ここ家ですよね?と何度も確認しそうになるけど、正真正銘の家なんです。ミラーボールもすごいけど、レコードもすごい。約3000枚が収まっているそうな。人の家や暮らしを見るのって楽しいですよね。日刊Sumaiの読者なら、その思いはひとしおのはず。ビックリするようなカタチの家、素敵なインテリアの家、マネしたくなるようなアイデアのある家などなどなど。日刊Sumaiでは、住宅雑誌「住まいの設計」、マンションリノベ専門誌「リライフプラス」から、選りすぐりの家をピックアップしてご紹介していきます。

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DJブースにミラーボール。クラブみたいだけど家なんです!単なる趣味のスペースではなく、家族とのつながりを重視して

DJブースにミラーボール。クラブみたいだけど家なんです!

「お邪魔しまーす」と玄関を開ける。と、いきなり飛び込んでくるのが、ターンテーブルが2台載ったカウンターと、その背後には無数のレコード群……。
ふと見上げた視線の先にはミラーボール!

ここはどこ? 私は何しにここへ?ここは決してクラブではありません。

静岡県に住むFさん家族の家なのです。Fさんの趣味はDJをプレイすること。
家を新築する際には趣味のスペースが欲しいというのはよくありますが、ここまで趣味が露出した家というのも珍しいですね。

Fさんによれば「以前の家でもDJブースはつくっていたがあふれてしまったレコードやCDは、住まいとは別の倉庫に置いておかなくてはならなかったんです」って、どれだけ持っているのか……。
家づくりに際しては希望したのは「DJブースとレコード、CDを収納できること」「それとともに家族が一緒に過ごせること」など。設計を手掛けた仲亀清進さんは、そんなFさんの思いを受け止め、像以上の楽しい家を作り上げたんです。

DJブース、吹き抜け、ミラーボール、子ども用の車が同居する不思議な空間

仲亀さんに家の中に趣味のスペースを取り込む手法を聞いてみました。「このDJブースはFさんひとりがこもる場所ではなく、LDKに組み込んで家族で楽しむことがポイントです。また、玄関先の決め手は実はミラーボール。
玄関のうえにあけた吹き抜けがミラーボールの光を効果的に反射してくれるんです」
「ミラーボールは最初シャレのつもりで言ったんのですが、まさかこんな風に実現するとは……」とFさんもいたくご満悦の様子。

単なる趣味のスペースではなく、家族とのつながりを重視して

RC打ち放しのクールな空間。DJブースの奥が玄関で手前がリビング

もうひとつの設計のポイントは「家族のつながり」です。仲亀さんは、玄関→DJスペース→リビング→ダイニング→キッチン、その奥に洗面・浴室と、いつも家族がどこかにいるスペースを一直線につなげて家族のコミュニケーションが図りやすい計画にしたのですね。
いつもパパのDJプレイを身近に聴いているせいか、今では奥さまも長女もレコードを回すそうですよ。音楽=DJブースが家族を強く結びつけているんですね。

リビングの奥にはキッチン&ダイニング

そのほかのスペースも少しご紹介しましょう。

キッチンとリビングの前には中庭も設けられています。

中庭は雑草などが生えないよう、砂利を敷いています。RCの質感にジャストフィット

中庭と外壁が外からの視線を遮ってくれるので、窓はカーテンいらずです。小さな子どもも安心して遊ばせられますね。

ハードに見えるが使い勝手も考慮されたキッチン&ダイニング。右手の奥にバックヤードも兼ねた洗面、浴室がある

女性が特に気になるキッチンはというと、こんな感じ。キッチンと洗面・浴室などの水回りは奥にまとめられました。
「キッチン、洗面、浴室の家事動線がとても使いやすいですね。それにお客様がみえたときなども、外から見えにくくて助かります」と奥さまにも好評な様子。
ハードでデザイン優先にみえる建物ですが、ちゃんと生活する人の使いやすさも盛り込まれていました。

2階は主寝室と子ども室、ライブラリーとテラスなどで構成されています。個室の床はパインのフローリング、天井をラワン合板で仕上げてナチュラルな雰囲気を加えられました。

RCと木の組み合わせって、とても相性がいいんです。床と天井の木にはオイルを二度塗り。深みのある色合いになりました。

ハードな質感のRC造にDJブースのある家なんて疲れるんじゃないの? などという心配はご無用。間取りや仕上げを工夫すれば、ゆったりと安心して暮らせる家になるんです。みなさんも、家をつくる際にはぜひ参考にしてみてくださいね。

設計=仲亀清進
撮影=目黒伸宜
※情報は「住まいの設計」取材当時のものです