「がんばっているはずなのに貯まらない家庭は、無意識に続けている生活習慣やクセが原因のことが多いんです」
そんな意外なアドバイスをするのは、これまで1万件以上の家計を再生させてきたファイナンシャルプランナーの横山光昭さん。この「ビンボー習慣」が厄介なのは、無意識に繰り返してしまうところ。その結果、ビンボー習慣の持ち主が気づかないところで、家計にじわじわと打撃が…。
そんなビンボー習慣の存在を、横山さんが暴いてくれます! 収納の様子、レシートの捨て方、言葉づかい…。お邪魔したESSE読者宅には、なにやら問題がたくさんある模様!?
レシート管理と先取りの予備費で万年赤字を卒業
今回の悩めるESSE読者は、高城さやさん(仮名・40歳)。毎月のスケジュールをもとに予算決めを実施。支出については、「住宅費」「食費」などと項目別に分けて管理する「袋分け」でやりくりをしています。にもかかわらず、なぜか、家計は毎月赤字に…。「子どもが大きくなったら、ますます貯蓄できなくなりそう」と将来を心配しています。はたして、なにが貯まらない原因なのでしょうか!?
高城家のデータ
神奈川県在住。夫(40歳)、長男(9歳)の3人家族
高城家の家計簿
夫の月収(手取り) ¥230,000
児童手当 ¥10,000
住宅費 ¥70,000
食費 ¥30,000
外食費 ¥10,000
電気料金 ¥8,000
ガス料金 ¥7,000
水道料金 ¥5,000
通信費(固定電話) ¥3,000
(携帯電話) ¥16,000
日用雑費 ¥5,000
レジャー・交際費 ¥10,000
子ども費 ¥17,000
クルマ費 ¥10,000
こづかい(夫) ¥25,000
(妻) ¥5,000
生命保険料 ¥3,000
学資保険料 ¥6,000
その他出費 ¥10,000
収支 ¥0 現在の貯蓄 ¥900,000
一見無関係にも思えますが、こうしたところにビンボー習慣が表れやすいそう。「ものが無秩序に置かれていたり、ものの置き方に理由がなかったりする家は、ビンボー習慣である可能性が高いですね」。
散らかすという行為も、無意識のクセによって引き起こされることが多いもの。家計管理と片づけのトラブル原因は、どこかでつながっているのです。
●<ビンボー習慣の特徴>いつもなんとなく赤字
→家計にブレはつきもの。予備費として月1万円を用意して!
家計簿と袋分けでがんばっているものの、月末にお金がたりなくなり、貯金をきり崩すことも多いという高城さん。「がっくりきて、やりくりがイヤになります」。
そんな高木さんに、横山さんがアドバイス。
「どんなに管理上手な家庭でも、急に交際費が必要になったり、医療費がかさんだり、月に1~2万円の出費のブレは出るものです。月の家計とは別に、予備費1万円をボーナスから用意しましょう。使わない月は繰り越して、多い月に対応を。そうすることで、月の家計が安定して貯蓄しやすくなります」
●<ビンボー習慣の特徴>ボーナスがすぐなくなる
→「気づけばない」の解消のため予算立てをしっかり
高城家のボーナスは年間80万円。でも、赤字を補てんしたり、無計画に家具を買ったりするうちになくなって、車検などの特別支出があるとあわてて貯蓄をきり崩すことに。
こうした事態を避けるには、まず、車検や固定資産税など、年間の特別支出を書き出しましょう。「それに急な出費用の予備費12万円(上記説明の予備費の12か月分)を加えた額が、ボーナスから支払うお金です。計画的に使い、残りは確実に貯蓄に回しましょう」(横山さん)。
●<ビンボー習慣の特徴>見えるところだけきれい
→レシートは捨てずに専用ボックスで管理を
一見、きちんと整理されている高城さんの財布。でも、これは、家計簿をつける前にレシートを捨ててしまうため。目につくところだけを整頓することで、本人としては、丁寧な暮らしをしているつもりに…。使ったお金の正確な額がわからず、家計簿には1000円単位でしか記録できていないことも大問題です。
そんな高城さんに横山さんが喝!
