最近よく聞く「DIY型賃貸」。国土交通省は、この「DIY型賃貸借」を普及させるために、ガイドラインを作成しています。国が応援する「DIY型賃貸借」。どんなものかご存知でしょうか?
1.DIY型賃貸借って?
DIY型賃貸借とは、借り手が自由に造作できるように賃貸借契約を結んで居住できる賃貸物件のことです。
1-1 DIY型賃貸借が生まれたきっかけは?
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ご存じの通り、日本は人口が減少したこと、核家族化により親世帯が住んでいた住宅を相続しても、住む人がいないことなどから、空き家が増加しています。
空き家は築年数が古いものが多く、賃貸住宅として貸し出す場合、多額のリフォーム代がかかります。
そのため、改修しないでそのまま放置している人は少なくありません。
いっぽう、近年は新しくて高級なものよりも、古くて安いものでも、「自分らしい」ものを持ったり、作ったりするほうが、価値があると考える人が多くなっています。
DIYがブームとなり、自分で小屋を建てたり、家具を作ったりする人が増えています。
そこで生まれたのがDIY賃貸借というシステムです。
空き家を抱える大家さんと、住まいを自分らしくしたい人のニーズが一致して生まれた新しい賃貸借の形です。
1-2 何を、どこまでできるの?
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例えば、最初から付いていたキッチンの扉を取り払って、天然木の扉に交換したとします。
通常の賃貸借契約なら、退去の際に、借りた時の状態に戻す「原状回復義務」が発生します。
天然木の扉を外して、最初から付いてきたキッチンの扉に戻して退去しなくてはならず、工事費と手間がかかります。
DIY型賃貸借なら、原状回復しなくてはならない場所が少なく、契約内容によっては、そのまま退去してもよいのです。
しかも、壁にペンキを塗ってもOK、襖や欄間を取り払ってOKなど、リフォームの自由度が高くなります。
2.メリット、デメリットは?
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大家さんにとってのメリットは、入居者の為に行うリフォーム箇所が少ないことです。
費用も少なくて済みますし、時間もかかりません。
借り手は自分のために工事をするので、手間暇かけて工事しているので、内装や設備はグレードアップしている可能性が高くなります。
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また、借り手自身が工事をしているので物件に愛着が湧き、長い間住んでもらえることが多いようです。
借り手の一番のメリットは、 持ち家と同じように、自分の好きなように改修ができることです。
通常の賃貸住宅ではできないリノベーションもDIY型賃貸借なら行えます。
また工事費を借り手が負担する分、家賃は相場より安くなりますし、原状回復義務がない場合は元に戻すための費用がかかりませんので、トータルの費用が安くなります。
3. 契約で注意することは?
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トラブルが起こらないようにするためには、契約前に、何をやりたいかをはっきりさせておくことが大事です。
どの工事部分をどちらが費用負担するのか、工事を実施するのは誰か、所有権はどちらにあるのか、原状回復義務はあるのか、明け渡し時の精算はどうするかなどを確認しましょう。
DIY型賃貸借は、大家さんにとっても、借り手にとってもメリットが大きい新しい契約形態です。
しかし、契約の時に詳細を取り決めておかないとトラブルになってしまうこともあるので、注意が必要です。
国土交通省からガイドブックや契約書式のサンプルが掲載されていますので、検討中の方は目を通しておくと良いでしょう。
4.まとめ
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国も応援している「DIY型賃貸」。ガイドブックには、リノベーションの事例も掲載されています。
参考にして、自分好みの住まいづくりにチャレンジしてみてはいかがでしょうか。
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