夏休みは、子どもの片づけが目につきやすい時期でもあります。
何度言ってもオモチャを片づけてくれないと、「片づけないなら捨てちゃうよ!」というフレーズをつい口にしてしまう人も多いのでは。
「できればその言葉は使いたくないですよね。叱らないで片づけてもらうコツがあります」と話すのは、整理収納アドバイザーのまいさん。
男児2人をもつまいさんに、効果的な言い方や誘導方法を教わりました。
子どもが自発的に片づけてくれるフレーズとは?
●言い方1:「しないなら×」ではなく「するなら○」にする
ネガティブな言い方をプラスな言い方に変えると、片づけをする子どもの肯定感が上がります。
<フレーズ例>× 片づけないなら、捨てるよ
○ 片づけたら、オモチャも喜ぶね
○ 片づけたら、おやつにしようね
○ 片づけたら、お母さんうれしいな
片づけにマイナスなイメージをもたせないためにも、「片づけたらいいことがある」と伝えてみましょう。
●言い方2:「元に戻して」と言ってみる
すべての画像を見る(全8枚)「オモチャを元に戻してね」と言ってみてください。子どもは「片づける」では漠然として意味がわかっていない場合があります。
「戻して」で片づいたらすばらしい。元の整理収納ができているということです。叱らなくてもすみますね。
<「いっぱいで入らない」「どこに戻すの?」と言われたら>オモチャの量や収納方法を見直す必要があります。使っていないオモチャがあったり、細かく分類されすぎていて片づけにくいのかもしれません。
大人でも、モノがあふれた場所に戻すのはおっくうですよね。
●オモチャの見直しは必須
子どもの月齢・成長とともに、遊ぶオモチャは変化します。興味も次々に変わるので、収納を決めたらずっとそのままというわけには残念ながらいきません。
子どもが楽しくたっぷりと遊ぶために、見直しはどうしても必須です。とくに小さいうちは自分で要不要の判断をするのは難しいので、一緒にやってあげてくださいね。
「まだ取っておく」と言っていた戦隊モノなども、半年後に聞くと「あげていいよ」に変わっていることもあります。定期的に聞いてみましょう。
●オモチャ整理は一緒に
整理は子どもと一緒にしましょう。「オモチャを一緒に片づけよう」「お母さんどれがいるのかわからないなぁ」などと声をかけると、案外子どもはのってきますよ。
夏休みなど時間があるときはチャンスです。わが家の場合は、「○時からやるよ~」と事前に声をかけています。
裏ワザとして、「片づけbefore→after」を自由研究にしてみたらいかがでしょうか? 片づけたらどんな変化が起こるか予想してから結果をまとめる…一石二鳥ですね(笑)。
●片づけの基本はとても簡単
整理の基本手順は共通しています。「出す」「取りのぞく」「分ける」です。
小さな引き出しひとつからでいいので、始めてみましょう。
1.ひっくり返して中を全部出す
2.「使っている・好き」を残し「捨てる」(「保留」)をとりのぞく
3.残すものを大まかにわける
この1~3を行ってから収納します。
たとえばわが家では、子どもの製作物はひとつのカゴに入るまでと決めています。あふれたら1~3を実行して、ものを整理します。
すぐにたまる製作物は本人に、どれを残すか決めてもらっています。
判断に時間がかかるようなら「取っておいてあとでいるなら戻そう」と言って「迷う」に分けるとはかどります。
洋服や文房具、日用品などすべての整理に共通する手順です。
<捨てられない子へのキーワード>「いらないよね?」(「うん」と言うだけでいいので「いる?」と聞くよりはかどる)
「赤ちゃんぽいからお友だちにあげようか?」
「1か月とっておこう」→別の場所に保留します
「写真に撮っておこう」(本人に持たせて一緒に写すと、だれのいつ頃のものかわかります)
「捨てられたね!」ひとつでも捨てられたらほめます
●収納のポイント
収納するときは、月齢が小さいほど大まかに分けましょう。フタのないボックスにざっくりと放り込む収納にすれば、簡単なので子どもでも戻すことができます。
仕分けられる年齢になったら、箱や引き出しを使って自分で分類してもらうといいですね。
わが家は兄弟にひとつずつ引き出しを割り当てていて、シールをはるのも自由です。中はごちゃごちゃですが、定期的に不要なものの整理を手伝っています。
また、意外とポイントなのが「収納の高さ」。小さい子は低い位置に、年齢が上になれば上に。目線や手に取りやすい高さを意識して収納場所を決めましょう。
場所が高すぎたり箱を重ねたりすると、出し入れがしづらくなります。
また子どもが小さいうちは、中の写真を印刷してはっていました。
お友達が遊びに来たときにも、説明なしで片づけてくれるのでラクです。
●「とりあえずボックス」があれば戻しやすい
リビングなどに持ってきては散乱するオモチャを、ひとつひとつ片づけるのは面倒です。
大きめの箱を用意して、片づけたいときは全部放り込んでしまいます。
オモチャコーナーに戻すときも簡単ですし、数日はそこから出して遊ぶので、しばらくそのままにしてもいいですね。時間や気持ちに余裕があるときにゆっくり戻しましょう。
「片づけないなら捨てちゃうよ」のようなフレーズを、子どもが友達に使うようになったら困りますよね。
「どうせ捨てないくせに」と矛盾を感じ、もし本当に捨ててしまったら子どもの心も親子の信頼関係も傷ついてしまいます。ものを大切にすることも教えられません。
片づければ、「遊びやすい、見つけやすい、壊れにくくなる」などいいことがあると教えてあげてください。作業は30分程度で区切ると、子どもも疲れずに集中できます。
やりとげたら「最後までがんばれたね」とたくさんほめてあげてくださいね。「片づける技術」は一生の財産になります。