必要なものしか置かず、道具はすべてしまい込む。効率を最優先した、そんなキッチンもいいですが、長い時間を過ごすだけに、家事のモチベーションを上げるような仕かけも欲しいもの。見た目を好みのテイストにしたり、愛用する道具が身近に感じられたりしたら、台所仕事も楽しくなります。とはいえ、やりすぎや、ごちゃごちゃ感を出すのは禁物です。そこで、ESSE編集部はルームスタイリストの瀧本真奈美さんを取材。雑貨を上手に取り入れながら、カフェのような、見せる収納のキッチンのつくり方を教えていただきました。
すべての画像を見る(全9枚)玄関から真っ直ぐ続く廊下を経て、リビングへ続く扉を開けると、まず視線の先に入るのがこちらのキッチン。「オープンカウンターで丸見えなので、視線を意識した収納にしています」と瀧本さん。
理想のキッチンインテリアのための、瀧本さんが大切にしている5つのルール!
キッチンを具体的にみていく前に、まずは瀧本さんがキッチンインテリアで実践している5つのルールを紹介。「これを守れば、ちょっとものが多いかなという状態になっても、見た目が雑然とせずに、おしゃれな印象をキープできます」。
・空間を演出する自分のお気に入りのものをあえて見せるように収納し、空間にぬくもり感を演出します。これは生活臭とは別のもの。要は、自分らしい雰囲気づくり。
・統一感をもたせる形や素材、色がばらばらなものをおしゃれに組み合わせるのは、よほどのセンスがないとまとまりません。おしゃれの近道は、共通項でまとめること。統一感を持たせることで、まとまり感を演出します。
・抜け感をつくるフル活用されたスペースからは、圧迫感が生まれます。そこで、余白や透け感のあるカゴなどを活用して、視線が抜ける仕掛けを用意。
・リズムよく並べるサイズ違いのものを大きさ順に並べたり、ものをシンメトリーや等間隔に置いたり。リズムを感じるようにディスプレーすることで安定感が得られます。
・収納アイテムこそ自由に収納グッズだけでなく、手元にあるお気に入りのものや、片づけの役立ちそうなら本来の使用目的とは異なるものも活用してみます。
居心地よいキッチンのお手本!瀧本さんの収納インテリア術を拝見!
それでは早速、瀧本さんのキッチンを拝見! おしゃれな収納術はもちろん、道具を選ぶときの基準も参考にしてみましょう。
<空間を演出する その1>アイアンのフック+カゴで収納しながら壁面演出
つり棚の下のあいた空間にポールをつけ、フックにカゴを引っかけて、ランチョンマットとコースターを入れています。「こうすると角度がつくので取り出しやすいです」。道具をあえて見せることで、おもてなし感も自然にアピールできます。
<空間を演出する その2>レンジフードに鍋つかみをつり下げて
レンジフードのへりに、イケアの収納容器をつり下げ、鍋つかみ入れとして使用。「油はねしやすい場所だから、空中収納が便利。出し入れも掃除もラクです」。
<統一感をもたせる>食器は素材で分け上段にガラスもの、下段に白い磁器を大きさ順に配置
食器棚はガラス扉で中が見えるので、詰め込みすぎずゆったりと使うように心がけています。「上段にガラスもの、下段に磁器を大きさ順に置いて統一感を出しています」。手持ちの食器も色やテイストが似ているので、全体的に見た印象もすっきり。
「ちなみに、色つきや木製のものは下の開き戸棚にしまい、隠してしまいます」。
<抜け感をつくる>ガラスものやワイヤカゴを置き、壁面を見せることで軽やかに
つり棚の下はコーヒーなどの道具を集めたカフェコーナー。「ラックの上段にビンやポットなどのガラスものやワイヤカゴを、下段に磁器の入れ物を配置し、軽やかな印象にしています」。コンパクトな空間にそれなりの道具の量がありますが、透ける素材を利用して抜け感があるので、すっきりと見ます。とくに、道具の向こうの壁面も見えるので「ものに占領された!」という感じがありません。
<リズムよく並べる その1>調味料は詰め替えたビンをずらりと並べて
レンジ脇に置いた手づくりのミニラックには、そろいのビンに詰め替えたスパイス類をずらり。「同じ容器で中身はいろいろ。見た目も楽しげなリズムのあるコーナーにしています」。
<リズムよく並べる その2>鍋は高さ順に並べてテンポをつける
扉のないつり棚は、キッチンはもちろん、リビングダイニングからも目に入る場所なので、並べ方に工夫を。「鍋は白で統一し、テンポよく高さ順に並べました。上の木箱も大小サイズ違いで置いて動きをプラス」。
<収納アイテムこそ自由に>根菜類を持ち手ひもを外した紙袋にストック
根菜類の収納には、ショップの紙袋を活用。持ち手ひもを外したものをワゴンにのせて、使いやすくしています。「お金をかけずにおしゃれな印象に。口があいているので通気性がよく、根菜類が長もちします」。