主婦業のかたわらエッセイスト、カウンセラーとしても活動する若松美穂さん。ここでは大人の女性が抱える人間関係のお悩みに答えてもらいます。
今回は、若松さん自身の家族の悩みでもあり、ほかの方からされる質問や相談でも、ときどき聞かれる内容について書いてもらいました。
聞かれたくない質問をされたとき、どうやって話題を切り替えるか
すべての画像を見る(全1枚) 皆さんは、自分自身にとってつらい話題や、聞かれたくない質問をだれかにされたとき、どうしていますか?腹が立つ・ムッとする・笑ってごまかす・黙る・その後つきあうのをやめるなど、対応にはさまざまあることでしょう。
今回の悩みは、震災後、私の実母が困っていて、相談されたことの一つです。
周囲の方のお話をうかがいますと、年齢を重ねれば重ねるほど、人生平坦でなにもないという方は本当に少ないものです。ある出来事に、何年経っても癒されることがなく、つらさが続いている方もいらっしゃいます。自ら話してみよう…と口にする場合は別として、何気ない質問や、話を堀り下げられて困惑すること、返答に困ることがあります。
私の母は10年前に起きた東日本大震災で、仕事と住む場所を失くし、さいたまのわが家に住居を移しました。
新しい場所で新たな出会いが生まれます。お友だちもできます。
タクシーに乗ったりすると、当時は当たり前のように震災の話になったものです。もちろん相手は悪気などなく、話のタネやきっかけ、教えて…という感覚で話しているのです。
ある時、母が「思い出してつらいから、しばらく人に会わないでおこうかな」と言いました。彼女のつらい気持ちは、気持ちとして受け止めます。でも、時間が経過したら、現実(事実)に目を向けることも必要になります。
この先、人との関係を断ち続け、震災の話をしない人や場所だけを選んで暮らすことは難しいものです。なぜなら自分の気持ちはどうあれ、他人やその人の発言まで、こちらの思いどおりに動かすことなどできないのですから。
そこで、「震災の話になったときの反応や言葉を、先に用意しておきましょう」と、ともに考えました。たとえば、聞かれても無理に答えない。母は真面目なので、答えなくてはいけないと思っていたようです。もしくは、トイレに行くなど席を立つ。
それでも続いたら「私、震災の話は苦手なの」と伝える…。
次第に母も慣れてきて、あるときから「その話は長くなるから、ねっ」と、違う話題に切りかえることができるようになったのだそうです。
体のこと・親や子ども、夫のこと・過去のこと・仕事のこと。言いたくないことへの回答や対応を事前に考えておくことも、大切なご自身のお気持ちを労わる、一つの手段になるのかもしれません。
【若松美穂(わかまつみほ)】
お金をかけずにセンスと工夫でおしゃれに暮らすカリスマ主婦読者として、生活情報誌『ESSE』や『サンキュ!』などで紹介され人気者に。2011年、心理カウンセラーの資格を取得。主婦業のかたわら、エッセイストとしての執筆活動のほか、講演、各メディアへの出演など多方面で活躍。夫と娘2人、母親の5人家族。埼玉県在住。公式サイト「
“いま”と“みらい”のへや」にて最新情報を更新中