2:夫婦で「やらなくていい」ことを増やす
すべての画像を見る(全3枚)子育て中の疲れを増幅させる原因のひとつに、他人と比べて自分を責めてしまう心理があると、加賀谷さんは指摘します。
「SNSで見る『完璧な育児』と自分を比べて落ち込む方は本当に多いんです。なかには、つくりおきのおかずをずらりと並べた投稿を見て、『私はあれができていない』と泣いてしまうお母さんも。でも、あれは目標にするものではなく、ひとつのエンターテインメントだと思ったほうがいい」
疲れをためないコツは、完璧を目指してやることを増やすのをやめて、手放すこと。
加賀谷さんのお宅でも、家事や育児に細かいルールを設けず「疲れが残らないこと」を最優先にしているそうです。
「たとえば僕が風邪でダウンしてしまったとき、妻が元気だったら、『今日は熱が出てつらいので、少し早く寝かせて』とお願いして、息子の夜泣きに対応してもらったり。代わりに別の日には寝かしつけや夜の対応は引き受けて、妻には、耳栓をつけてゆっくり眠れるようにしてもらいます。休日には、映画を見に行ったり、妻がひとりで過ごせる時間を確保したり、共倒れにならないことを目標に支え合うようにしています」
夫婦二人で協力し、「チームとして家庭を回す」という感覚も精神的な支えになったといいます。
「『やらなきゃいけない』より、『まあ、このくらいでいいでしょ』と思える範囲をどれだけ広げられるか。それに尽きる気がします。疲れがたまってきちゃうと、けんかになったり、いいことはひとつもないから、とにかく疲れが残らないことを優先。夕食の支度が面倒だったら、レトルトやカップ麺、フードデリバリーでいいや、というふうに、やらなくていいことをどれだけ増やすかを重視しています」
父親にも起きる「産後うつ」
子育てにまつわる不調では、見落とされがちなリスクとして「男性の産後うつ」もあるといいます。
「男性も女性とほぼ同じ割合で、産後にメンタルが不安定になることが分かっています。しかもパートナーが産後うつになると、夫側もなる確率が上がるといわれているんです」
その背景にあるのは、役割へのプレッシャーと睡眠不足の重なりなのだそう。
「女性の場合は、産後のホルモンバランスによる影響が大きいのですが、男性は『仕事も、育児も』という役割に加え、睡眠不足の影響を受けていると考えられます。夫婦ともに、単純に負荷は増えているんです」
男性の産後うつはあまり知られていないこともあり、声を上げられない人も多いのだそう。
「だれにも助けを求められないお父さんは少なくありません。ご夫婦で診察室にいらしたお父さんが、僕とふたりきりになってから、初めて涙を見せる方もいらっしゃいます」
加賀谷さんは、産後うつに限らず、疲れがたまって限界だと感じたら、医療機関への相談も行ってほしいとアドバイスします。
「現代では、ほとんどの人が『疲れた…』と感じているとは思いますが、『限界』のサインとしてわかりやすいのは、感情ですね。ちょっとしたことで涙が止まらなくなったり、怒りが抑えられなくなったら、がまんせず医療機関で専門家を頼るのも手です」
加賀谷さんの最新の著書『精神科医が教える くたくたな脳と心の休め方』では、こうした「疲れやすさ」の正体と、ケア方法をまとめています。育児中に限らず、日々の疲れの原因を知りたい方はぜひ手に取ってみてください。

