年頃の娘がダイエットをしたいと言ってきた。そんな経験がある方も多いのではないでしょうか。
料理研究家の阪下千恵さんもその一人。高校生の娘さんに健康的なダイエットをしてほしいという思いからつくったのが「ゆる糖質オフ」のお弁当でした。
無理なく、おいしく、勉強も部活も考えた、2週間のダイエット弁当づくりについてお話を伺いました。

ブロッコリーや卵焼きが入ったお弁当
料理研究家・栄養士の阪下千恵さんが高校生の娘さんにつくった「ゆる糖質オフ」弁当
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目標は体重減ではなく見た目のすっきり感。2週間限定の「ゆる糖質オフ」弁当

「娘がダイエットに興味をもち始めたのは小学校高学年から。高校生になると骨格もしっかりして、女性らしい体形になり、“足が太い”“体をほっそりさせたい”と悩むように。写真映えも気になるようですね」と阪下さん。

「不健康なやせ型を目指すのはよくないけど、すっきり見せたい、すらっとした体型になりたいという乙女心は理解できます。またダイエットを自己流で始めて、たまたまうまくいくと“やせたい!”気持ちがエスカレートして過激になって止められなくなるのも心配です。子どもの知識だけでは正しいダイエットは難しいと感じたのと、食育という面からダイエットをもっとポジティブにとらえて、親として応援してあげたい」
そう考えてスタートしたのが「ゆる糖質オフ弁当」でした。

そして娘さんと相談して、「ゴールは体重ではなく、見た目がほんのちょっとでもすっきりすればOK」を目標に、2週間短期集中の糖質オフダイエットが始まりました。

●活動量の多い高校生には「糖質オフ」も「ゆるく」が大切

「糖質オフ」ダイエットは、基本的には主食を抜き、低糖質の食材を選んで1日の糖質摂取量を抑えるという手法。
阪下さんいわく「糖質オフダイエットはカロリーを減らす方法より短期的に効果が出ることも多いのですが、料理をつくるのも大変だし食材費もかかります。また糖質を減らしすぎると頭がボーっとして集中力が低下してしまう人も」

そこで、体力も頭もフル回転の高校生のダイエットに応用するには、糖質を減らす量を“ゆるく”しないと学校生活に響くので、3食全体で1日の糖質量をいつもの半分程度に減らすことに。
「朝はパン半切れにスープや卵料理で体を目覚めさせて、昼は主食を抜くもしくは少量に減らした“ゆる糖質オフ”弁当、夜は主食なしで糖質少なめのおかず、というスタイルを2週間続けてみました」

無理なく続く「ゆる糖質オフ」弁当のポイントは4つ

無理をすることなく2週間続けられる「ゆる糖質オフ」弁当のポイントを教えていただきました。

●ポイント1:野菜は糖質を気にせずにたくさんとる

イモ類(ジャガイモ、カボチャなど)は糖質が多めなので入れすぎないようにしますが、それ以外の野菜は、糖質よりも食物繊維やビタミンなど体によい栄養素を重視。根菜や緑黄色野菜など、お弁当箱を野菜で埋める感覚で、たくさん入れるように心がけます。

野菜でお弁当箱を埋めるのが大変そう…と心配な人は?
「肉や魚、エビ、イカ、大豆製品、卵もOKです。ウインナーや卵焼き(砂糖抜き)、ブロッコリーなどお弁当の定番食材を入れてみて。こんにゃくや厚揚げの副菜もおすすめです」と阪下さん。

牛肉、コマツナ、パプリカの野菜炒めが入ったお弁当

メインは牛肉、コマツナ、パプリカの野菜炒め。ご飯なしのため、野菜スープにサツマイモをひと切れ入れてボリュームアップ。

●ポイント2:野菜や肉、豆類が一緒にとれて満足度が高いスープを活用

みそ汁や野菜スープなど、なにかしら汁物をつけるとお弁当全体の満足感がアップ。
「豪華にビーフシチューなど汁物がメインのときも。大豆や玄米、マカロニなど少量入っているだけでも具だくさんの印象になります。春雨はそのまま入れておけば、食べる頃にはちょうどふやけていい感じに。マカロニや春雨は糖質が多く含まれますが少量ならOK」

鶏ササミのフライが入ったお弁当

メインは焼肉、衣控えめに揚げ焼きで仕上げた鶏ササミのフライ。スープはモヤシとキャベツ、ニンジンと具材たっぷりに。

●ポイント3:糖質が少ない調味料を覚えて、味のバリエを広げて

糖質オフダイエットでは、調味料の糖質も見逃せないポイントです。
「糖質が少なめな調味料は、しょうゆ、塩、酢、マヨネーズ、バター、オリーブオイル、ゴマ油など。ケチャップ、ソース類、みそは、使いすぎると糖質が高くなるので、味のアクセントに。卵、チーズ、ベーコン、カレー粉など、うま味や風味のある食材も上手に使って味のバリエーションを広げましょう。糖質が高いのは砂糖、みりん。パン粉など粉類も最低限に」

阪下さんのおすすめはオーブンで肉や魚を焼いて、塩コショウなどシンプルな味つけ。
「これなら油もほとんど使わず、糖質もごくわずか。しっかりボリュームをとりたい日にぴったりですよ」

ナスとピーマン、チーズのピザ風重ね焼きが入ったお弁当

オーブンでチキンと一緒に副菜の「ナスとピーマン、チーズのピザ風重ね焼き」も調理。スープジャーには、ワカメと油揚げ、キャベツのみそ汁。

●ポイント4:ご飯は「野菜炒め+少量ご飯」でチャーハンに

「ご飯が少なめでも満足度を高めるテクとして、チャーハンはおすすめ。野菜炒めの中にご飯があるような感覚ですが、それでもお米が入っているだけでもうれしいもの。野菜たっぷりの汁物をつければ、おなかも満たされます」

チャーハンが入ったお弁当

メインは牛肉、ブロッコリー、卵と少量ご飯のチャーハン(2段の弁当箱の下段を使用)。野菜スープと一緒に。

この“ゆる糖質オフ”弁当を2週間続けた娘さんは目標どおり「見た目が少しすっきり」して、友達から「最近やせた?」と言われたことがうれしかったそう。

その後は、リバウンドしないように朝食とお弁当は普通に戻し、夕飯だけ糖質オフを続けているそう。

「ゆる糖質オフ」弁当4つルールを頭に入れておけば、意外と普段のお弁当づくりの手間とあまり変わらずにできて、ダイエットに効果的。興味がある人はぜひ参考にしてみてください。

※子ども、妊娠中やその可能性のある方、持病のある方は糖質オフを行う前に主治医に相談してください。また、試してみて痛みや不調があるときは、すぐに中断してください。

※極端なダイエットは健康を損なう恐れがありますので注意が必要です。