星野ひろみさんは植物による空間づくりやプロダクトデザインを手掛ける「STEOR(ステア)」の代表です。「訪ねてきてくれたお客さまが、夢をもてる場所をつくりたい」と星野さんがアトリエ兼自宅を構えたのは、東京都葛飾区。一戸建てを購入後に約900万円(税込み)でリノベーションしました。

目次:

町工場だった建物をアトリエ兼住まいに荒川を越えてみたらそこに…建物のレトロな雰囲気に合わせた空間づくり鳥やカメ、植物たちも大切なパートナー

町工場だった建物をアトリエ兼住まいに

アトリエ兼住まい
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アトリエは1階にあり、アンティークのインダストリアルランプが目を引きます。

テラリウム

photo kenichi aikawa

天井は鉄骨がむき出しで工場のようですが、実は本当に町工場だった建物なのです。以前も、床がモルタルで倉庫のようなところをアトリエ兼住まいにしていたそう。物件を見て「ここなら、素敵な空間にリノベできる!」と感じ、購入を即決したといいます。

荒川を越えてみたらそこに…

アトリエ兼住まい
アトリエ兼住まい

アトリエの入り口は大きく開けることができ、中には車も停められます。車は作品の搬送などに使うため、仕事上どうしても必要だといいます。しかし、それが物件探しのネックにもなったそうで……、「100平米くらいの広さの中古物件を2、3か月かけて探しましたが、都心では地価が高くて。でも、荒川を越えると同じ価格で駐車場つきが可能になると分かったんです。すごい発見でしたね」と星野さん。

購入したのは、築年数38年(昭和55年・1980年築)というレトロな物件です。物件を決めてからは、大好きなアンティークの家具なども買い集めたそう。設計・施工は、それらと調和する空間づくりのパートナーに相応しいと感じたhowzlife(ハウズライフ)に依頼しました。1階はほぼそのままの状態でアトリエにしましたが、もともと住宅だった2階は大幅に見直し、自宅としました。

玄関

では、2階を見てみましょう。玄関を入るとすぐにたくさんのグリーンが迎えてくれます。左のドアはアンティークで、DIYで表面を削ったり塗装して仕上げたそうです。

建物のレトロな雰囲気に合わせた空間づくり

リビング

個室だったスペースはリビングに。床に使われた無垢材、既存を生かした現しの柱、さらに周りを囲む植物も相まってまるで自然の中にいるようです。小さな作品の制作やプランニングは、ここで行うことも多いそう。リビングはダイニングやキッチンとも空間がつながっています。

ダイニングやキッチン

ダイニングテーブルそばの柱は既存で、ホゾ穴や傷がいい味を出しています。新たに取り入れた木材にはオイルを塗り、こういった既存の柱と色合いを合わせる配慮がされています。壁は漆喰塗りにし、新建材は使いませんでした。だからこそ、アンティークのインテリアも馴染んで見えるのでしょう。

キッチン
キッチン

リノベ前は壁付けのキッチンでしたが対面式に変更し、外壁用のタイルを貼っています。パントリーの窓際には、植物がずらりと並びます。

サニタリー

トイレは個室にせず、洗面脱衣室と一体化してゆったりとしたサニタリースペースとしています。窓のアイアンフレームはDIYで取り付けたもので、アンティークです。

浴室
洗濯機上のオープン棚

浴室がより明るく広々と感じられるように、ドアはガラス入りのものを選びました。窓際には植物も配置しています。「浴室の湿度はガガイモ科のディスキディアなど、熱帯の着生植物には最適なんですよ」と星野さん。洗濯機の上にはオープン棚を取り付け、カゴを利用してタオルなどを収納しています。

鳥やカメ、植物たちも大切なパートナー

コガネメキシコインコ

photo kenichi aikawa

星野さんの肩に乗っているのはコガネメキシコインコです。合わせて4羽のインコ、さらにカメとも同居中です。

寝室

和室を変更してつくった寝室が、インコたちの居場所にもなっています。彼らはたくさんの癒し、日々の暮らしに活力をもたらしてくれる存在だといいます。

星野さんの作品

室内には星野さんの作品もあちこちに。星野さんの中で生活と仕事は一緒になっていて、切り離すことができないもの。だからこそ、その舞台となる空間は「好きなところ」であることが大切と話す星野さん。そして、その好きなところで、好きなときに作品づくりを行っています。一緒に暮らす植物や生き物たちも含め、この家そのものが星野さんの「作品」なのかもしれませんね。

設計・施工/howzlife(ハウズライフ)
撮影/幸田 森
※情報は「リライフプラスvol.27」取材時のものです