大の漫画好きとしても知られるTHE ALFEEのリーダー・高見沢俊彦さん。ここでは、そんな高見沢さんが今イチオシの漫画を紹介! 今回は、漫画ファンや目利きがその年のすごいマンガを選ぶランキング「このマンガがすごい!」で、2024年度のオトコ編1位にも輝いた『ダイヤモンドの功罪』です。
「才能をもった側」を描く、令和の野球漫画『ダイヤモンドの功罪』
『ダイヤモンドの功罪』平井大橋/著 集英社刊 (1)~(5)巻
スポーツの才に恵まれ、どんな競技も万能にこなす綾瀬川次郎(あやせがわじろう)。その才能ゆえに人間関係に悩むが、弱小少年野球チーム「足立バンビーズ」でようやく自分の居場所を見つける。仲間とともに野球を謳歌するはずが…。
ダイヤモンドの功罪1(ヤングジャンプコミックスDIGITAL)
昭和とは違う野球という勝負の世界の捉え方がおもしろい
小学生の綾瀬川次郎は、どんなスポーツもトップクラスの実力を発揮し、周囲の妬(ねた)み嫉(そね)みを敏感に感じ取ります。綾瀬川はそんな状況に耐えきれず幾つもスポーツクラブを辞めて来ましたが、足立バンビーズという野球チームに迎えられ仲間とプレイする楽しさを知ります。
ここでは以前のような疎外感はないのですが、監督だけは類い希(まれ)な次郎のスキルはこのチームに合わないと判断し、日本代表チームの選考を受けるように提案します。結果代表チームは彼の活躍で優勝しますが、次郎は勝った喜びと同じくらい負けた方が気になり、気持ちは敗者に寄り添ってしまいます。昭和とは違う野球という勝負の世界の捉え方がおもしろいですね。これこそが令和の野球コミックなのでしょう。
自分は『巨人の星』に代表される昭和のスポ根漫画に感化され育ったバスケット少年で、人一倍練習してはスキルアップを狙った根性丸出し体育会系人間でした。それとは真逆の少年野球コミックなのです。