ペットの柴犬の写真をツイッターに投稿し続け、その自然体のかわいさが人気となっている
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ESSEonlineでは、飼い主で写真家の北田瑞絵さんが、「犬」と家族の日々をつづっていきます。
第8回は、冬の風物詩・コタツに潜る犬のこと。
布団を掘って掘ってコタツの中へと進んでいく犬
犬と五度目の冬を迎えた。
すべての画像を見る(全14枚)最初からではなかったが、いつのまにか犬がコタツの中に入っていくようになった。川に連れて行くと、砂を掘って掘って掘りまくっている犬だが、コタツの中に入っていくときも同じように布団を掘って掘って進んでいく。
とはいっても、無尽蔵の砂と違ってコタツ布団なので、三歩ほど掘るように布団をめくっていけば、すぐに犬の頭はすっぽりと中に入ってしまう。すると、それまでかなりの勢いで掘っていた犬が、途端にスンッと座り込んで、落ち着いていく。動から静のきり替えがすごい。
本当にじっとしていて、あまりに静かなので、不安になって様子をうかがえば、すやすやと眠っていることもあれば、私の足にあごを置いて、ゆったりと時間を過ごしていたりする。
コタツに入っていった体勢のままうつ伏せに座り込んでいる体が、少しずつごろ~…んと横たわっていくのを眺めるのが、私の犬との楽しみのひとつだ。
ただ、低温やけどや熱中症には要注意なので、犬が入ってきたら温度を低く下げるとか、電源を切ったりする。
うちは居間にひとつ長方形のコタツを置いているのだが、先日私がコタツの狭い側で昼寝をしていたときのことだ。
肩まで布団をかぶって寝ていると、ふっと犬の存在を感じたので目を覚ませば、頭上に犬が立っていた。なにをするのかと見ていたら、わざわざ私とコタツの足のちょっとした隙間に体をねじ込ませるように進入してきたのだ。
私も体を避けてスペースをつくれば、さらにぐいぐい入ってきて、そしてうつ伏せに座り込んで、落ち着いた。
寝転んでいた私の顔の真横で、犬のおしりとしっぽだけが布団から出ていて、触れるしっぽがくすぐったかった。とりあえず犬のおしりの向こうにあったコタツのスイッチに腕を伸ばした。
徐々にコタツの中の温度は下がっていくけれど、余熱のなかですぐそばに感じる犬のぬくもりがとても、とても暖かかった。そして近くて狭くて犬写らん。
よくコタツの中で昼寝をしている犬だが、ただ夜になるとコタツの中に入らないで、必ず寝床で就寝している。マイルールがあるのだろう。
一月は太陽が当たっていれば、室内よりも庭でいるほうが暖かく感じる日もあった。外にいたら外にいたで、犬は体を伸ばしてフゥと眠りについている。
寒くないか暑くないか、犬にとってどこが快適だろうかと悩ましい。
その体を覆っている毛は、どれほど暖かくて、どこから寒いと感じてしまうのか、知れたらいいのにと切に思う。
【写真・文/北田瑞絵】 1991年和歌山生まれ。バンタンデザイン研究所大阪校フォトグラファー専攻卒業。「一枚皮だからな、我々は。」で、塩竈フォトフェスティバル大賞を受賞。愛犬の写真を投稿するアカウント@inubotを運営