「家計が赤字の人ほど、レシートを見直してムダづかいの原因をチェックしなくては! 専用ボックスに入れて、1週間に1度は必ず見直す習慣を」。
家計簿も1000円単位では誤差が大きすぎるため、正確な金額を記入して、見た目はもちろん、中身もしっかりとした管理へと方向転換しましょう。
●<ビンボー習慣の特徴>夫に甘い
→すぐクルマを欲しがる夫には二重帳簿で対応を
せっかく貯蓄しても、100万円貯まると夫がクルマを買い替えるという高城家。「うれしそうにカタログを見ているので、買わないとかわいそうで…」と高城さん。でも、大型車ばかり3年ごとの買い替えは明白な浪費です。そこで横山さんが提案!「100万円貯まるまでは、夫もガマンしているそうですから、ナイショでへそくり口座をつくって貯蓄を。子どの将来のために“ウソも方便”です」。
●<ビンボー習慣の特徴>言葉が使いあいまいで、提案に具体性がない
→家計のピンチが共有できるよう夫には具体的な数字で説明
夫に「貯蓄できないからこづかいを減らして」と言っても、聞き入れてくれないのが高城さんの悩み。
そこで横山さんがアドバイス。
「一般に男性は、漠然と『家計が苦しい』『大変だ』と言ってもピンときません。具体的な数字を見せて説得しましょう」。おすすめは、ライフプランシートをつくり、今後かかるお金を明確に説明すること。「あと3年で中学、6年で高校、9年で大学で、それぞれお金がこれだけかかる…と見せれば、夫も危機感を共有して協力的になります」。
●<ビンボー習慣の特徴>ショッピングモールが好き
→週末ごとのお出かけは回数か予算の上限を決める
「お金をかけないで遊べるから」と毎週末ショッピングモールへ出かける一家。でも、ゲームセンターで遊び、おなかがすいて食事して、かわいい雑貨を見つけてカードで購入…。気づけば、結局5000円以上の出費に。
横山さんは、そんな悪習慣を決して許しません!
「これこそ“ビンボー習慣”の典型です! 月1回と回数を決めるか、1回3000円などと予算を決めて上限を設けましょう。出費のブレーキが掛けにくくなるので、カードは、持ち歩かないのがいちばんです」。
●<ビンボー習慣の特徴>習い事が多すぎる
→子どもの習い事は優先順位を決めて
長男はまだ小学校3年生ですが、塾で2教科を受講し、スイミングスクールにも通っています。「小学生低学年にしては、教育費をかけすぎていますね」と横山さん。「中学~高校で受験のために塾通いが本格化すると、毎月2~3万円はかかって、ますます貯蓄できなくなります。受験前の今は習い事にお金をかけるより、将来の大学資金のためにできるだけ貯蓄しておくのが正解です」。なにがより重要か、子どもとも話し合って、数を絞ることも検討を。
ビンボー習慣を追放すべく1か月、その成果は?ポイントは金曜の「豚汁の日」!?
横山さんのアドバイスを受けて、家計改善に取り組み始めた高城家。1か月後の様子を取材しました。はたして、その成果は?
●“豚汁の日”をつくり、外食代カットに成功
アドバイスどおり、レシートを専用箱に保管して、週に1度、レシートを見ながら家計簿をつけるようにした高城さん。
「買ったものの見直しになり、重複買いやムダづかいが減って、出費が自然に少なくなりました!」
また、外出時はカードは持たず、決めた予算だけ財布に入れて出かけるように。「なにか買えばお金が減るので、残りこれだけで乗りきらなくちゃと思えます」。
外食を減らすための工夫も。「金曜日を『豚汁の日』と決め、豚汁をたっぷりつくって、土日もこれで乗りきります。週末に出かけても、『あとは、メインだけつくれば夕食ができる』と、外食にブレーキがかかるように」。
急な交際費で苦しい月もありますが、冬のボーナスから予備費を取りおくつもりだそう。「夫に家計のことを相談したら、『おこづかいが余ったら貯金する』と言ってくれました」と思わぬ収穫もあったそう。今後は、少額でも先取り貯蓄を目指します。
大成功だったという豚汁作戦。「これひとつで野菜がたっぷりなので、メインに肉か魚があれば夕食に十分」。
服があふれかえっていたクローゼットの中も見直しました。「似たような服や雑貨ばかりだったと反省。これからは衝動買いも減りそうです」。
レシート専用のボックスを用意。「買い物から帰ったら、すぐここにしまっています。ムダ買いのチェックにも活用できています!」。