突然ですが、給与明細って、毎月チェックしていますか? 見たことないという方にはちょっと耳の痛い話ですが…。
「貯めている人はきちんとチェックしていますよ」と語るのは、ファイナンシャルプランナーの畠中雅子さん。給与明細を確認するかどうかが「貯まる人と貯まらない人の差」と断言します。
給与明細にはお金を知るヒントがたくさん!そのチェック方法とは?
「貯めている人の共通点が、お金に対する意識の高さ。給与明細を見るだけで貯蓄に直結するわけではありませんが、お金について知るためのヒントが隠されているんです」
給与明細の正しい見方と、チェックすべきポイントを教えてもらいました。
●振込額=手取りではない!正しい給与明細の見方は?
そもそも、給与明細については誤解されていることも多いのだそう。
「たとえば、よく聞く“手取り”もそのひとつ。銀行に振り込まれている金額が手取り額だと思っている人もいますが、本来、手取りとは総支給金額から税金と社会保険料だけを引いた金額のこと。振り込まれるときは、このほかに財形貯蓄や組合費などいろいろなものが引かれていることもあり、本来の手取りよりも少なくなっています。
給与から天引きされているお金のうち、内容がわからないものがあったら、そのままにせずに確認を。家計に入ってくるお金を“なんとなく”ですませないことが貯める意識を高めるコツです」
●1月、6月、10月はチェックを忘れずに!
税金や社会保険料の金額が変わるときも要チェック。なかでも確認してほしい変わり目の月は、1月の所得税、6月の住民税、10月の社会保険料です。
「前月と比べ、どの程度増減したのか確認することも大事です。一般に、税金や社会保険料を算出する際は、給与をベースにするので、給与が増えれば、税金や社会保険料の負担も増加。つまり、昇給しても手取りが減るということも」
給与明細をチェックすれば、社会とお金の関係が見えるように。それが“貯まる人”への第一歩です。
給与明細をもらったら、ココだけはチェック!
まずは、給与明細にどんな項目があるかリストアップしてみました。大きく分けて「支給」と「控除」の2つがあり、それぞれに細かい項目が記載されています。
その中から、チェックすべきポイントを解説します。
基本給 CHECK!
職能給
資格手当
家族手当
住宅手当
通勤手当
残業手当 CHECK!
深夜手当 CHECK!
休日手当 CHECK!
外勤手当 CHECK!
健康保険料 CHECK!
介護保険料 CHECK!
厚生年金保険料 CHECK!
雇用保険料 CHECK!
所得税 CHECK!
住民税 CHECK!
組合費
財形貯蓄
社宅・寮費
社員食堂利用料
立替金返済
総支給金額 CHECK!
控除合計額 CHECK!
差引支給額 CHECK!
銀行振込額
賞与、残業手当、退職金などの算定のベースになる。会社側の都合では下げられないので、基本給が多いほど生涯賃金が増えることに。
<CHECK2>「手当」が少ない月をやりくりの基準に残業や休日出勤などイレギュラーな勤務への手当は毎月一律ではないもの。変動がある場合、いちばん少ない月を目安に予算立てを。
<CHECK3>「介護保険料」の天引きは40歳からスタート40歳になると、介護保険料が天引きされるので手取りがダウン。40歳間近の人は、減った分をどこでカバーするか家計の見直しを。
<CHECK4>本来の“手取り”は、この合計を除いた額健康保険や厚生年金保険などの社会保険料と所得税、住民税を総支給金額から除いたものが“手取り”。総支給金額の7〜8割が目安。
<CHECK5>「住民税」はどこに住んでいても10%住民税のうち、所得に比例して課税される税率は全国一律10%。「自分が居住している場所は住民税が高い」というのはよくある誤解。
<CHECK6>「総支給金額」が“額面”のこと基本給のほか、さまざまな手当を加算して、会社が社員に払っている給与の合計額。“手取り”ではなく“額面”と呼ばれるもの。
<CHECK7>「控除合計額」は引かれるお金の合計税金や社会保険料などの公的控除と、財形貯蓄など天引き貯金、組合費、社食利用費など、総支給金額から引かれるお金の合計額。
<CHECK8>「差引支給額」が銀行に振り込まれる金額総支給金額からいろいろ引かれて、実際に口座に振り込まれる金額。天引きで貯蓄していない場合は、ここから貯蓄を先取りして。
貯め体質にスイッチするには、お金に対する意識を高めること。まずは次回の給与明細をチェックすることから始めてみましょう。
『年金、増税・・・不安に負けない! お金が貯まる!! ベスト技180(別冊エッセ)』(扶桑社刊)では、お金を貯めたいときに役立つ記事が盛りだくさん! 難しくなくて今すぐできる「貯めワザ」が満載。ぜひチェックしてみてください。