消費者の多様化するニーズに応える、新しい形のスーパーマーケットが続々と登場しているそうです。ここでは、「マツコの知らない世界」(TBS系列)出演も話題の、食文化研究家・スーパーマーケット研究家のスギアカツキさんが、独自の新業態を展開するスーパーマーケット3つを厳選して紹介します。
すべての画像を見る(全12枚)「新しい形のスーパー」が続々と誕生
スーパーマーケットに関する最近の話題と言えば、止まらない値上げやローカルスーパーの閉業。大規模型の大手ばかりがひとり勝ちをしているかのように思えますが、じつはそうではありません。高齢化によって消費動向にも変化が出始めており、激安大量ばかりが売れる時代ではなくなっているのです。
たとえば、鮮度のいいものは欲しいけれど、たくさん食べられないという高齢者。体にいい食品をできるだけ安く買いたいと願う健康志向派。すぐに食べられるおいしい総菜を探している単身世帯。このような多様化するニーズに応えようと、スーパーの新しい形“スーパー新業態”が続々登場しているのです。
そこで今回は、今後注目したいスーパー新業態について解説します。共通しているのは、買い物をするというニーズを満たすだけではなく、「もっとここにいたい」と思わせる工夫が感じられること。具体的にどのようなお店になっているのか、その魅力を見ていくことにしましょう。
激安の新しい形を提案する「クルベ」
埼玉・群馬を中心に関東圏で“安く、おいしく”をモットーに展開している「ベルク」が独創的なコンセプトで群馬県に生み出したのが、「クルベ」。「Challenging the limits of Belc」(ベルクの限界に挑戦)の頭文字をとって命名したそうですが、ベルクの逆さまという点でもユーモアあふれています。
クルベのいちばんの魅力は、安さを強みとするベルクよりもさらに安いこと。品質や店内の雰囲気をおろそかにすることなく、店内を楽しみながら、おいしい商品を安く購入できる工夫がつまっています。
たとえば、竜舞店の店内装飾のテーマは海。海なし県の県民願望をほっこり満たしてくれるような店内装飾で満たされています。これは子どもやお年寄りも喜ぶはず。
そんなクルベの看板商品のひとつが、赤酢を使ってシャリを握る「赤酢ノオスシ」シリーズ。本格江戸前寿司のレベルで、店内で手切りされたネタの厚切り感に惚れ惚れしてしまいます。もはや敵は他スーパーにあらず、寿司屋も驚く高品質な商品が並んでいます。
ほかにも注目を集めているのが、副菜をなくし、作業工程を効率化することで激安を実現した199円(税別)の弁当シリーズ。魚やシュウマイなどさまざまな種類が並び、“毎日買いに行きたくなる弁当”として大人気になっているのです。