Hさん家族が住むのは、妻の実家に近い東京都練馬区の石神井公園エリアです。家は賃貸マンションの契約更新をきっかけに購入した、昭和51 年建築、延床面積113.25㎡の一戸建て。当初は建売住宅の購入も検討していましたが、予算に合わなかったり、ピンとくる物件がみつからなかったり…。そこで、自分たちの思いを予算内で叶えられる中古物件のリノベーションを選択しました。工事費3000万円(税・設計料込み)で行ったリノベでは、子育てを意識したといいます。
耐震性を高めてオープンなつくりを実現!
リノベのプロデュースと施工はワンズライフホームに依頼し、設計は同社から紹介されたシミズアトリエに決定。
「設計の清水さんは丁寧にこちらの話を聞いてくれましたし、提案されたプランを見て、暮らしやすそうだなと思いました」(夫)
すべての画像を見る(全17枚)住宅街に位置するH邸ですが、南の前庭に向かって開口が多くとれたため、採光は十分です。夫妻がリノベで重視したのは、1階を広いワンルームのようなLDKにすること。
そのためにはまず、広い空間を支える強い構造をつくることが必要でした。
リノベ前の外観
床の状態があまりよくなかったこともあり、既存は柱のみを残す形で一旦スケルトンに。そして外壁面の面材耐力壁、プラス筋交いで、耐震性の高い骨格をつくり上げました。
外壁はガルバリウムですが、その硬いイメージを和らげる木のドアが印象的です。
玄関の奥には、下駄箱とは別に収納スペースを設けました。自転車やベビーカーなども、すっきりと収められますね。
玄関ホールとリビングの間仕切りにはガラス入りの建具を使用して、明るさと開放感を演出しました。
リノベ前にあった廊下
既存では、玄関に入ると廊下があり、空間が大きく4つに区切られていました。
リノベではこの通り、1階は夫妻の希望そのままのワンルーム空間に。ベースとして無垢材を採用しながら、サブウェイタイルや黒をポイントで使い、程よいメリハリと個性をつけています。
ダイニングには本棚を造作。長女の勉強机も兼ねた、家族皆で使えるカウンターも組み込んでいます。
家族の気配が程よく感じられるつくり!
キッチンのワークトップには、バイブレーション仕上げのステンレスを採用。妻こだわりのチョイスです。
キッチン背面のアクセントウォールには棚を設けて、ディスプレイも楽しんでいます。
「収納はなるべく多くしたいとお願いしました」と夫妻。キッチン裏手には、広いだけでなく使い勝手にも配慮したパントリーを設けています。ストック食材はもちろん、かさ張るひな人形などもここに入っているそうです。
夫妻には「1階に、床から一段下がった畳スペースを設けたい」との希望もありました。
畳スペースはキッチンからよく見える位置につくられ、長女の格好の遊び場になっています。けれども、リビング側からはテレビ台も兼ねた造作収納などによって、その様子は見えなくなる形。
家族の気配を十分に感じながらも、それぞれが思い思いに過ごせるつくりなのです。
キッチンから真っすぐ畳スペースを抜けると、洗濯スペースも兼ねたサニタリーがあります。「動線がスムーズで、家事がしやすいです」(妻)
洗濯機は扉で隠すことができて、来客時も安心ですね。トイレ壁はクロス貼りですが、1階はグリーン、2階はイエロー、と一面にだけカラフルな塗装でアクセントをつけました。
トップライトで北側の階段まわりも明るく!
明るい南側を居住スペースとしたため、階段は北側に配置。階段上の天井にトップライトを設けることで、階段まわりと階段下にある畳スペースにも光が届くように工夫しました。
階段を上った先に、トイレと洗面コーナーがあります。
2階はもともとあった廊下の位置を変えずに、寝室と子ども室を配しました。
寝室は、家族構成の変化によっては2室に分けて使えるように考えられています。外壁と同じ色に塗装してある部分は、WICです。
WIC内部にはコの字型に棚やパイプを設置し、使いやすいつくりにしています。全体に、自然素材をたっぷりと使っている点も特徴的なH邸。
「長女のために、住環境を少しでもよくしたい」との思いから、1・2階ともに、水まわり以外の床には無垢材、壁・天井には珪藻土を選んだといいます。そんな夫妻のやさしさが伝わってくる家でした。
プロデュース・施工/One's Life Home
設計/シミズアトリエ 一級建築士事務所
撮影/遠藤宏
※情報は「リライフプラスvol.29」取材時のものです