子育て世代にとっても切実な不安となっているのが、老後の資金問題。雑誌などで「老後資金は5000万円必要」などと読んで、「そんなに貯められない!」と不安を感じている人もいるでしょう。
「でも、今の生活費が年間500万円の人も1000万円の人も、同じ数字で決めつけるのはおかしな話。必要な老後資金は、今の生活費によって変わります」と言うのはファイナンシャルプランナーの畠中雅子さん。本当はいくら貯めればいいのか、しっかり教わってきました。
老後のために、いくら貯めればいい?
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「ねんきんネット」などで将来の年金を計算すると「少ない」と感じる人も多いよう。「でも焦らなくて大丈夫。一般に老後は住宅ローンが終わり、教育費や養育費も不要になるため、生活費は今の6~7割以下になる家庭がほとんどです。今の家計から、老後の家計を予想してみましょう。年金だけで意外に暮らせる、と気づくはずです」と畠中さんはアドバイスします。
年金とは別に、老後資金として備える必要があるのは、現在ボーナスでまかなっている「特別支出」の分。つまり、クルマの維持費や固定資産税などに加え、リフォーム費用、家電の買い替え、病気に備えるお金などです。
「これらを考えると、老後に貯めておきたい資金は、生涯の平均年収に近い30~40代の手取り年収の5~6倍が目安。年収500万円なら、2500~3000万円を目標に。会社員で退職金がある家庭なら、退職金でたりない分を貯めればいいので、十分準備できるのではないでしょうか」。
老後に必要なお金は「生活費」「特別支出」の2つだけ
●生活費
世帯主が40代の家計に比べてリタイア世代の家計は、食費や交通・通信費、教育費などが大幅にダウン。余暇時間が増えて交際費がアップしたり、年齢とともに保健医療費も増加しますが、全体的に支出は縮小傾向に。ただし、持ち家でない場合は住居費がかかります。
●1か月の生活費:平均243,864円(夫65歳、妻60歳以上の夫婦のみの無職世帯の1か月の平均生活費)
【老後に増える費目と減る費目】●増える費目
交際費 +17,018円
保健医療費 +5,062円
被服費 -8,031円
食費 -14,194円
交通・通信費 -21,557円
教育費 -27,541円
(※総務省「平成27年家計調査報告書」の「高齢夫婦無職世帯の家計収支」と「世帯主の年齢階級別家計収支」より)
老後に大きく変わるのは、ボーナスがなくなること。クルマ費や旅行費などは、貯蓄から出すことになります。また、リフォームやクルマ、家電の買い替えなど、大型支出の備えも必要。今の家計で特別支出が多い人は、1年に1度中身を見直してムダを減らすことも大事な老後準備に。
●予想される年間の特別支出家電の買い替え/10~20万円
クルマの買い替え/100~200万円
リフォーム費用/50~1000万円
税金、固定資産税/年10~15万円
自動車税/年2~6万円
子どもの結婚式の援助金/50~500万円