画廊と美術館での学芸員経験を持ち、現在は美術エッセイストとして活躍中の小笠原洋子さんは、高齢者向けの3DK団地でひとり暮らしをしています。お金を極力使わない「ケチカロジー」という言葉を生み出し著書も上梓している小笠原さんは、極力ものをもたないようにしています。今回は、ものが増えない仕組みについて教えてもらいました。

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小笠原さん
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ものが増えない暮らしを維持できているわけ

私にはもう処分するものがありません。70余年の人生には転居が多く、その都度荷物の載積料を減らすため、できる限りのものを捨ててきたからです。廃棄料は痛手ですが、引っ越すときも転居後の片づけもラクです。思いきり処分するには、契機になるチャンスを逃さないことでしょう。新居で、これまでの家具に囲まれる温もり感もいいと思いますが、家具が少なく床面積が広い爽快感もいいものですよ。

そんな私でも予定外だったタンスや食器棚やベッドを捨てたときは、やや戸惑いを感じましたが、結果的に理想だった簡素な生活空間を実現できたと思っています。今回はものを増やさないポイントを紹介します。

●収納は収まる分だけにとどめる

暮らしの空間を広げる方法のひとつは、大型の収納用家具自体を少なくすることです。そしてそこに納まる量だけ収納したら、入りきらなかったものは廃棄するという一手です。収納家具そのものを減らすことは、中身も削減することにつながります。

押し入れ

押し入れやクローゼットつきの家なら、そこをフルに生かしましょう。広さ一間の押し入れなら、布団を入れるだけでなく、細かく区分して使いこなすと、よき収納庫になります。わが家には、二部屋に押し入れがあるので、居間にある押し入れは、上段に新旧の仕事上の資料と現在進行形の伝票類を。下段にバッグ類と書類や書籍を収めています。場所に余裕をもたせれば、探しやすく出し入れにも便利です。

押し入れ

また寝室にある押し入れは、上段左半分に布団と手製の吊り棚、右半分に衣類ボックス。そして下段は全部非常用備蓄品です。

●どうしても捨てられないときの上手な処分の仕方

処分
※写真はイメージです

処分の一例を紹介します。衣類の「いる」「いらない」に困った場合は、まずはお気に入りの数点だけを厳選しておき、収納に収まりきらなかったほとんどの衣類を、一旦大型ゴミ袋に入れていきます。おそらくゴミ袋の中からは、やっぱり捨てられない服が出てくることでしょう。その分量が決め手です。ごく少量にとどめて残してください。

それから捨てるべき服や雑貨などを一気に捨てきることが難しい場合は、心理作戦がおすすめです。一回だけ着たり使ったりして思いきり名残を惜しんでから捨てると、執着も緩和され、徐々に少なくなっていくことを楽しめるはずです。体重を減らすダイエットならぬ、片づけや処分などによる生活ダイエットがいかがでしょう。運動にもなりますし、終わった後のすっきり感も味わえます。