「水道負担金」という言葉を聞いたことはありますか?水道の利用申し込みに際して水道局に納付しなければならないお金のことをいいます。「水道加入申込金」「給水分担金」と呼ばれることもあります。地方によって必要な自治体、不要な自治体があります。
1.更地を購入する際に行う水道工事
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家を建てるために更地を購入する際、その土地にすでに水道管が引き込まれている場合とそうでない場合があります。
1-1 水道管が引き込まれているケース
水道管が引き込まれているケースは、おもに2パターンあります。
1つは、土地分譲の業者が、あらかじめ水道管を引き込んでくれているケースです。
広い土地を戸建に適した広さに区画割する際に造成工事を行いますが、その際に水道管(もしくは下水道管)の引き込み工事を一緒にしてくれます。
この場合、純粋な土地の値段に工事費分を上乗せした金額が、土地の販売価格となります。
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もう1つのパターンは、以前、家が建っていたが、現在は取り壊され、更地として販売されているケースです。
居住用の住宅ならば、トイレやキッチン、風呂などがあったはずです。水道の配管が地中に残されている可能性があります。
解体する際は、トイレやキッチンなどの各箇所に水を送る水道管は壊してしまったとしても、本管から敷地内へ引き込む水道管はそのまま残します。
1-2 水道管が引き込まれていないケース
農地や雑種地など、今まで一度も家を建てられたことがない土地は、水道本管から自分の費用で水道管を自分の敷地内に引き込まなくてはなりません。
工事費がかかりますので、引き込み分の予算を入れて、資金計画を立てなくてはなりません。
見積もりや工事の手配などは自分で行うのではなく、ハウスメーカーや不動産業者が手配してくれることがほとんどです。
2.水道負担金はどういう時に支払うの?
ironstuff / PIXTA(ピクスタ)では「水道負担金」について詳しくご説明します。
2-1 中古住宅購入時は加入金の支払いが不要?
水道負担金は、基本的に新しく上下水道を設置するときに支払うお金です。
また、水道メーターの口径を大きくするなど、改造工事等をするときにも必要です。
中古住宅の場合は、すでに工事が行われているので、加入しなくてもよい自治体が多いようです。
非常にまれなケースですが、筆者が担当した物件で「新築時に支払ったのと同額の負担を請求する」「水道加入金を払ったから水道メーターは自分のものと主張し、買主に負担金を請求する」ということが過去にありました。
トラブルにならないよう、契約時にしっかりと確認することが必要です。
2-2 支払わなければならないケースは?
水道負担金についての取り決めは、具体的に定められているわけではありません。
水道法第14条第一項には、「水道事業者は、料金、給水装置工事の費用の負担区分その他の供給条件について、供給規程を定めなければならない」とあります。
しかし、詳細は定められていないのです。これに基づき、各市町村では、水道法14条の「その他の供給条件」を根拠にして給水条例などの規定を作っているのです。
そのために、水道加入金の負担がない自治体があるいっぽうで、通常の口径(20ミリ)でも30万円ほどの負担を求められる自治体などがあるのです。
条例になっていれば、従わなくてはならず、万が一、支払いをしなければ工事が滞ります。
ハウスメーカーなどで家を建てる場合には、水道負担金が「別途工事費」の中に含まれていることも多いため、支払いを拒否することは難しいでしょう。
3.まとめ
水道負担金のことを知らない人は意外に多いようです。
負担金の意味を理解し、誰にどのような方法で支払うのかを確認し、家づくりの不安を解消しましょう。
ファイナンシャルプランナー(AFP)/宅地建物取引士一般社団法人/家族信託普及協会®会員 吉井希宥美