「なぜかイライラして落ち着かない」という空間を経験したことはありませんか?イライラする住まいの原因は、収納の問題が多いのですが、それ以外にも、家具の配置や動線などが起因することがあります。今回は、間取り相談に寄せられた事例をもとに「ストレスフリーで生活しやすい、快適部屋づくり」についてお話しいたします。

目次:

「動線」を間違えるとイライラ度が増してしまう!家具の配置やサイズを間違えるとイライラが増える!収納家具の選択を間違えるとストレスが増す!「動線の整理」と「家具の種類・配置」を見直すことが最善!

「動線」を間違えるとイライラ度が増してしまう!

ご相談にいらした30代女性の家族構成は、ご夫婦と1歳になる赤ちゃんがいらっしゃいます。

家は、LDK+洋室・寝室の2LDK賃貸マンションです。

LDK
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ニコプロ / PIXTA(ピクスタ)

「LDKでは、何をするにもストレスフル。ご飯を食べるのも、動くことも、赤ちゃんのお世話をするのも、イライラして疲れてしまう。何か良い方法はないか」というご相談でした。

人が動くラインを「動線」といいます。

この動線ですが、動線同士がぶつかったり、またはなにか障害物があると、当然ですが不便です。

イライラのもとですね。

こちらの図でLDKの動線を見てみましょう。

間取図

廊下からお部屋に入って、リビングへ移動する①の動線が、ソファーにぶつかっています。

つまり、このソファーをよけて、リビングへ入らないといけません。

また、リビングから寝室へ移動する②の動線ですが、テーブルやオットマンがあるため、寝室へは大変入りにくくなっています。

キッチンからリビングへ移動する③の動線ですが、この動線自体は問題ありません。

しかし、広くないキッチンに、リビングへ向かう①と③の2本の動線があることによって、キッチンを狭くしてしまいます。

家具の配置やサイズを間違えるとイライラが増える!

家具の配置やサイズを間違えると、何をするにも不便で、イライラがたまります。

家具 配置

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また、動きにくいため家具にぶつかったり、危険なこともあります。

下のLDKの間取り図を見てください。

間取図

キッチンカウンターの背面に設置された①分別ストッカー(ごみ箱)ですが、キッチン台での調理で出たごみを捨てるにはとても不便です。

また、ソファーとキッチンカウンターの間も、この分別ストッカーがあるため、狭くなっています。

そのため、ソファーか分別ストッカーに、身体がぶつかりやすくなっています。

②で示したソファーとテーブルの関係も、大きな問題でした。

スペース的にダイニングテーブルが置けないため、ソファーに座りリビングテーブルで食事をされていらっしゃいました。

しかし、ソファーの高さに対し、テーブルの高さが高かったため、食事がしにくいという状況でした。

ソファ

食事のしやすい椅子座面とテーブルトップの高さの関係は、その差が27~30cmです。

しかし、この数値は椅子が硬めの場合で、ソファーの場合は座面の沈み込みが3~6cm以上ありますので、その数値を考慮しないといけません。

こちらのお宅では、ソファーの座面の高さは、座ってないときは38cm。

一方、テーブルトップの高さは65cm。

その差は、65cm-38cm=27cmですが、ソファーの沈み込みを考えると、その差は沈み込んだぶんが増えます。

ソファーの沈み込みを約5cmとすると、ソファー座面とテーブルトップの差は27cm+5cm=32cmとなります。

理想的な27~30cmに比べ、テーブルが高いということがわかります。

テーブルが高いと、腕を上げて食事をすることになり、食事の度に、たいへん疲れやすくなるわけです。

③のスペースは、お父様がテレビを見ながら赤ちゃんを遊ばせていました。

しかし幅2m×奥行1.2m程度しかなく、また、テーブルやベビーベッドがあるため、赤ちゃんにとってはケガをしやすい危険な環境でもあります。

収納家具の選択を間違えるとストレスが増す!

収納家具の選択を間違えると、収納にスペースばかりとられて、思ったような収納量を確保できません。

収納家具

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収納量が足りないと、物が片付かないばかりでなく、散らかっている状況はメンタルにストレスをうけます。

下のLDK間取り図を見てください。

間取図

キッチンワゴンやカラーボックスなどの収納家具を、きちんと壁に配して並べられています。

しかし、どの収納も高さがないため、スペースを占めている割には、十分な収納量が確保できていない状況です。

「動線の整理」と「家具の種類・配置」を見直すことが最善!

動線の整理と、家具の種類・配置を見直し、以上のような問題点を、改善してみました

間取図

①高さのあるキッチン収納棚やリビング収納を採用し、収納量を確保するとともに、こまごました家具を整理整頓。

②家具を右側のみに配置し、スムーズな動線を確保。

③家具の配置を変えたことにより、赤ちゃんのための広くて安全なスペースを確保。

④キッチンカウンターはL字に配し、動きやすさを実現。また邪魔だった分別ストッカーは、キッチン台背面にあるキッチン収納棚の最下部に設置。

⑤テーブルの高さにあったソファーを選び、食事のしやすい環境を確保。

ビフォー・アフター
ビフォー
アフター

いかがでしたか?

今の住まいに、何らかのストレスを感じているようであれば、動線や、家具の種類・配置を見直してみてください。

きっと、ストレスフリーで快適なお部屋にすることができますよ。