50代ともなると、親、そして自分自身の「終活」が気になってきます。では具体的になにをすればよいのでしょうか。司法書士として終活に取り組んでいる篠田裕子さんが、法律的な視点から教えてくれました。

関連記事

富裕層は家で「探し物をしない」。元国税専門官が語る“お金に愛される”人の共通点

私が認知症になったら、急死したら、だれになにを残す?今からできる「終活」

司法書士として、認知症になった方の成年後見人など、任意後見人を数多くやっております。そんな私がつくづく感じることは、元気なときにできる終活の必要性です。なぜなら、認知症が進行してからでは法律的にできない終活もあるからです。
「人生終わりよければすべてよし」となるよう、50代から少しずつ終活をしてみませんか?

●その1:大切な人に想いを伝える「遺言書」をつくる

遺言書
遺言書は自分の財産を法律的に届けたい人に届けるための手紙※写真はイメージです(以下同様)
すべての画像を見る(全3枚)

遺言書と聞くと縁起でもないと思われますか? 遺言書はおひとりさまが安心して、自分の財産を法律的に届けたい人に届けるための手紙と思って、暗く堅苦しく考えないでみてください。

50代であれば、財産もまだまだこれから増えるかもしれないですし、財産を渡したい人も変わるかもしれません。とはいえ、自分が急に亡くなったときに備え、法律で相続人と定められた「法定相続人」には財産を渡したくない人、そして相続人がだれもいない人はとくに、遺言書作成の法律の要件を確認した上で遺言書を準備しておいた方がいいですね。

ここでは実例をお伝えします。Sさんは夫が亡くなったあと、ひとり息子まで亡くなり、おひとりになりました。親も孫もおらず、Sさんが亡くなったあとは兄弟が法定相続人となります。

交流がない兄弟に財産が渡るより、お世話になった友達に渡したいと、Sさんは遺言書を書かれることに。「これで長年の感謝の気持ちを伝えられる」とSさんはとてもすっきりした表情をなさっていました。

 

●その2:認知症になったときに備え、法的な制度を知る

認知症

おひとりさまにとって不安なのは、自分が「認知症」になったときにだれが面倒をみてくれるのか…ということではないでしょうか。

そこで知っておきたいのが「成年後見制度」。成年後見制度は大きくわけて2つに分かれます。

1つは障害や認知症が進行して財産管理等ができなくなった人に、裁判所が代理人を選任する「法定後見制度」。本人の障害や認知症の程度に応じて「成年後見人」「保佐人」「補助人」が選ばれます。

もう1つは、認知症になる前、元気なときに信頼できる人をあらかじめ契約で選任する「任意後見制度」です。50代だとまだまだ認知症は先の話に思えますが、元気なときにこそ、認知症が進行してからは使えない制度があると知って、調べておくことが大切だと思います。

おひとりさまのTさんは将来に不安を抱えていらっしゃいましたが、「任意後見制度」をお教えしたところ、漠然とした不安ではなくこれから「だれを」任意後見人にしようという具体的な悩みに変わったと前向きに話してくれました。