1年半ほど前に、東京から八ヶ岳山麓の森に移り住んだ作家の小川糸さん(50歳)は、家事をシンプルにする部分と、じっくり手をかける部分を分けてバランスをとるのが上手。無理せず、自分らしく家事をまわす方法を教えてもらいました。

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無理をせず、自分らしく家事のメリハリをつけて

小川糸さん
八ヶ岳に移り住んだ、作家の小川糸さん
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コロナ禍に当時住んでいたベルリンを離れ、日本に帰国した小川糸さん。1年半ほど前、八ヶ岳山麓に建てた山小屋に、愛犬のゆりねと移り住みました。

庭仕事などで忙しくなった分、家事は極力シンプルに行うようになりました。でもじつは東京で暮らしていた頃から、小川さんは家事のメリハリをつけるのが得意。すべてをがんばるのではなく、ほどよく力を抜くところと、じっくり取り組む部分をつくって、無理なく暮らしをまわしていたのです。

ひとりですべての家事を背負い込まず、健やかに毎日を過ごすためのヒントを聞いてみました。

●“シンプル”と“じっくり”のバランスをとりながら

コロナ禍で家にいる時間が増えたとき、いかに家事を効率よくまわすかを以前より考えるようになったという小川糸さん。

「効率化すると経済的だし、心身が楽になる。さらに余った時間を保存食づくりなどにまわすこともできます。私の場合、すべての家事をがんばるのではなく、シンプルにする部分と、じっくり手をかける部分のバランスをとることを意識していますね」

小川糸さんの食洗機
食洗機に一日分の食器をためておいて、夜にまとめて洗うことも

食洗機を使うことで日々の食器洗いから解放されたり、嫌いなアイロンがけを潔くやめたり。そうやって家事を簡略化する一方で、味噌を仕込む時間や、パンや焼き菓子を手づくりする時間などを楽しんでいます。遠出をすることが減った分、地元を見直す機会も増えました。愛犬ゆりねとの散歩や自転車での外出を通じて、あらためて近所の魅力に気づくこともしばしばです。

「住宅街にある野菜や卵の無人販売所、これまで入ったことのなかったお蕎麦屋さんなど。日々の買い物も、駅前のスーパーに行けばたいてい事足ります。わざわざ遠くまで出かけなくても、自分が暮らしている半径数キロの円の中で意外といろいろなことができるんだなと気づきました」

●お菓子づくりやお取り寄せ。家事の合間のささやかな楽しみを

ひとりで家事を背負い込むのはつらいこと。嫌なときは無理をせず、手を抜ける部分は抜くことも大事、と小川さんは話します。

ダミー
近所の銭湯に通うのが楽しみのひとつ。手ぬぐいと石けん、化粧水とクリームというコンパクトな荷物を持って身軽に出かける

「“こうすべき”にあまり縛られず、柔軟に考えればいいのではないでしょうか。私は疲れていたら外食するし、朝昼兼用の食事を近くのおいしいお弁当屋さんで買うこともよくあります。頻繁に銭湯に通うのは、気持ちいいのはもちろん、家のお風呂掃除の負担が減るという理由もあるんです」

家事をシンプルにするのと同時に、ささやかな楽しみを見いだすことも大切。小川さんにとっては、いままでつくったことのないお菓子をつくることや、ときどき地方からおいしいものをお取り寄せすることなどが、日常におけるよい気分転換になっています。ここ最近では石けんづくりを覚えて楽しむようになりました。

無理をせず、自分らしく家事のメリハリをつける。それが健やかな日々をつくり出す秘訣なのかもしれません。