器を愛し、器を楽しむ暮らしを発信しているブロガー・ぶち猫さん。ESSE onlineでの連載が、
『日々をたのしむ器と料理』(扶桑社刊)として書籍化されました。 そこで、同時期に『一生楽しく浪費するためのお金の話』(イーストプレス刊)を出版した劇団雌猫のひらりささん、かんさんと、“猫つながり”という縁で、「趣味とお金」というテーマで座談会を実施。
すべての画像を見る(全5枚)この模様を前後編でレポートします。前編の今回は、劇団雌猫の器にまつわるお悩みに、ぶち猫さんが答えました。
【ぶち猫】
ブログ「ぶち猫おかわり」で、料理、お菓子づくり、ホームパーティ、旅行の記録などをつづって話題に。器のコレクションやコーディネートにも定評がある。ESSE onlineの連載をまとめた著書
『日々をたのしむ器と料理』(扶桑社刊)が発売中
【劇団雌猫】
オタク趣味をもつ、平成生まれの4人のアラサー女子によるグループ。著書、メディア出演多数。新刊は、息長く趣味を続けていくためのノウハウをまとめた
『一生楽しく浪費するためのお金の話』(ファイナンシャルプランナーの篠田尚子さんとの共著)
日々の料理と楽しくつき合っていくために、大事にしていること
●暮らしに“課金”するのが楽しい
ひらりさ:劇団雌猫はそれぞれアイドルや宝塚などの「沼」に浪費するオタクで、趣味にかけるお金が多いんです。昔は「宵越しの金はもたない!」と思っていましたが、メンバーが年齢を重ねたり結婚したりするなかで、最近は「暮らしを整えたい」と考えるように。オタク的に言うと、「家に課金するのが楽しい」と感じるようになったんです。
かん:私は今春の引っ越しを機に、食器への情熱が高まって。ぶち猫さんの本を拝見して、すぐに紹介されているお店に行きましたし、ゴールデンウィークには佐賀へ有田焼の陶器市行きました。ぶち猫さんは本を出すほど器にお詳しいですが、どういう経緯でハマっていったんですか?
ぶち猫:働き始めてから10年くらいは、仕事のことしかないくらい働きどおしだったのですが、だんだんと「仕事以外の時間もないと、メンタルがもたない!」と思うようになって、料理をきちんと始めたのがきっかけです。もともと親が共働きなので、料理には慣れていて。凝り性なので、器にも興味が広がり、ブログなどで発信するようになって今に至ります。
ひらりさ:ロジカルでわかりやすい本だなと思いました。そのお皿を使うことの効果をしっかり書いてあるので、参考になります。
ぶち猫:ありがとうございます。私は文章があまり得意ではないので、考えたことや感じたことをなるべくロジカルに説明して、腑に落ちてもらうことを目標に書きました。まずは、実例としてのテーブルコーディネート写真があって、その分析をできるだけロジカルな文章で書くというイメージです。
●器は定期的に処分して適正量をキープ
ひらりさ:とくに思い入れがある器はありますか?
ぶち猫:器にハマるきっかけになったのが、鈴木麻起子さんという作家さんのターコイズの器です。大鉢を買って、翌日に取り皿を買って、さらに1週間以内にスープ皿も買ってしまったほど。
かん:私も鈴木さんの食器が好きです! 無意識に買ったお皿が、気づいたら鈴木さんのものだったことも。そういうことがあるとテンションが上がります。
ひらりさ:お皿を買うときのポイントってありますか?
ぶち猫:使いやすさとか機能性とかは深く考えず、直感的に「このお皿がほしいかどうか」で決めていますね。
かん:近藤麻理恵さんがいうところの「ときめくかどうか」ですね。やっぱり家にあるお皿は多いんですか?
ぶち猫:定期的に入れ替えているので、じつは意外と多くないのです。器が増えすぎて食器棚が使いにくいなと感じるようになったら、ラインナップを見直して、あまり使っていないものを別の場所に移します。しばらくしてまた使いにくくなってきたら、別の場所に移していたものを見直して使わないものは処分し、スペースをあけています。処分するときは、捨てるには忍びないので、家に遊びに来た友だちに譲ることも多いです。
●料理中は頭を使っているので、皿は事前に決めておく
かん:私は今は基本的な器を買いそろえているところで、次はぶち猫さんみたいに、ときめくものを買うステージに進みたいです。今もっている器はこんな感じなんですが、次に買いたすとしたらどんな器がいいでしょうか?
ぶち猫:ベーシックな色の器が多いので、明るい色の皿や絵皿があるといいかもしれないです。あと、箸置きはどうでしょうか。シンプルなものはもちろん、和風で、あえて色がかわいいものがあっても映えそうです。
かん:ありがとうございます。それと、いつも同じお皿ばかり使ってしまうのが悩みなんです。
ぶち猫:調理は複数の作業を並行して行っているので、じつはかなり頭を使っていて、器のことまで頭が回らず、つい使い慣れたものを手に取ってしまいがちです。対策としては、今日はこのお皿を使う、と決めてから献立を立てること。もしくは、料理中に待ちの時間があるときに、たとえばメインのおかずに合いそうな器をあらかじめ考えて出しておく。結果的に組み合わせに失敗しても、日々のことなので気にしなくて大丈夫です。練習だと思ってやってみると、意外な料理と器の組み合わせをみつけられることもあります。
●ときめかないお皿を無理に買う必要はない
ひらりさ:私は浅い皿ばかり買ってしまうのが悩みです。深い皿になぜかときめかなくて…。汁っぽいパスタとか、そうめんとか盛るのに使いたい需要はあるんですが。
ぶち猫:ときめかない器を無理に買っても使わなくなってしまうので、まずは手持ちの器で工夫してみてはいかがでしょう。平皿でも、写真右側のリムが深めの器なら、スープのあるパスタも工夫次第で盛りつけできそうです。将来的には深いお皿も欲しい! という場合は、自分の好きなタイプの器を見つけたときに、同じテイストで深い器がないかチェックするクセをつけると、ときめく深い器に出合えるチャンスが増えるはずです。北欧の器やヒグチユウコさんの器がお好きなようなので、ネットショップなどで同じシリーズの深い皿でときめくものがないか、探してみてもいいかもしれませんね。
ひらりさ:なるほど、参考になります! あと、なかなか自炊をする気にならないのも悩みで。肉とワインが好きなんですが…。
ぶち猫:まずはおつまみからつくってみるのがいいかもしれません。書籍で紹介している「干し柿バター」のレシピは、干し柿を切ってバターを挟むだけなので本当に簡単です。材料を余らせると大変だし、一人暮らしの人は、いっぺんに何種類もつくろうとしなくていいと思います。
ひらりさ:おなかがすいたときに、すぐ食べたい! という欲望が強すぎて、自炊がおっくうになってしまうんですよね。でも、過程を踏むことにも意味があるのかなと。
ぶち猫:私もおなかがすいていたら、なにかひとくち食べてから始めています。自炊はとにかく無理しないのが長続きするコツですね。私はベーコン、ツナ缶、油揚げを半分に切ってジップロックに入れて冷凍したものを常備しているんですが、これがあると買い物する余裕がなくても、割となんとかなります。
後編では、お金にまつわる話をお届けします。
<撮影・取材・文/ESSEonline編集部>