「広いリビングにソファを置いて、家族みんなでゆったりくつろぎたい」。リビングは、ラグジュアリーな高級ホテルのリビングのように、おしゃれな空間にしたいという理想を掲げる人は多いかもしれません。しかし、本当にソファというのは必要なものでしょうか。その問いに答えてくれたのは、『家は南向きじゃなくていい』(講談社刊)の著者で、2000軒以上の家を設計してきた一級建築士の内山里江さんです。自分にとって本当の理想の空間を考えてみませんか。

おしゃれな家具が配置されたリビング
リビングは広くてソファを置きたい…そんな理想を抱いている人も多いかもしれません
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広いリビングにソファは本当に必要?

「普段、リビングでなにをして過ごしますか?」

このフレーズは、内山さんが設計をする際に、依頼者に(または、施主に)よく聞いているのだそう。

「この質問に対し、よくあるお返事が、『あれ? なにしているっけ?』なのです(笑)。じつはリビングは、はっきりとした目的がない場所です。子どもがいる家庭では、みんなでテレビや動画配信サービスを観たりすることもあるでしょう。もしかしたら、子どもたちがお昼寝をする空間にしている人もいるかもしれません」

リビングをどう使うかは人によって違うものです。

「多くの人が理想とするリビングは、テレビ画面とソファがセットになっている空間です。今はテレビがない家庭も増えてきましたが、少なくとも、『ソファを置かなければならない』という、なんとなくな思い込みがあるのでしょう。

実際の暮らしを想像して考えてほしいのですが、リビングに3人がけのソファを置いたとして、3人で座ってまっすぐテレビ見る、というタイミングはどれくらいあるでしょうか? なぜこの質問をするのかというと、実際はそれぞれが忙しく、みんながそろってソファでくつろぎながらテレビを観る時間が意外となかったりするのです。なかには、『そもそもソファでくつろぐ時間すらない』と答えた人もいるほどです」

たしかに、ソファそのものが必要であるかどうかは考えることは必至です。

「ちなみにわが家の場合は、お客様が多くいらっしゃるのでソファを置いていますが、私自身はソファそのものには座らず、床に座って映画を観ることが多いです。リビングの床にラグやカーペットを敷いて、床にゴロンと寝転んで、ひと休みをすることもあります」