「飲む美容液」や「飲む点滴」と呼ばれ、人気の甘酒。水やお湯、豆乳などで割って飲むだけではなく、じつは料理にも大活躍します。含まれる酵素の働きで肉をやわらかくしたり、風味を生かしたり…。
ここでは、「神楽坂発酵美人堂」を主宰し、発酵食品に詳しい清水紫織さんに、甘酒の働きやつくり方、そして簡単でおいしい甘酒料理レシピを教えていただきました。
人気の甘酒を使ったおもてなし料理。味つけもラクラク!
20歳を過ぎて急に食材アレルギーになり、食生活を見直したのが、発酵食品に取り組むきっかけだったという清水さん。
「腸内環境を整えるために発酵食品の教室に通い始め、みそを手づくりしてみたらあまりにもおいしくて! 昔ながらの発酵食品を手づくりする文化の大切さに改めて気づきました」
まず甘酒には、酒粕+砂糖+水からつくるアルコールを含むものと、米+米麹+水でつくるノンアルコールの甘酒の2種類があります。ブドウ糖だけでなく、ビタミンB群やアミラーゼやリパーゼなど200種類にも及ぶという酵素を含み、麹の自然な甘さを料理に生かせるのは後者。
左は米、右は玄米でつくった濃縮タイプの甘酒。
「難しそうなイメージのある甘酒づくりですが、炊飯器を利用すればとても簡単です」と清水さん。濃縮タイプのレシピを教わりました。
・炊いたご飯 200g
・乾燥米麹 200g
・60℃の湯 400ml
【つくり方】
(1) 炊飯器に米と米麹とお湯を入れてよく混ぜ、炊飯器のフタを完全に閉めずに保温スイッチをON
(2) 途中、温度計で60℃以上にならないようにチェックして、ときどきかきまぜる
(3) 約60℃を保ちながら6~8時間保温する
(4) 麹がやわらかくなり、好みの甘さになれば、粗熱を取り冷蔵庫で保温する
できあがった甘酒は、ガラスやほうろうの容器に入れて冷蔵庫保存。1週間~10日程度で使いきるのが理想ですが、すっぱくなればドレッシングにしたり、目の細かいネットに入れて入浴剤としても使えるそうです。
次に、甘酒を使った料理のレシピを教わりました。
●鮭の甘酒漬け
・鮭 1匹
・塩 少々
・甘酒 大さじ1~1と1/2
【つくり方】
・鮭に塩と甘酒をかけてペーパータオルで挟み、ジッパーつき保存袋に入れて8時間冷蔵庫で置く。
・食べるときは、網で焼いたり、160~170℃のオーブンで15分程度焼く。
・ふっくらと焼き上がり、冷めてもおいしいのでお弁当にも最適。
●フルーツサラダ
・イチゴ 6個
・金柑 1個
・モッツァレラチーズ 小6個
・ミント 適量
・ドレッシング[ホワイトバルサミコ酢大さじ3 甘酒大さじ2 すりおろしショウガ少々]
【つくり方】
一口大に切ったイチゴ、金柑、モッツァレラチーズと、よく混ぜたドレッシングの材料をあえる。最後にミントをちらす。
●甘酒豚しゃぶサラダ
・しゃぶしゃぶ用豚肉 150~200g
・甘酒 大さじ4
・酒 大さじ2
・サラダ用野菜 適量
・ドレッシング[練りゴマ大さじ1 甘酒大さじ1 ポン酢大さじ3]
【つくり方】
・甘酒を酒で伸ばし、豚肉に塗ってなじませ、ラップなどで包んで8時間冷蔵庫に置く。
・食べるときは沸騰した湯でしゃぶしゃぶし、野菜と一緒にドレッシングをかけていただく。
●カブの麹漬け
・カブ(薄切りにする) 1個
・塩 ひとつまみ
・甘酒 大さじ1
・酢 小さじ1/2
・昆布、鷹の爪 各一片
【つくり方】
カブに塩をふる。ジッパーつき保存袋に材料をすべて入れてよく混ぜ、8時間冷蔵庫で置く。
こんな風にワンプレートに盛りつけてもすてき。
どの料理も難しい工程はなし。なのにとても見栄えがよく、甘酒の甘味とうま味が味わえます。ホームパーティの前日に仕込んでおくのもおすすめです。料理が時短になるうえ、おいしくて体にいい日本の発酵食・甘酒。ぜひ試してみてください。
<撮影・取材・文/小野アムスデン道子>