結婚を機に中古マンションの購入とリノベーションを考えたTさん夫妻。京都で素材感を生かしたリノベを手掛けるリボーンキューブのセンスに魅せられ、一緒に物件探しから始めることに。通勤の利便性、自然豊かな環境、家族が増えても大丈夫な80平米以上のゆとりある広さという条件を叶える築42年の物件を見つけ、1780万円で購入。プロダクトデザインをしている夫のラフプランをベースに、工事費1,000万円(税、設計料、施主支給分込み)にて、フレキシブルに変化できる広々とした住まいを実現させました。
LDKには余計なものを置かないことで開放的に
すべての画像を見る(全11枚)普段多くの時間を過ごすLDKをできるだけ広く、と希望したTさん夫妻。もともとのLDKで飛び出していた収納を撤去して、天井をスケルトンに。そしてキッチン腰壁のモザイクタイルやグレーの壁をアクセントにしました。
余計なものをLDKには置かないことを徹底したことで、広さがより際立つ空間になりました。また、キッチンカウンターの延長として造り付けた作業台は、夫婦で並んで料理をするときなどに重宝しているそう。
キッチンは壁付けから対面式に変更し、イケアのキャビネットと業務用ガスレンジを組み合わせて造作しました。トールサイズのキッチン収納も同じく造作。
右側はパントリーとして、左側はお気に入りの食器やグラスを飾って”見せる収納”として使っています。
LDKの壁沿いにはベンチ棚を造作しました。普段は収納として使い、大勢のゲストが訪れた時にはベンチとして大活躍しています。また、バルコニーからは周囲の山並みを見晴らせます。2階でありながら、自然豊かなロケーションをたっぷり堪能できるそう。
寝室とバルコニーの間には、室内干しスペースを設けました。また、寝室とLDKの間には室内窓も設置。室内窓は上3枚が開閉式で、寝室側からの風や光をLDKに呼び込むことができます。
寝室まわりは快適動線で家事効率アップ
LDKに隣接した寝室へは、ウォークインクロゼットを経てアクセスできる快適動線。「バルコニーや室内物干しスペースから、寝室を通って行き来できるようにしていただいているので、取り込んだ洗濯物を効率よく収納できるんです」と妻。
ウォークインクロゼットは、「来客用の布団を置くには少し小さかったかと思いますが、衣類をおさめるだけなら問題ありません」とのこと。というのも、マンション内に別途トランクルームがあり、季節ものはそちらにストックしているからだそう。
寝室はミニマルに設計しました。室内物干しスペースにつながる奥の部分は、腰壁のみにとどめて圧迫感を解消。必要に応じてブラインドで目隠しするスタイルで、右側の”ウエスタン扉”から出入りできるようにしました。床は足触りのいいサイザル麻カーペット。
将来の子ども室を想定したフリールームは、2室に分けることも可能です。室内窓を付けたことで、土間側からの光も取り込めるように。
自転車を2台置いてもゆとりある土間
「玄関に2人分の自転車やサーフボードを置きたいとお願いしたところ、奥行きのある土間の提案をいただいたんです」と夫。玄関前の個室の位置を少しずらし、奥まで貫く広い土間スペースを造りました。
そして、窓からの光を生かすために個室側に室内窓を設置し、足場板でラフに仕上げた下駄箱を添えています。また、正面奥の壁のみ黒く塗装することで、奥行きある空間を引き締めています。マンション内にも半屋外の駐輪場はありますが、この土間のおかげで自転車の傷みや盗難の心配もありません。
ディスプレイも兼ねて身近に置ける点も気に入っているそう。また、いずれ子どもができたときにはベビーカーを置くスペースとしても使う予定です。
サニタリースペースは廊下沿いに。洗面台やミラーキャビネットは、夫が抱いていたデザインイメージをもとに造作しました。
トイレは奥の壁にあしらったターコイズブルーが印象的。「新婚旅行先のギリシャで見た青いドーム屋根の色に魅せられ、どこかに取り入れたいと思ったんです」と夫。
コンクリート、木、鉄といった素材のラフさを添えたスタイリッシュなT邸。
「それほど大きく間取りを変えているわけではないのですが、天井板を取り払ったり、室内窓をつけたりすることで解放感が増したおかげもあり、より広がりが感じられるようになりましたね」と夫妻は話してくれました。
設計・施工 リボーンキューブ
撮影 宮野正喜
※情報は「リライフプラスvol.20」取材時のものです