築50年以上のビンテージマンションに、夫と暮らす料理家・こてらみやさん。約2畳の台所は、狭いからこそのアイデアと工夫であふれていました。
壁と天井をくまなく使って、狭小キッチンを心地よい場所に
●工夫をつめ込んだこてらさんの秘密基地
ダイニングとドアで仕切られた、2畳ほどの台所。こてらさんはこの空間を、“私の部屋”と呼んでいるそう。使い込まれた道具と無駄のない収納からは、日常とともに、台所が進化してきたことがうかがえました。
「料理をするだけでなく、本をもち込んだり、タブレットで映画を観たり…。夫が趣味のギターを弾き始めたときに、ひっそり避難する場所でもあります(笑)。自分だけの部屋がないので、ここが私の部屋のような感覚です」
気ままに好きなことだけをする、秘密基地のような場所。壁や天井につるされた道具たちも、お気に入りのものばかり。
「収納が少ないので、必然的に壁や天井を使うスタイルに。火の周りで使うものは、コンロの近く。洗ってそのまま乾かしたい調理道具は、シンクの上。天井からものをつるせば、取るときにちょっとしたエクササイズになります。限られたスペースだからこそ、収納は自分でつくったものが多いですね」
●天井からもつり下げて、“ながらエクササイズ”
すべての画像を見る(全7枚)ペーパータオルや、使いかけの乾物などをつり下げ。
「取るときに腕を伸ばすので、肩回りの筋肉がほぐれて気持ちいいんです」
コンロ上からはお気に入りのサルと一緒にウエス(布)入れをつり下げ。油汚れをふき取るには、ここに入れておくのが便利。
繊細で割れやすいガラスのポットは、置いておくよりも、つるす方が安心。ポット越しに見るベランダの風景がお気に入りです。
●日当たりのいいベランダはわが家の食糧庫
ハーブをはじめ、野菜や果物も育てている、こてらさんのベランダ菜園。料理中に、必要なものをちょこちょこ摘みに行くこともあるそう。
旬の食材をビンづめでおいしく保存。果物はジャム、野菜はピクルスに。
真ん中はベランダで採れたハラペーニョのオイル漬け。
新タマネギのレモンマリネ、リコッタチーズ、オレンジを使った、さわやかなひと皿。ベランダで摘んだ青々としたミントを散らしています。
別冊エッセ
『暮らしを楽しむ、台所。』では、こてらさんをはじめ、料理家の白崎裕子さん、桑原奈津子さんなど、計14組の台所を取材しています。
収納の工夫だけでなく、日々を支えるレシピや、お気に入りの器や道具もご紹介していますので、ぜひご覧ください。