プライムタイムに放送されるドラマが、豪華キャスト&スタッフをそろえた王道の面白さなのに対して、自由度が高く実験的な作品が多いのが、深夜ドラマの魅力。『きのう何食べた?』『おっさんずラブ』などのヒット作も、深夜ドラマ枠から生まれています。

今シーズンも多くの深夜ドラマがそろうなか、注目したいのはテレビ朝日系の金曜ナイトドラマ『波よ聞いてくれ』(金曜午後11時15分~)。2000年にスタートした金曜ナイトドラマは、かつて名作『TRICK』も生んだ枠です。ここでは、その見どころをご紹介します。

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深夜ドラマならではの魅力がつまった「波よ聞いてくれ」

波よ聞いてくれ
今期注目の「波よ聞いてくれ」の見どころは?
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主人公は、スープカレー店「ボイジャー」のバイト店員、鼓田ミナレ。バーで偶然居合わせた男性にお金をだまし取られた元彼への恨み節を聞かせていたところ、じつはその相手はラジオ局のチーフディレクター、麻藤。ラジオパーソナリティーとしての素質と頭の回転の良さを見抜かれ、深夜の冠番組にスカウトされる…というストーリーです。

原作は『無限の住人』で知られる沙村広明さんの同名コミックで、現在も月刊アフタヌーンで連載中。2020年にはアニメ化もされた人気作ですが、原作ファンからは実写化はハードルが高いのでは…? という声も上がっていました。というのも、原作は切れ味の鋭い、丁々発止のやり取りが魅力。時事ネタやシニカルなギャグも多く、映像でそのテンポのよさを維持するのは困難かと思われていました。

そうした懸念を払拭し、SNSでも好評を博しているこのドラマ。愛らしいイメージのあった主演の小芝風花さんは、黒髪から金髪ボブへとビジュアルを一新。破天荒な“超絶やさぐれ女”のミナレを演じています。

素人ながら、ラジオパーソナリティに抜擢されるという役だけに、滑舌の良さも重要。第1話では、「26分間、一度も噛まなかった」と麻藤から評されるシーンがありますが、小芝さんによるキレのあるマシンガントークは、見る人に「まさに!」と思わせるものでした。