スペインに住んで19年の吉原久美子さんが、スペインのブルゴスに住む小学校の先生・ホアキンさんの暮らしをレポートしてくれました。ホアキン先生は独身ですが、独身男性でも家は借りるのではなく購入するのがスペイン流。自分の好きなように家をデザインしていくことが生活をすることであり、それが生きることでもあるといいます。ホアキン先生は壁を上手に使い、自身のこだわりを表現しています。さっそく見せていただきましよう。
廊下の壁には好きな詩を
すべての画像を見る(全10枚)玄関を入るとまず、壁に描かれた木の絵が目を引きます。
こんな感じでオレンジ色と黄色のマジックを使って描かれた木。よく見ると、文字が書いてありますね。これはホアキン先生が好きな詩のフレーズなのだそうです。
キッチンの壁はウェルカムボード
キッチンのデザインは、白を基調にオレンジをアクセントカラーにしています。
キッチンのテーマカラー・オレンジを使った棚は自作です。スペインの独身男性は紅茶とコーヒーにこだわりがあるといいますが、ホアキン先生もそのようですね。
壁の白いタイルはウェルカムボードの役割をしていて、来た人がみんな一言書いていくのです。中国人のお友達のメッセージもありますね。水性マジックを使っており、壁はタイルなので、除光液を使えば簡単に落とせるそうです。
こだわりの壁に取り付けられたのは、やはりテーマカラーのオレンジの時計。壁に時計の機械部分を埋め込んで、オレンジ色の文字盤を貼り付けてあります。
忙しいなかでもアイディアが広がる壁
ホアキン先生は授業を受け持つと同時に、資格試験のための勉強もしています。小学校の先生なので何教科も教えなくてはならないし、学芸会のような行事も目白押し。幅広い友人たちとの交流などプライベートの活動範囲も広いので、項目ごとにホワイトボードを使ってメモしています。
大事なことを書いた紙はボードではなく棒にぶら下げていますが、見えますか? 一番奥にある、紙がたくさんぶら下がっているところ。棒は棚の下に回転できるネジでくっつけているので、動かすことができます。
棒を動かしてみました。奥の机に座って仕事をしているときにちゃんと見えるように、90度回転できるのです。壁にたくさん資料を貼り付けて、一見ごちゃごちゃしていても居心地の良さがあるのは、木材をたくさん使っているからかもしれません。
居間の壁には好きなものを額に入れて飾り、くつろぎを演出しています。
ダイニングテーブルの上には……新聞紙? いえ、新聞紙模様のテーブルクロスです。いろいろなところにこだわっていて、人生を楽しんでいる様子が感じられますね。
好きなものに囲まれていたいから壁にこだわる
野球帽はすっかり縁がすり減っていますが、大事な思い出がいっぱいだからこうやって壁に飾られているのです。
壁を上手に生かして生活しているホアキン先生。好きなものがたくさんあるから「できるだけ好きなものに囲まれて暮らしたい」という気持ちが、壁を使う理由の一つなのではないでしょうか。