ふたりで飲食店を経営しているTさん夫妻は、お店の近くに家が欲しいと検討していたところ、友人から築29年のマンションの売却を持ち掛けられました。南北に長い間取りや100平米近い広さに惹かれて、そのマンションを1,950万円で購入。シンプルなデザインを叶えてくれると感じたアネストワンに依頼し、LDKを中心としたゆとりある空間を希望。工事費1,050万円(税・設計料込み)で、シンプルで開放的な、余白たっぷりのLDKを実現させることができました。
LDKは子どもが遊び回れる大空間に
すべての画像を見る(全15枚)こちらの住戸は南北に長く、リビングが外側へ張り出している面白い間取りでした。この空間にあった小上がりの和室をLDKに取り込むことで、シンプルな大空間が出現。
変形間取りの面白さもうまくいかされたLDKになりました。ナラ無垢フローリングと漆喰壁がナチュラルなムードを醸し出しています。
LDKを広くとったことで、来客が大勢でも対応がスムーズに。障害物が少ないから掃除も楽なのだそう。
「下の娘は無垢材の床が気に入り、夏はよくリビングに布団を敷いて寝ていました」と夫。
また、リビングの変形間取りを考慮して、照明は様々な家具の配置に対応できるスポットライトを採用しています。
結婚時に購入した2人掛けのソファは、いずれ大きなサイズに買い替えも検討したいとのこと。また、リビングは既存のカーテンボックスとともに、天井の板張りを残し、ダイニング側とは少し異なる雰囲気にして変化をつけました。
現在はダイニングやリビングが子どもたちの遊び場。キッチンから見通しがいいので目が届きやすく、家族の会話も自然と弾みます。
全体にシンプルな家具構成で空間をスッキリと。ダイニングのLED照明はアネスオワンのアンテナショップ「トリノス」で購入したものです。
シンプルなLDKはオリジナルキッチンでメリハリを
シンプルなLDKで存在感を放っているのは、このオリジナルキッチン。凹凸の表情がユニークな腰壁は、長さや厚みの異なる木の部材を組み合わせています。
キッチンとダイニングの動線はシンプルなので、行き来がスムーズ。眺めがよくなかったキッチンの腰窓は、必要な光を取り込むだけの小窓に縮小しました。
当初は、キッチン横に食器棚を造作する予定でしたが、予算の都合で今回は見送りに。その分、サービスバルコニーに続くキッチン裏側のスペースを広いパントリーにし、収納量を確保。キッチンまわりのストック品を、デッドスペースにうまく収めることができました。
また、キッチン横の壁はタイル貼りにしてアクセントに。
「こんなのがいいな、と思って選んだものがたまたま外壁用で、結果コストも安く抑えられました」と妻。
やさしい風合いの寝室と子ども室
寝室側へと続くLDKの漆喰壁は、やわらかな表情を演出するアールのデザインに。廊下側から見ると、空間が奥深く広がるような期待感を抱かせます。
その壁の向こうにあるのは、大型のウォークインクロゼット。こちらは元々、書斎として使われていた個室だったそう。
寝室は壁にグレーのアクセントクロスをあしらって、落ち着いた雰囲気に。ベッド側にはカーペット、通路部分にはフローリング調フロアタイルを採用しています。
女の子2人なので、子ども室はあえて分けず、1か所にまとめました。白系のフローリング調フロアタイルとグレーのクロスで北欧風の内装に。ニュアンスのある型ガラス、ゴールドのレバーハンドルを付けたドアとお似合いです。
スクエアなボウルを組み合わせて家具のように仕上げたオリジナル洗面台。娘たちが朝の同じ時間帯に使いやすいように、鏡は大きめにしたそうです。
「オープンにしたシンク下は椅子や体重計の収まりがいいですね」と夫。
右の写真は、サニタリーから廊下に出たところ。廊下にも漆喰壁やナラ無垢フローリングを採用しています。
玄関は漆喰壁の保護を兼ねて、足元のみ土間と同系色のタイル貼りに。
リノベーションを振り返って、「掃除がしやすいし、居心地がよくてリビングに家族が集まりやすくなりました。今後はもう少し家具を揃えたり、眠っている雑貨を飾ったりしたいですね。」と妻は話してくれました。
過剰なものを省いたニュートラルな空間だからこそ、子どもたちの成長に合わせて柔軟に変えていく楽しみもあるといいます。
設計・施工 アネストワン
撮影 山田耕司
※情報は「リライフプラスvol.19」取材時のものです