい模様を描くリビングダイニング。あえてルーバーで天井を低くしたことで、「安心感があって、落ち着きます」(夫)とのこと。愛猫モジョくんは、リビングに階段状に置いている家具を使って、ルーバーの上に上ることもできます。
また、リビングの隣にはもともと洋室がありましたが、壁を取り払ってリビングと一体の空間として使える和室に。「子どもを寝かしたり遊ばせたりするのに便利ですし、扉を閉めれば客間にもなるので」と妻が要望したものです。
以前からジャーナルスタンダードファニチャーやACMEなどのヴィンテージテイストの家具を愛用していたAさん夫妻。古びていて味わいのあるものが好きなふたりは、「すっきり、広々した住まい」よりも、「いろいろな居場所がある住まい」を希望しました。
そこで、キッチンとダイニングの間に両面から使える収納を仕切りとして、オープンすぎない空間に。ジャーナルスタンダードファニチャーで購入した食器棚が収まるように設計されています。
また、シンプルなキッチンはシンク一体型のステンレスカウンターとシナ合板、レッドシダーで製作。下部はオープンになっていて、DIYでキャスターを取り付けたワインボックスを引き出し代わりにしています。
キッチンとダイニングを仕切る収納の側面には、黒板塗料を採用しました。遊びに来た姪っ子が描いたというカラフルなかわいい絵をそのままに。上部のハンガーに掛けられた帽子も、このスペースの楽しい雰囲気を演出しています。
音楽スペースも兼ねた大型WIC
その後ろ側には、大型のウォークインクロゼットが。夫妻の要望により、個室には収納を設けず、こちらに家族の荷物をひとまとめにしています。
「サッとしまえる場所があると、来客時にも助かります」と妻。壁は濃紺にペイントされ、LDKとのコントラストを楽しんでいます。
奥には夫が趣味の音楽を楽しむスペースも設けています。
さらにこちらの壁には猫通路が。LDKから自由に行き来できるので、モジョくんはひとり静かにお昼寝したくなると、ここを通ってWICの中に入ることができます。知らない人が来たときには、即ここに逃げ込むのだとか。
アンティーク家具と調和するグリーンの壁
玄関から続く廊下は、壁と天井をグリーンに塗装。アーリーアメリカンの色調を再現する水性塗料「バターミルクペイント」を使用しており、リビングのアンティークの扉とも調和しています。
また、靴収納は可動棚板のみを設置して、扉は設けずオープンに。コンパクトな空間に解放感を演出しています。
玄関横にあった6畳ほどの個室はやや広げ、将来は2室に分けられるように扉を2つ用意しました。現在は寝室として使っていますが、家族の成長に応じてフレキシブルに使用できます。壁はDIYで漆喰仕上げに。
ペイントで清潔感を演出したサニタリー
トイレとサニタリーはややツヤのある淡いブルーでペイントし、さわやかな雰囲気に。タンクレストイレに替えることで空間をすっきりさせ、シンプルな手洗い器を設置しました。
また、洗面脱衣室の床材には、足触りがやわらかくひんやりしないコルクタイルを使用しています。猫トイレも置いているので、ドアが閉まっていてもモジョくんが出入りできるように、廊下側の壁面には猫通路が設けられています。
実は取材時、シャイなモジョくんはずっとWICに隠れてしまい、撮影できなかったので、Aさん夫妻からご提供いただいたお写真でちょっとだけお顔をお見せしますね。
「バターミルクペイント」や漆喰で各所の壁にバリエーションを持たせているA邸。「どちらも自然の素材なので、子どもにも猫にも安心」(夫)と、おしゃれなうえに家族にやさしい住まいが実現しました。
撮影/水谷綾子
プロデュース・設計/EcoDeco
※情報は「リライフプラスvol.30」取材時のものです