このまま家賃を払い続けるよりも買ったほうがよいのでは、と住宅購入を検討し始めたKさん夫妻。通勤経路に建ち、つくりがよいと感じていたマンションを調べてみると、たまたま販売中の部屋があったそう。平成3年築、専有面積が88.20㎡と十分な広さもあり、内見後に1400万円で購入しました。建築関係の仕事に就く夫は、もともと「中古マンションを買うなら自分好みにリノベーションしたい」と考えていたとか。その考え通り、工事費1476万円(税・設計料込み)でリノベを行いました。

目次:

インダストリアルでありつつシンプルに!モノは大容量のストックルームにまとめて!参考にしたい!スタイリッシュな和室

インダストリアルでありつつシンプルに!

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K邸があるのは、愛知県岩倉市。リノベの設計・施工は名古屋のエイトデザインに依頼しました。「名古屋の会社のなかでも、いろんな種類のリノベをしているエイトさんなら自分たちの思いをかなえてくれると直感して、即決でした」と夫。

夫妻が希望したのは、大きなW.I.Cやモルタル敷きの玄関土間、リビング向きのオープンキッチン、スタイリッシュな和室など。新築では難しく、リノベだからこそかなう空間づくりでした。
とくに賃貸のときは1室丸ごと収納にしていたほどで、モノを収めるスペースはマストでした。水回りの床は18cm高くなっているため、オープンキッチンのカウンター腰壁も背が高くなっています。腰壁に貼られた存在感のあるタイルは、妻の「昔の玄関みたいにしたい」というリクエストに応えたものです。

リビング

インテリアのイメージとして「インダストリアルな雰囲気がありつつもシンプルなテイスト」を希望した夫妻。キッチン対面にあるリビングの壁の一部は、コンクリート現しになっています。
程よくインダストリアルな空間に、ナチュラルなハンモックや造作のテレビボードも馴染んで見えますね。ペンダントライトは無印良品のもの。

リビング

キッチン上部には、キッチン側から使える吊り戸棚を設置。下部には手元を照らす照明が仕込んであります。

リノベ前

リノベ前のキッチン

水回りの床が高くなったのは、配管の関係です。位置や大きさが変えられないため、キッチンの向きを変えてその裏にパントリーを設けました。

キッチン

オールステンレスのキッチンはマルゼンのもの。業務用をカスタマイズして、シンク下の収納に扉を付けました。すぐ横がサニタリーなので、家事動線もスムーズです。
バックカウンターはHACHI KAGUのオリジナルです。

バックカウンターの一部は折りたたみ式の台になっていて、作業スペースを広くすることもできます。パントリーには棚を造作して、食器やストック食品などを収納しています。

モノは大容量のストックルームにまとめて!

LDK

リビング奥に見える箱のようなスペースは、W.I.Cを兼ねたストックルームです。大容量ですが、天井まで壁をつくらないことで圧迫感を軽減しました。

玄関

ストックルームをリビング側から見たところ。玄関へ通り抜けられるようにもなっています。内部には、収納するもののサイズに合わせて棚を取り付けました。リビングの近くにはキャンプ用品、書類や本、CD、バッグなどを収納しています。
「ここがあるおかげでLDKが散らかりにくく、どこに何をしまうかが決まっているから使い勝手もいい」と妻。

玄関

玄関近くには靴や自転車、ゴルフバッグなどを収納しています。ストックルームから玄関へ出るドアには、姿見が付いています。これは便利ですね!ドアを開ければ、鏡は玄関ホール側からも使えます。
靴や小物を入れている玄関ホールの棚は、無印良品のケースに合わせてつくったオリジナルです。

通路

玄関土間からホールを見たところです。正面に見えるのは……畳ですね。

参考にしたい!スタイリッシュな和室

通路

夫がどうしても欲しかったという和室です。モダンなデザインで、セカンドリビングや客間などとして使っているそう。「最後まで迷いましたが、建具などをつけずオープンにして正解でした」と夫。

通路

玄関から廊下、ストックルーム、LDまで、床はすべてモールテックスという左官材で仕上げました。ストックルームの廊下側はクロゼットです。夫妻の衣類のほとんどが収まっています。

リノベ前の洗面台

リノベ前の洗面台

洗面室の位置はリノベ前と同じですが、設備や内装は変更しました。

サニタリー

キッチンと空間が続いているので、洗面カウンターにはキッチン同様にステンレスを選んでいます。トイレの位置も変えていませんが、こちらも設備と内装を一新。正面の収納棚には、クロゼットと同じつまみを使用しています。
妻はストックルーム、夫は和室がお気に入りとか。「建築関係の仕事をしているからこそ、自分にはないアイデアが出てくるのが心強かったですね」と夫はリノベのプロセスも楽しんだようです。

設計・施工/エイトデザイン
撮影/水谷綾子
※情報は「リライフプラスvol.28」取材時のものです