三重県・鈴鹿市内にお住まいの早川さん夫妻の家づくりのテーマは、「毎日の家事が楽しくなる家」。住まいの主役は、窓の外に豊かな緑を眺めるLDKです。
借景の緑を堪能する、気持ちのいいL字型のLDK
すべての画像を見る(全23枚)リビングに入ると、目の前に木のキッチンとダイニング、畳スペースがL字に広がる早川邸。「仕事から帰って、ドアを開けたときのこの眺めがお気に入り。好きなものに囲まれた空間にホッとします」と夫。
敷地南西側の借景を楽しめるよう、くつろぎの場であるLDKと畳スペースをL字型にレイアウト。左側の黒い平屋部分が畳スペース、1階の中央がLDK、右側の突き出た部分がサンルームです。光と風、緑を効果的に取り込めるよう窓の配置も工夫しています。
サンルームからL字のデッキ越しにダイニングが見えます。
LDKの中心はオリジナルのこだわりキッチン。庭の先の借景の緑まで見渡す特等席です。
ダイニングはキッチンの向かいではなく横に配置。回り込む必要がないため、配膳や片付けもスムーズです。キッチンからダイニングにかけて壁一面に収納をデザインし、一角にPCコーナーを設けました。
「視界が抜けて心地よいので、ダイニングで過ごす時間も長くなりました」と妻。朝食は、窓に向かって二人で並んで食べることが多いそう。
動線と収納計画に工夫が光る!家事が楽しくなるキッチン
デザインとともにこだわったのが、自分たちの暮らしに合う機能的な家事動線と収納計画です。キッチン背後にある造り付けのパントリーやキャビネット、キッチン本体の収納は、普段の家事の流れと収めるものに合わせて設計しました。
「キッチンから手の届く範囲に必要なものが揃い、動線に無駄がないんです」と妻。
キッチンの背後は、冷蔵庫やパントリーの扉を開けていてもふたりがすれ違える余裕の広さ。
食器は奥まで取り出しやすい引き出し式、食品は中身全体を見渡せる開き戸にと、収納するものに合わせて使い勝手がよいように収納を計画しました。ブレンダーや電気ケトルなど、キッチンで意外と活躍するコンセントも絶妙な位置に配置。
ゴミ出しなどに使う勝手口は、風の通り道にも。キッチンの背後にある吊り戸棚の一角にはエアコンを組み込み、扉で目隠しできるようになっています。
勝手口横のパイプスペースの出っ張りを生かし、天井まである棚を設置しました。レシピ本やコースターなどがすぐに取り出せるよう、扉のないオープン収納にしています。
ヴィンテージ感のある家具や雑貨が似合う素材感にもこだわって
「“ヴィンテージ感のある家具や雑貨が似合う家に”という希望に応え、無垢材やアイアンなど経年変化により味わいを増す素材にこだわりました」と、設計を手がけた安藤亨英さんと安藤節子さん。
リビングは、家を建てる前から購入を決めていたTRUCK FURNITUREのソファやローテーブルがぴったりと収まるように設計。
キッチンに立つと、LDKに入る扉が正面に見渡せます。帰宅後、2階へ上がるときは必ずここを通るため、家族のコミュニケーションが自然に生まれる動線に。
ダイニング横の畳スペースは寝転がってくつろいだり柔軟体操をしたりとフレキシブルに活躍。ゲストが泊まるときは、ロールスクリーンを下ろせば個室のように使えます。
階段の手すりやステレオの棚の黒いアイアンが空間のアクセントに。
五感で楽しめる、等身大の住まい
2階の寝室のクローゼットは、建具を取り付けず両開きカーテンにすることでコストダウンを図りました。
着替えの時間が重なることが多いというふたり。
引き違い戸だと片側を開けているともう一方が開けられませんが、カーテンならスムーズに着替えられるそう。
洗濯機の上部には脱衣かごを置く棚板を取り付けました。上部の洗剤収納棚は目隠しできる扉付き。洗剤ボトルにホコリがつきにくく便利です。
この家で暮らし始めてから、パンを焼いたり、庭で育てた野菜やハーブを料理に使ったり収穫したジューンベリーでジャムをつくったりと、レパートリーが広がったそう。休日は夫が淹れたコーヒーと妻手づくりのベーグルの香りが漂い、窓からは心地よい風。五感で楽しめる、等身大の住まいです。
設計/悠らり建築事務所
撮影/飯貝拓司
※情報は「住まいの設計2017年5-6月号」取材時のものです